税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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役員への巨額な損害賠償金の支払い命令

   支払いのカギを握るのは「会社役員賠償責任保険」

 平成23(2011)年に発覚した光学機器大手オリンパスの巨額損失隠しを巡る株主代表訴訟などで東京地裁は4月27日、菊川剛元会長(76)など旧経営陣ら8人に総額590億円の損害賠償を命じたとの新聞記事が載りました。
 過去を振り返ってみても、億単位の損害賠償命令が出た事案はありました。個人でこのような多額の損害賠償金が支払えるのかと疑問に思われる方もいるかと思います。
 しかしながら、ニュース等で取り扱われるのは裁判の判決までで、実際に支払が行われたかについてはあまり報道されていないような気がします。

1. ミスタードーナツの事例
 「ミスタードーナツ」を展開するダスキンの旧経営陣が、無認可添加物入りの肉まんの販売で会社に損害を与えたとして、元取締役にその賠償を求める株主代表訴訟の控訴審について、平成19(2007)年1月18日に大阪高等裁判所は、肉まん販売に関する直接の責任者だった元取締役2人に対し、53億4350万円の損害を命じました。
 ダスキンによると2人は総額の約1割弱しか支払えず自己破産をしています。

2. 住友電気工業の事例
 光ケーブルなどを巡るカルテルを結び、独占禁止法違反で約88億円の課徴金を納付した住友電気工業の当時の役員ら22人に同額の損害賠償を求めた株主代表訴訟で、役員らが会社に5億2000万円の解決金を支払う和解が平成26(2014)年5月7日、大阪地裁で成立しました。
 この和解金については全額支払いがされていますが、「会社役員賠償責任保険」が適用されたとみられるのです。
 
3.会社役員賠償責任保険
 「会社役員賠償責任保険」は、役員個人が株主代表訴訟や第三者から被告として訴えられた時に訴訟費用に備えるための保険なのです。ただし普通保険約款等においては、株主代表訴訟や第三者からの訴訟で敗訴した場合の賠償金や和解金については免責との条項が設けられているため、株主代表訴訟や第三者からの訴訟で敗訴した場合の賠償金や和解金を保険対象に含める旨の特約(以下、「株主代表訴訟担保特約」といいます。)を付さないとカバーされないので、注意が必要です。
 保険料については、個別に決める支払限度額や企業規模、業種で異なります。限度額が高額であれば当然保険料の高額となり、限度額が数十億円ともなれば保険料も1千万円を超えることもあるようです。

4.保険料の負担(従前の場合)
 会社が会社役員賠償責任保険の保険料を支払った場合、「株主代表訴訟担保特約」部分の保険料については、会社法上の問題に配慮して会社から役員に対する経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象とされていました。

5.新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い
 経済産業省が平成27(2015)年7月24日にコーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が取りまとめた報告書により、一定の手続きの下、会社が会社役員賠償責任保険(株主代表訴訟敗訴時担保部分)の保険料全額を負担してもよいことを明らかにしました。
 このため国税庁からも、一定の手続きを経ることのより、当該保険料を会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はなく、役員個人に対する給与課税を行う必要はないものとして取り扱われる旨が公表されました。

6.一定の手続き
 次の①及び②の手続きを行わなければなりません。
①  取締役会の承認
②  社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得

 国の調査によると大手上場企業の9割が会社役員賠償責任保険に加入しています。訴訟リスクの高まりと取締役会の承認や社外取締役全員の同意があれば保険料を全て会社が負担できるので検討する企業も増えるのではないでしょうか。
 ただし、会社役員賠償責任保険に加入していたとしても必ずしも保険金が支払われるとは限りません。どの保険会社でも免責条項を定めており役員である被保険者が私的利益のための行為や違法行為を認識していた場合等には保険金が下りないこともあるのです。

参考資料  毎日新聞 Yahoo!ニュース 5/4(木)19:17配信
      会社役員賠償責任保険の保険料に関する税務上の
                     取扱いが公表されました(経済産業省)
       nikkeiBPnet 2007年1月19日 11:36
      日経新聞2014年5月7日
      新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて
                         (国税庁ホームページ)

| 保険税務 | 18:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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認定経営革新等支援機関の制度見直しがはじまる

認定経営革新等支援機関の制度見直しがはじまる

 認定経営革新等支援機関制度の役割に関して、中小企業庁はこの度、この制度の見直しの検討に入った。
2012年(平成24年)8月30日の「中小企業経営力強化支援法」に基づいて同年11月5日に第1号認定機関が指定されてから、今回2017年4月19日に新たに第43号となる87の認定機関が発表された。これにより認定経営革新等支援機関の数は26,132機関に上った。ただしこの中には対外的信用目的のために認定取得を取った企業も多いといわれている。

中小企業庁が2016年(平成28年)12月8日に発表された「認定経営革新等支援機関の現状について」という調査資料がホームページに掲載されている。
これによると、認定機関の内訳としては、税理士(税理士法人含む)が約20,000件と全体の77%を占めていることがわかった。その他公認会計士、弁護士、中小企業診断士などが続いている。

ところで、認定経営革新等支援機関の認定基準は以下の3つになっている。
①  知識に関する基準
 要件:税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識を有していること。
又は同等以上の能力を有していること。
② 実務経験に関する基準
中小企業等に対する支援に関し、経営革新等支援業務にかかる1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していること又は同等以上の能力を有していること。
③ 体制に関する基準
経営革新等支援業務を長期間にわたり、継続的に実施するために必要な組織体制(管理組織、人的配置等)及び事業基盤(財務状況の健全性、窓口となる拠点等)を有していること。

上記基準のうち国家資格を持つ士業(いわゆる弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士 等)は上記1の基準から免許があることにより認定機関として認められている。
中小企業庁の調査報告書に戻るが、この認定支援機関に対し任意調査としてメールにて現状把握の確認として2回アンケートを実施している。
第1回:平成26年度19,788機関  回収率42.8%
第2回:平成27年度23,143機関  回収率31.1% 
当事務所もアンケートに協力し回答したが、全体として回収率は3割弱にとどまっている。
このおもな調査事項は、得意分野及び得意支援内容、関与した補助金の採択実績、経営状況の分野や事業計画策定支援の実施状況、支援後のモニタリング実施状況、支援機関との連携状況などであった。
これによると「経営革新」であれば商工会や中小企業診断士が得意分野として挙げており、税理士の場合は「経営改善」「創業支援」を得意分野に挙げており支援の能力に対するばらつきが見受けられるという。
中小企業庁の調査によれば直近1年間で法定業務である経営革新等支援業務をほとんど行っていないと回答する支援機関が約3割に上っている。

今後は、認定有効期間を3~5年。支援活動に関するアンケート調査への報告義務を徹底し、違反した場合は認定取り消し。認定支援機関同士の連携を促し、不得意分野の相互補完が出来る仕組みを進めるという。

これらの改正は早ければ今年の6月頃から着手するという。
認定経営革新等支援機関26,132機関のうちいくつの機関が生き残れるのだろうか?

                  参考資料: 中小企業庁HP
                        週刊T&Amaster 2017.4.24号

| 事業再生・承継・再建 | 15:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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免税の適用を受けるための証明

 『免税の適用を受けるための証明』についてまとめてみたいと思います。

 *消費税法第7条第2項(輸出証明)に規定する「財務省令で定めるところにより証明されたもの」または租税特別措置法施行規則第36条第1項(外航船等に積み込む酒類等の免税手続)に規定する「承認を受けた事実を証明する書類」は、以下に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ帳簿または書類になります。(規5、基通7-2-23)。

1.関税法第67条(輸出または輸入の許可)
A. 輸出許可証
① 輸出許可通知書、輸出申告控が該当

2.郵便による輸出の場合B-1.その輸出の時におけるその資産の価額が20万円超の場合
  (ただし、輸出の時におけるその資産の価額が20万円を超えるか否かの
      判定は、原則として郵便物1個当たりの価額によるが、郵便物を同一受取人に2個以上に分けて差し出す場合には、そ      れらの郵便物の価額の合計額による。)
① 輸出許可通知書、輸出申告控が該当

B-2. その輸出の時におけるその資産の価額が20万円以下の場合     (次のイまたはロのいずれか)
  (イ)次の事項を記載した帳簿 
     a.輸出年月日
     b.品名並びに品名ごとの数量及び価額
     c.受取人の氏名または名称及び住所等
  
    (ロ)受取人から交付を受けた物品受領書等(書類)で次の事項が記載されているもの
     a.輸出者の氏名または名称及び住所等
     b.品名並びに品名ごとの数量及び価額
     c.受取人の氏名または名称及び住所等文字色
     d.受取年月日


3. 保税蔵置場の許可を受けた者が海外旅行者等に出国に際し携帯輸出する物品を譲渡する場合
   ① 輸出証明書 
    (注)この場合には、‘海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書’も必要になります。
   

4. その他船舶等の貸付け・譲渡等である場合などがありますがここでは割愛させて頂きます。
  
特に輸出価額が20万円以下の場合について郵便物として出す場合には、帳簿または書類が承認を受けた事実を証明するものであることを再度確認しておきたい。


(参考・参照) 平成28年版 図解消費税
        消費税法、消費税法施行規則、消費税法基本通達、消費税法施行令
租税特別措置法
     

| 消費税法 | 19:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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申告期限が決算日後、最大6か月まで延長されます

4か月を超えない期間で申告期限の延長が可能

 平成29年度税制改正において、株主総会期日を分散化を促進し、企業と株主・投資家との充実した対話を促すため、申告期限について決算日後6ヵ月以内を限度に最大4か月間の延長が認められることとなりました。

1.改正の趣旨
 会社法上、株主総会は毎事業年度終了後一定の時期に招集することが定められており、議決権行使の基準日を定めた場合、その基準日から3か月以内に株主総会を開催しなければなりません。現在の企業実務ではその基準日を決算日と一致させているため、例えば3月決算の法人については6月末までに申告書を提出しなければなりませんでした。
 しかしながら、会社法上は必ずしも基準日を決算日とすることは要求しておらず、基準日を決算日と異なる日とすることが可能なのです。従って、企業が個々の事情に応じて柔軟な総会の日を定める事が本来会社法上は可能であり、3月決算法人についても基準日を6月末に定めれば、株主総会の日を9月末とすることができるのです。

2.改正前の申告期限の延長
 法人税法上は、原則決算日から2月以内に決算を確定させ申告書を提出しなければなりませんが、基準日から3か月以内に開催される株主総会を考慮して以下の条件の上で1か月の延長が認められていました。
① 定款において事業年度終了の日から3月以内に株主総会を開催する旨を定めている
  事
② 事業年度終了の日までに申告期限の延長の特例の申請をしている事

3.申告期限延長の改正の概要
 法人が会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3月以内に決算についての定時総会が招集されない状況にあると認められる場合には、4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間の確定申告期限の延長を認めるというものです。

4.税務署長が指定する月数の具体例(3月決算法人の定款を例とします)
①定款:当会社の定期株主総会は、毎年7月にこれを招集する
     ⇒申告期限7月末→2か月延長
②定款:当会社の定時株主総会の議決権の基準日は毎年5月31日とする
   定時株主総会は議決権の基準日から3月以内に招集する
     ⇒申告期限は定時株主総会の期日に応じて申告期限7月末(又は8月末)
                 →2か月(又は3か月)延長
      ※定款の写しの他に定時総会の招集月が確認できる書類の添付が必要です
③定款:当会社の定時株主総会の議決権の基準日は毎年6月30日とする
    (定時総会の召集時期の定めがない)
     ⇒申告期限は定時株主総会の期日に応じて申告期限7月末
       (又は8月末若しくは9月末)→2か月(又は3か月若しくは4か月)延長
      ※定款の写しの他に定時総会の招集月が確認できる書類の添付が必要です

5.消費税の申告期限
 今回の改正については、法人税と法人事業税についての延長の規定が定められていますが、消費税の申告期限については、従来通り延長は認められていませんので、原則である2か月以内に申告をしなけらばなりません。
 なお、道府県民税と市町村民税は法人税と同様に申告期限の延長の対象となります。

6.法人税の納付期限
 法人税の納付期限については、消費税と同様に延長は認められていませんので、2か月以内に納税をする必要があり、申告期限延長により納税が遅れた場合には利子税・延滞金が課されることとなります。

7.申請書の提出期限
 申請書に定款の写しと所定の書類を添付して、特例の適用を受ける事業年度終了の日(連結事業年度について申請する場合には、連結事業年度終了の日から45日以内)に納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

8.摘要開始
 2017(平成29)年4月1日より施行となっていますので、同日より申請が可能です。

 この改正により、企業の実情に応じて自由に株主総会の招集が可能となりますし、6月に集中していた株主総会が分散化されれば、企業と株主・投資家との充実した対話を促すことが期待されます。



         参考資料  平成29年度 税制改正大綱
                平成29年度 経済産業関係 税制改正について
                  (経済産業省)
                法人税の申告期限延長の特例の適用を受けるに
               当たっての留意点
                   (経済産業省経済産業政策局企業会計室)

| 税制改正 | 19:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「平成27年度会社標本調査」公表

国税庁「平成27年度会社標本調査」結果を公表          

 さて今年も2017年3月30日付けで国税庁のホームページにおいて、法人企業の実態調査である、「会社標本調査」結果を公表しました。
この調査は我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積もり、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施されているもので、昭和26年から続いている統計資料です。

まず調査対象法人ですが、日本国内で2015年4月1日から2016年3月31日までに終了した普通法人2,641,848社(休業清算法人・NPO法人・一般社団・財団法人を除く)を対象に標本調査という手法で調査対象法人(母集団)から資本金階級別・業種別等に一定の方法で標本法人を抽出し、その標本法人基礎データを基に、母集団全体の計数を推計したものです。

1.それではまず税務統計から見た法人企業の実態ですが、申告法人2,641,848社のうち資本金階級別の構成比では、資本金1000万円以下の階級が2,262,380社で全体の85.6%を占めています。次いで資本金1000万超1億円以下が356,019社(13.5%)で法人数全体の99.1%を資本金1億円以下の法人が占めています。
また、業種別法人数の構成比をみると、サービス業(27.3%)・建設業(15.9%)・小売業(12.6%)の占める割合が大きい。

 組織別法人数の構成比では株式会社が全体の94.3%を占め、以下合名会社(0.1%)合資会社(0.7%)合同会社(1.9%)と続いています。

2.欠損法人64.3%と前年度より2.1%減少
 図1を見ていただきたい。利益が出ている法人数は939,577社、これに対して欠損法人は1,690,859社で全体での割合が64.3%となっており前年比2.1%減少しており、まだまだ欠損法人が多いことには変わりません。

3 その他調査結果から見た主要点

交際費等の支出額は3 兆4,838億円で、このうち税法上損金に算入されない金額は 9,065億円であり、支出額に占める割合( 以下「損金不算入割合」という。)は 26% です。
1. 法人税額は10兆5,014億円になっている。また、所得税額控除は3兆8,794億円、外国税額控除は5,489億円になっている。
2. 繰越欠損金の当期控除額は8兆2,050億円で、翌期繰越額は65兆3,731億円となっている。

 この税務統計調査は申告法人の実態を明らかにするだけでなく、今後の租税収入の見積もりや、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料としての目的を備え持つ重要な統計資料と言ってもいいでしょう。
我々もこの統計資料から、日本の企業の現状と今後の展開を注意深く見ていく必要があると思います。

参考資料:国税庁HP「平成27年度会社標本調査」より

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