税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

>> EDIT

インバンド業者の税務訴訟への一考察

平成29年2月3日最高裁の決定により東京高裁の判決が、平成28年2月9日判決が出たことに意見を申し述べます。
 
<事案の概要>
① 本件は、旅行業法に基づく旅行業等を目的とする日本法人である日本法人であるA INC (以下「A社」という。)の主催する訪日旅行についてA社との間に行っている取引(以下「本件取引」という。)が消費税法7条1項により消費税が免除される取引(以下「輸出免税取引」という。)に当たるとして、各課税期間分の消費税及び地方消費税につき、本件取引に基づいてA社から受領した対価の額を消費税の課税標準額に算入せずに確定申告をしたところ、所轄の芝税務署長から、本件取引が輸出免税に該当せず、本件取引の対価の一部が消費税の課税標準額に算入されるとして、各更正及び過少申告加算税賦決定を受けたことから、これらの各処分の取り消しを求めた事案である。
  

<当裁判所の判断>
① 当裁判所も、本件取引は輸出免税取引に該当せず、本件更正処分及び本件各賦課決定処分はいずれも適法であるから、控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。
その理由は、原判決の‘事実及び理由’の記載のとおりであるから、これを引用する。

(1)‘本件旅行パッケージ商品’を‘パッケージ商品’に改める。

(2)‘確実に提供する’を‘これらの役務が各種サービス提供機関によって確実に提供されるように手配する’に、‘原告が本件訪日旅行客に対して国内における飲食、宿泊、運送等の役務を確保し、提供した対価’を‘控訴人がこれらの役割を果たした対価’に改め、‘行事終了後に’の次に‘、控訴人が企画し手配したとおりに’を加え、‘役務を提供した’を‘役務が提供された’に改め、‘「本件訪日旅行客に対して各種サービス提供機関による役務の提供という方法により国内における飲食、宿泊、運送等の役務を提供する」を「国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを企画し各種サービス提供機関を手配することによりこれをA社が確実に利用できるようにする」’に改める。

  (3)‘本件訪日旅行客に対し’を‘飲食、宿泊、運送等の役務が各種サービス提供機関によって確実に提供されるよう手配する’に改める。
  (4)‘このことは’を削り、‘ことからも裏付けられる’を‘ことや、消費税法施行規則5条1項1号が、消費税法7条1項1号の輸出免税取引に該当することの証明のために整理、保存しておくべき書類を、関税法の規定による税関長の輸出の許可もしくは積込みの承認があったことを証する書類または当該資産の輸出の事実を税関長が証明した書類と規定していることなどは、上記の法解釈を前提とするものと解される’に改める。


 (5)‘同号ハの範囲を’から末尾までを‘同号ハ該当性の判断は上記立法趣旨等を踏まえて行うべきである。’に‘運送’を‘輸送’に改め、‘またはこれらに類するもの’を削り、‘国内において消費されるサービスであるということができるから’を‘A社が上記役務の提供により直接享受する便益は、控訴人が企画し手配した国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを本件訪日ツアーの催行に際して利用することができることであり、この便益は上記旅行素材が所在する国内においてでなければ享受することができないものであるから、上記役務の提供は、消費税法施行令17条2項7号イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するものとして’に改める。

(6)‘本件取引は’の次に‘、国内に主たる事務所を有する事業者である控訴人が国内において行った役務の提供(消費税法[平成27年法律第9号による改正前のもの]4条3.項2号、消費税法施行令[平成23年政令第198号による改正前のもの]6条2項7号’として課税資産の譲渡等に該当し‘を加え、’消費税等‘を’消費税‘に、’各事実が‘を’各事実のうちに‘に改める。

② よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第7民事部
 裁判長裁判官 菊池洋一 裁判官 古田孝夫 裁判官 工藤正

                                  


<反論意見>
以上の判決について反論意見を述べます。

① まず、表記の表現のことばを改めている点。
そもそも包括的旅行パッケージ商品の販売であることを改訂しているだけでなく、都合の良いことばに改めている点。
売上の取引先が海外の旅行会社であって旅行者に販売しているわけではない。
そこで、便益を国内で受けるという施行規則にのっとってあてはめ、飲食、宿泊、運搬についてサービスの提供は国内であるからということで、課税資産の譲渡としてとらえる判断はいかがなものかと。
インバウンド旅行業そのものは、それぞれ形態も違うし取引の仕方も違う。すべてのインバウンド旅行業者にこの判決の判断をあてはめることには、違和感を持つ。

② 次にインバウンド旅行業者の海外旅行会社に対する消費税の輸出免税の該当性に
 ついて述べる。
   
A. 輸出免税取引であるかどうかを検証する前に、誰と誰の間の、どの取引を検証するのかを、明確にする必要がある。本判決の対象となる取引は、日本の旅行会社である弊社と、海外の旅行会社との間で行われたものである。この取引が輸出免税取引にあたるかどうかである。
旅行者は弊社の取引相手ではない。 まず取引相手であるということが前提で、その取引が輸出にあたるかということが条件。
   弊社と海外からの旅行者の間にはそもそも取引関係がない。
   弊社の顧客(取引先)は海外の旅行会社であり、彼らの顧客は海外在住の旅行者である。
    これは代金支払いの経路からして、疑う余地のない事実である。

B.施行令の解釈に論理の飛躍
    判決には、消費税法施行令第17条第2項第7号ロまたはハに、「非居住者に対
 する飲食または宿泊、バス、タクシー等による旅客の輸送」は輸出免税取引に該当しないとあるが、該当する、しないに関わらず、日本の旅行社と海外からの旅行客の間には、そもそも取引の事実がないのでこの解釈は意味を為さない。
   この規定は、日本のホテル等が非居住者と、直接にせよ間接にせよ取引を行った場合にその取引が輸出免税にあたらないとしたものである。

本意見書は、原処分庁提出の内容を踏まえ、判決の理由を補足しつつ改めて整理して述べると共に、あわせて反論を行うものである。
なお、本反論書で用いる用語は、別途定義しない限り、判決の理由(以下「判決決定理由」という。)と同様とする。

c. 本件取引は輸出免税取引に該当すること

 原処分庁は、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれており、当該金額は、消費税法施行令17条2項7号ロ又はハに該当する役務の提供の対価であるから、輸出免税取引の対価の額に該当しないとする。
 しかしながら、以下詳論するとおり、本件取引で控訴人が海外旅行会社に対して提供する「役務」の内容は、包括的旅行プランの手配、企画、情報提供等であって、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務とは言えない。消費税法施行令17条2項7号ロ又はハの役務には全く該当しない。本件取引対価の額は、その総額が、非居住者である海外旅行会社に対して行われる役務の提供の対価であるから、輸出免税取引の対価の額に該当するものである(消費税法施行令17条2項7号本文)。

(A) 本件取引において、当原告が海外旅行会社に対して提供する「役務」には、国内における飲食、宿泊、輸送等に係るサービスは含まれないこと

(1) 控訴人が提供する「役務」の内容

 判決理由でも認められているとおり、控訴人は、本件取引において、海外旅行会社が主催する日本国内旅行に参加する本件旅行者の日本国内での飲食、宿泊、輸送等に係る各種サービス提供機関を手配し、それらを組み合わせた日本国内旅行を企画し、パッケージ商品として海外旅行会社に販売している。
 そして、本件取引は、控訴人がパッケージ商品の手配を完了した時点で終了し、当原告は、国内での飲食、宿泊、輸送等の各種サービスが提供される場面において何ら関与するものではない。
 したがって、控訴人自身が各種サービス提供機関から国内での飲食、宿泊、輸送等に係る役務の提供を受け、それを海外旅行会社に対して提供しているわけではないことは明らかである。すなわち、本件取引で控訴人は、海外旅行会社に対し、情報の収集、旅行の手配、企画、情報提供等を行うと共に、当該旅行期間中に各種サービス提供機関が提供する国内での飲食、宿泊、輸送等の各種サービスを受けることができる地位を設定するという包括的な役務を提供しているだけなのであって、当該包括的な役務提供の対価である本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額は含まれているとはいえない。
 それにもかかわらず、原処分庁は、本件取引において当原告が海外旅行会社に対して提供する「役務」の内容自体を検討することなく、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているなどとしており、明らかな誤りである。これはあてはめであり、紆余曲折な取り上げを正当化している。

(2) 本件取引は個人旅行者との間の企画旅行契約ではないこと

 なお、本件取引は旅行業者と旅行業者との間の契約であって、旅行業者と個人旅行者との間の企画旅行契約とは性質を異にすることを、念のため付言しておく。
 すなわち、消費税法基本通達においては、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約に関して「旅行業者が主催する海外パック旅行に係る役務の提供は、当該旅行業者と旅行者との間の包括的な役務の提供契約に基づくものであり、国内における役務の提供及び国外において行う役務の提供に区分される」(消費税法基本通達7-2-7)とされているところ、国税庁は、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約は、飲食、輸送、宿泊等を含む包括的な請負契約であると取り扱っているようである(三宮修編『消費税法基本通達逐条解説』376頁)。
 しかしながら、上記の国税庁の解釈が正しいか否かは措いて、上記のとおり、本件取引は旅行業者と旅行業者との間の契約であって、旅行業者と個人旅行者との間の企画旅行契約とは性質を異にするものであるから、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約の内容をどのように解釈するとしても、本件取引において控訴人が海外旅行会社に対して、飲食、輸送、宿泊等の役務を提供していないことに変わりはないのである。飲食、輸送、宿泊等の役務を提供しているのは、海外の旅行会社なのである。

(B)小  括

 以上のとおり、本件取引において、控訴人は、海外旅行会社に対し、情報の収集、旅行の手配、企画、情報提供等の包括的な役務を提供しているのであって、国内での飲食、宿泊、輸送等に係る役務を提供しているわけではない。そして、これは、消費税法施行令17条2項7号イ乃至ハの役務には該当しない非居住者に対して行われる役務の提供であるから、本件取引は輸出免税取引に該当し(同号本文)、本件取引対価の額は、その総額が輸出免税取引の対価の額に該当する。

(1)原処分庁の主張は何れも不合理であること

 原処分庁は、①本件取引対価の額が、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価の額を含む本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に控訴人の利益の額を上乗せした金額により決定されていると認められること、及び、②本件国内パッケージツアーにおける本件旅行者の国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価が申立人によって各種サービス提供機関に支払われていることの2点を指摘して、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているとする。
 しかしながら、以下詳論するとおり、そもそも上記①の事実は認められず、また、上記②の事情も、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているという原処分庁の主張を根拠づけるものではない。

(2)上記①の事実は認められないこと

 本件は、売上金額から仕入金額を差し引いた金額が粗利になるという当たり前の計算をしているだけであり、そうであるからと言って、売上金額、すなわち本件取引対価の額の決定方法が、仕入金額に控訴人の利益の額を上乗せすることによって決定されていることにならないことは明らかであるし、ましてや、本件取引対価の額が本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に控訴人の受取手数料を加算して決定されていることにも全くならない。
 確かに、控訴人は、移動にかかる費用、宿泊の費用、観光施設の入場料等を積算して「包括的に」利益が上がるようにしているが、これは結果として包括的に利益が上がるように日本国内旅行を企画・手配しているということに過ぎない。本件取引対価の額は、本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に当原告の受取手数料を加算して決定されているわけではないし、ましてや、本件国内パッケージツアーに要するそれぞれの飲食、宿泊、輸送等の役務の対価に個別に対応しているわけでもない。

(3)上記(2)の事情が原処分庁の主張を根拠づけるものではないこと

 取引相手に「役務」を提供するために必要な費用を支払ったからといって、その費用に係る役務等が、取引相手に提供する「役務」の内容に含まれるわけではない。
 このことは、例えば、弁護士が相手方と交渉するに当たって電話代を支払ったからといって、弁護士が依頼者に提供する「役務」は代理人として交渉することであって、提供する「役務」に電話で話ができるようにすることが含まれるわけではないことを考えれば明らかであろう。
 したがって、本件国内パッケージツアーにおける本件旅行者の国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価が申立人によって各種サービス提供機関に支払われているからといって、本件取引において控訴人が海外旅行会社に対して提供する役務の内容に国内における飲食、宿泊、輸送等のサービスが含まれることを全く基礎づけるものではなく、また、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価に相当する金額が含まれることにも全くならないのである。

(4)直接に役務の提供を行う必要がないとの主張について

 また、原処分庁は、控訴人が直接に国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供を行うものではないとしても、非居住者である本件旅行者が国内において直接便益を享受する役務については、消費税法施行令17条2項7号ロ又はハに当たり輸出免税取引に該当しないとする。
しかしながら、上記原処分庁の主張は、審査請求人の提供する役務に間接的にでも国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれることを前提として、その場合に、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供を審査請求人自身が直接行わないとしても、当該役務は消費税法施行令17条2項7号ロ又はハの役務に該当すると言っているだけである。
 そして、消費税法上、明確に、消費税は事業者が国内において行う役務の提供に対して課される旨規定されている(消費税法4条)のであって、事業者が直接にも間接にも行っていない役務の提供に対して消費税が課されることが許されないことは明らかである。
 したがって、本件取引においては、上記のとおり、当原告が提供する役務に国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれない以上、上記原処分庁の主張は、何ら本件取引が輸出免税取引に該当することを否定する理由とはならないのである。

(5)小  括
① 以上のとおり、原処分庁の主張は何れも不合理であって、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていることを根拠づけ、本件取引が輸出免税取引に該当することを否定するものでは全くない。

② 原処分庁が主張する輸出免税の趣旨からも、本件取引は輸出免税取引とされるべきであること

 前記のとおり、当原告が提供する「役務」の内容には、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれず、消費税法を文言通り適用すれば、本件取引は輸出免税取引と認められるが、更に、原処分庁が主張する輸出免税の趣旨からも、本件取引は輸出免税取引とされるべきである。
 すなわち、原処分庁は、消費税法施行令17条2項7号の規定は、当該役務の提供を受けることが国内において完結するような性質の役務の提供については、国境をまたがない、正に国内において消費されるサービスであり、輸出と捉え得るものではないので、非居住者が国内において直接便益を享受する役務の提供として輸出免税取引から除外するものであると主張していると思われるが、本件取引は、非居住者である海外旅行会社に対して役務が提供されているだけでなく、更に、役務の提供を受けた海外旅行会社が、国外において、本件海外旅行者に対して役務を提供することが想定されているものであるから、正に、国境をまたぐ国内において完結する性質のものでないことは明らかである。
したがって、本件取引は、国境をまたぐ国内において完結する性質のものではないのであるから、上記原処分庁の主張する消費税法が輸出免税を認める趣旨からしても、輸出免税取引と認められるべきである。


(6)総  括

 以上のとおり、本件各課税期間の消費税及び地方消費税については、本件取引対価の額の総額が輸出免税取引の対価の額に該当することを前提として更正されなければならず、本件更正処分及び賦課決定処分は直ちに取り消されるべきであると考える。

以 上

| 税務訴訟 | 16:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

平成29年度税制改正で災害に関する措置が常設化

   熊本地震被災者救済のため平成28年に遡って適用されることに!

 平成29年度税制改正では、自然災害に対する税制上の措置が随所に見受けられます。これは近年災害が頻発していることを踏まえ、災害減免法に加え、これまでは災害ごとに特別立法により手当てをしてきた対応を常設化し災害対応の税制基盤を整備するものとなっています。また、2016(平成28)年4月に発生した熊本地震を受けて昨年に遡って適用されるものとなっています。
 今回はその中で、特に法人税について常設された措置をご紹介します。

(1) 災害損失の繰り戻しによる法人税額及び地方法人税額の還付
1. 制度の概要
 災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間(以下「災害欠損事業年度」という。)において生じた災害欠損金額がある場合には、その災害欠損事業年度開始の日前1年青色申告者である場合には、前2年)以内に開始した事業年度(以下「還付所得事業年度」という。)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付できることとされました。
 また、災害損失の繰戻しによる法人税額の還付が行われる場合には、地方法人税の還付金に相当する金額として、法人税の還付金額の4.4%に相当する金額が併せて還付されることとされました。

2. 災害の範囲
 震災、風水害、火災その他自然現象の異変による災害、人為による異常な災害及び生物による異常な災害をいいます。

3. 災害損失欠損金額
 災害損失欠損金とは、災害欠損事業年度において生じた欠損金額のうち、災害損失金額に達するまでの金額をいいます。

3.法人税の還付金額
 法人税の還付金額は還付事業年度の法人税額に、還付所得事業年度の所得金額に対する災害欠損事業年度の災害損失欠損金額(※)の割合を乗じた金額となります。
    ※還付所得事業年度の所得金額を限度とします

4. 適用時期
 2017(平成29)年4月1日から施工されますので、2017(平成29)年4月1日以後に確定申告書の提出を行う法人については、この制度の適用を受けることができます。
 なお、この制度は適用開始前の2017(平成29)年3月31日以前1年以内に終了した事業年度分の法人税の確定申告書を同年3月31日までに提出した法人については、同年5月1日までに還付請求書の提出を行うことによりこの制度が受けられることとされていました。

5. 還付請求書の提出に当たっての注意点
 ① 青色申告書を提出する法人以外の法人や、資本金が1億円を超える法人についてもこの制度の適用を受けることができます。
 ② この制度の適用を受けるためには、次の要件を満たしていることが必要です。
 イ. 還付所得事業年度から災害欠損事業年度の前事業年度まで継続して確定申告書を提出していること。
 ロ. 所定の事項を記載した還付請求書を災害欠損事業年度の確定申告書又は仮決算による中間申告書の提出と同時に   納税地の所轄税務署長に提出すること
 ③ 前事業年度の税額が10万円以下で法人税の中間申告を要しない場合でも、この制度による仮決算の中間申告が可能です。
 
(2)仮決算の中間申告による所得税額の還付
1. 制度の概要
 災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において、その中間申告において課される所得税額(復興特別所得税額を含む。)でその中間期間の法人税額から控除しきれなかった金額(災害損失金額を限度)を還付することとされました。

2.適用時期
 2017(平成29)年4月1日から施工されますので、2017(平成29)年4月1日以後に仮決算による中間申告書の提出を行う法人については、この制度の適用を受けることができます。

(3)その他
1.特定非常災害発生日から同日の翌日以後5年を経過する日までの期間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることができることとされました。

2.収用等又は特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例については、特定非常災害(※)に起因するやむを得ない事情により指定期間内に代替資産の取得が困難となった場合には、一定の要件の下にその期間を2年以内の範囲で延長することができることとされました。
 ※特定非常災害とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいい、東日本大震災後の災害では2016年の熊本地震が該当します。 
                                            参考資料  国税庁ホームページ


| 税制改正 | 09:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

マイナンバーって何だ?

 2015年10月以降からマイナンバー制度が開始された。マイナンバーの通知書が市区町村から送られ、写真を添付して申し込むとカードが送られてくる。
 さて2017年の6月現在、実施状況はどうだろうか。確かにほとんどの人はマイナンバーの通知書は送られている。しかしカードの申請となるとまだまだほとんどが持っていない状況だと思う。
 さて自治体から送られてくる住民税特別徴収通知書につき、今年からはマイナンバーの記載が義務化されたが、実際に取り扱う自治体の多くでは、番号の記載を見送る方向にあることがわかった。
 以下のようなトラブルが起きたことが原因と考える。
 たとえば、静岡県湖西市では、昨年同市にふるさと納税した164市区町の1992人に対して、誤って別の人のマイナンバーを記載した寄付金控除に関する通知書を送付していた。確定申告が不要になるワンストップ特別制度を利用する寄付者については、寄付を受けた自治体から寄付者の居住地である自治体に税を控除するよう通知しますが、その中の一部に誤りがあったのだ。
これについて国の個人情報保護委員会はマイナンバー法28条に定める‘重大な事態’に該当するとし、同市に内部調査や再発防止に向けた取り組みを求めていくそうだ。
 こうした状況について湖西市の総務部長は‘今年から通知書にマイナンバーを記載しなければならなくなり、事務作業が増えたため’と釈明したそうです。
 本来、マイナンバーのメリットは、➀公平・公正な社会の実現、➁国民の利便性の向上、➂行政の効率化の3つを掲げている。
‘公平・公正’は税金や社会保険の取りはぐれのない社会をという国のスローガンで必要なのだろうが、‘国民の利便性の向上’については国民の声は聞こえない。同じく‘行政の効率化’についても、市民と実際に接する自治体の現場から‘マイナンバーの効率化が目覚しい’という声も伝わってこない。こうした状況の表れとしてマイナンバーに対して検討する自治体は増えていると思う。
 この風潮として毎年5月に送られてくる‘住民税特別徴収通知書’に不記載の方向で検討している自治体が増えているそうです。
また東京23区の税務課長会では、特別徴収額の決定通知書へのマイアンバーの記載について、‘必ずしも必要ではない’として総務省に見直しを求めているそうです。
 事業者はマイナンバーによって納税額を管理するのではないため不要というのがその理由だそうです。これに対して総務省は、‘正しい番号を行政と自治体で共有するため必要’といた返答で突き返されている。
 東京・中野区は、同通知書のマイナンバー記載欄にはアスタリスク(*)で印字し、住民のマイナンバーを記載しない方向であることを昨年11月の区議会での質疑で示したそうで、この余波は大きく、全国に広がっている。
 マイナンバーを記載しない方向である理由には、➀郵便物の紛失などによる情報漏えいのリスク、➁簡易書留で発送する際の郵送代、➂事務の手間の増大によるミスのおそれ、が挙げられる。
 このような実態を理解して国はマイナンバーを‘利便性のあるもの、快適性’を感じられるよう、国民の目線で議論をすることが必要であると考えます。

(参考:月間社長のミカタ 2017年4月号)

| 財政・税務 | 09:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

ー改正民泊法と税ー

-改正民泊法と税-

 第193回通常国会が6月18日に終了しました。今国会で成立された法案は63本と言われています。その中で2017年6月9日に民泊新法とされる「住宅宿泊事業法」が参議院本会議で可決成立されました。公布日から1年以内の施行ですが、早ければ2018年1月にも施行されるのではないかと報道がされています。
現在日本を訪問する外国人は2000万人にのぼります。今回の「住宅民泊事業法」は国内外の観光客の宿泊需要に応えるため、民泊サービスに一定のルールを設けて普及を図るのが目的です。
民泊事業者には衛生管理や宿泊者名簿の作成、民泊住宅とわかる標識の掲示などを義務づける。届け出を怠るなど法令に違反した場合、業務停止命令や事業廃止命令を受け、従わない場合は6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。年間営業日数の上限は180泊とし、地方自治体が条例で短縮できる規定も盛り込みました
ところで現在の民泊サービス業は、大阪府と大阪市、東京都大田区の3自自体が、国家戦略特区に基づく民泊条例による認定を受けて活用していますが、公衆衛生・近隣の住民とのトラブル等いろいろな問題を抱えつつ施行されています。
昨年まで、民泊世界最大手として先行していたのが米国のエアビーアンドビーです。
国内52,000件の物件登録をもっており、日本での民泊サービスの先駆けでもあります。
また、中国の民泊大手のトゥージアもすでに日本法人を設立、中国人観光客向けに中国語で日本の物件紹介を開始しているそうです。
2017年6月23日の日本経済新聞朝刊によると、今回の民泊法改正により企業が続々と民泊事業に参入しているそうだ。楽天が6月22日仲介事業を始めると発表。KDDI子会社も6月23日から民泊物件を募集する予定であり、レオパレス21も民泊事業を検討し始めているそうだ。

民泊市場の規模について、毎年民泊データを公表している「SPIKE」によると、
2017年度予想では830億円、東京オリンピックが開催される2020年度には2000億円の市場規模になると予想されています。さらに個人・中小法人も、ビジネスチャンスと捉え算入の機会をうかがっているだろう。

今回の「住宅民泊事業法」では個人・法人共に以下の届け出が必要となります。
1 住宅民泊事業者は、都道府県知事へ届け出が必要。
2 住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣の登録が必要。
3 住宅宿泊仲介業者は、観光庁長官の登録が必要。

(民泊と税)

税に関しては、特に民泊をする個人事業者と外国旅行者との取引です。一般的には楽天やエアビーアンドビーなどの大手企業に民泊登録し、そこから宿泊者を紹介するケースが多いと思われる。この場合宿泊代金も登録した企業から振り込まれればよいのだが、直接外国人旅行者と取引を行う場合には注意が必要だ。
まず、国外からの外国通貨での送金。そしてなれない外国語での対応なども大変だ。
そして民泊収入に対する税の申告もある。宿泊料は所得税等の対象になるからだ。
また、現状では固定資産税の減額特例の対象外にもなっている。
また、昨年から本格導入されているマイナンバー制度により、民泊の届け出をする場合、マイナンバーでの紐付けがされるはずなので、国税も税務申告の有無は分かるはずである。
2015年9月に成立した改正マイナンバー法により、マイナンバーは2018年から銀行口座にも適用(紐付け)されることが決定されている。最初から義務化されるわけではなく、当面は任意であり、義務化は2021年と段階的に実施される予定だ。
これにより国内取引だけでなく、国外取引に関しての預金口座の調査も容易に出来ることとなる。こうなると、訪日外国人と直接現金での受け渡しが増えることも考えられる。
いずれにせよ民泊新法の施行日はまだ確定していない。
観光立国日本をスローガンに掲げている以上、今後民泊事業は大きく膨らむ可能性を秘めている。税もその経済環境に適合するように改正されて来るのではないだろうか。


               参照: 週刊税務通信 2017年6月19日号
                   日本経済新聞 2017年6月23日朝刊

| 業種別特別情報 | 08:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

法人設立届出書等について手続きが簡略化されました

平成29年度税制改正により4月1日より実施

 平成29年度税制改正において、国税における手続きの簡略化が図られることとなり、ました。これにより、法人設立の際の添付する「登記事項証明書」の添付の省略及び異動届出書等の提出先のワンストップ化が図られることとなりました。

(1)登記事項証明書の添付の省略
1.概要
 法人の設立の際、設立後2月以内に以下の書類を添付して所轄税務署に設立届を提出しなければなりませんでした。
① 定款等の写し
② 登記事項証明書
③ 株主名簿
④ 設立趣意書
⑤ 設立時の貸借対照表
⑥ 合併等により設立されたときは被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類(合併契約書の写し、分割計画書の写しなど)
 このうち、②の登記事項証明書の添付が不要とされました。

2. 対象となる届出書
 今回の改正は企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、①法人の設立・解散・廃止などの届出書等において添付が必要とされていた「登記事項証明書」、②税務署からの求めにより添付していた「登記事項証明書」について、2017(平成29)年4月1日以後下記書類等への添付が不要となりました。
① 法人設立届出書
② 外国普通法人となった旨の届出書
③ 収益事業開始届出書
④ 普通法人又は協同組合等となった旨の届出書
⑤ 税務署から要求があった場合の営業等承継申告書

(2)異動届出書等の提出先のワンストップ化
1.概要
 納税者の円滑・適正な納税のための環境整備を図る観点から、移動前と移動後の双方の所轄税務署に提出が必要とされていた異動届出書等については、2017(平成29)年4月1日以後の納税地の異動等により、対象となる届出書等の提出する場合,異動後の所轄税務署への提出が不要となりました。
 なお、e-Taxにより提出をする場合には、異動後の所轄税務署を選択する「追加提出先税務署」欄への入力は不要となります。

2.対象となる異動届出書等
 ① 個人の納税者の場合
イ. 所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
ロ. 所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
ハ. 個人事業の開業・廃業等の届出書
ニ. 給与支払事務所等の移転届出書
 ② 法人の納税者の場合
イ. 異動届出書
ロ. 消費税異動届出書
 ※連結子法人に係る異動届出書については、連結子法人の異動後の届出書のみ提出不要で、連結親法人の納税地及び連結子法人の移動前の所轄税務署への提出となります
 
(3)地方税の取り扱い
 今回の税制改正の対象とされているのは、あくまでも国税のみです。従って、都道府県民税及び市町村民税は対象となっていませんので、設立の際に「登記事項証明書」の添付は必要ですし、異動届等についても移動前と異動後の都道府県税事務所及び市役所等への提出が必要となります。
 国と地方公共団体での取扱いが統一されていない項目に該当しますので、注意が必要です。

      参考資料  国税庁ホームページ
            東京都主税局ホームページ  
          

| 税制改正 | 13:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>