税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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贈与の非課税枠の多重活用

 贈与税がかからない贈与の方法とは!  
 暦年控除との併用を活用!

 子供や孫が父母、祖父母から教育資金や住宅購入資金をもらうケースもよくあると思いますが、一定の金額を超えるとこれには贈与税がかかります。
 贈与税がかからないもらい方とは。
 贈与税は1年間にその人が贈与を受けた財産の合計額にかかってくる。贈与税をゼロかできるだけ少額に抑えるポイントは‘非課税制度や控除枠をフル活用すること’です。
 まず知っておくべきことは、子や孫が父母、祖父母から生活費や教育費、結婚費用、出産費用などの援助を受ける場合は原則非課税になることです。父母、祖父母は子や孫を扶養する義務があります。義務を果たすために贈ったお金への課税はなじまないということからです。
 ただ、‘もらったお金を使わずに運用に充てる場合’などは課税対象になります。
 国税局は2013年末に‘扶養義務者から生活費または教育費の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A’という文書をホームページに掲載しました。そこでは、‘通常必要と認められる金額を超える場合は課税対象’としています。
 では‘通常必要’とはどれくらいの額を指すのだろうか。国税局は‘贈与された人の需要と贈与した人の資力その他一切の事情を勘案する’として金額基準は示していません。しかし、子や孫が大学生ならば‘300万~400万円が限度では’と見ているようです。
 次に知っておきたいことは、贈与されたお金の使途目的別の非課税制度です。例えば、住宅取得資金については父母、祖父母からもらう際に今年は500万円(一般住宅)の非課税枠があります。
 住宅取得資金の贈与非課税制度を利用するには、贈与を受ける人や対象となる住宅について、次の一定の要件を満たす必要があります。

 ①贈与を受ける人の要件
  ・国内に住所があること
  ・20歳以上であること
  ・贈与された年の合計所得が2,000万円以下であること
  ・贈与された年の翌年3月15日までに新居に住むこと


②対象となる住宅の要件
  ・床面積50~240㎡で、その半分以上が居住用であること
  ・中古住宅は建築されたのが取得日から20年(鉄筋コンクリートなどは25年)以内であること
  ・中古住宅は、
    ①耐震基準を満たすこと
    ②実際に住む日までに耐震改修工事済みであること

 教育資金については、昨年4月から導入された‘教育資金の一括贈与についての非課税制度’があります。2015年末までの贈与について、子や孫(30歳未満に限る)1人につき1,500万円まで非課税になります。必要な都度、教育費の援助を受ける場合はもともと非課税ですが、こちらは一度にもらっても非課税なのがポイントです。
 贈与税は贈与された財産から、これまでにあげた非課税分と控除枠を除いた部分にかかります。控除枠は2つのタイプがあります。
 贈与税を毎年の贈与額に応じて納める‘暦年課税’の場合は、年間110万円まで控除(基礎控除)。
 贈った人の死後にまとめて納める‘相続時清算課税’は、原則65歳以上の父母から20歳以上の子への贈与なら2,500万円まで控除できます。課税額は相続財産と合わせて決めますが、相続税がかからなければ、贈与税もかかりません。
 これらの非課税制度と控除枠は併せて使えるため、贈与税がかからない金額は意外に多いのです。今年中に父母からの贈与で住宅を購入する場合、住宅取得資金の贈与の非課税枠と暦年課税の控除を併用すれば合計610万円まで、相続時清算課税との併用ですと3,000万円までが非課税になるのです。
 ここで、贈与税がかかる場合に見落としがちなケースも知っておきましょう。
次に簡単にまとめてみます。

 ①贈与税がかからない場合
  ・父母、祖父母から子、孫への生活費や教育費などの援助
  ・教育費の一括贈与-1人あたり1,500万円 
  ・住宅取得資金の贈与-14年分は500万円  
  ・暦年課税なら年間110万円(基礎控除)まで
  ・相続時精算課税なら2,500万円(特別控除)まで

 ②意外と贈与税がかかる場合の例
  ・親が保険料を負担した満期保険金を子が受け取る場合
  ・親が不動産などの名義を無償で子の名義に変更した場合

 まず生命保険の満期保険金は、親が自ら契約して保険料を支払い、子が満期保険金を受け取った場合は子に贈与税がかかる。親が不動産や株式などの名義を無償で子の名義に変更した場合も、子が財産を贈与されたと見なされ課税対象となります。
 このような事例について、税務署は、具体的には登記資料などで不動産の購入にあたって、親や祖父母からの贈与がないかどうかをチェックし、お尋ねなどで把握しています。

 (参考資料 2014.2.18日本経済新聞 夕刊、国税局ホームページQ&A)
           
 

| 相続税及び贈与税 | 13:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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相続税の課税の分岐点

*相続税の課税の分岐点について

(1)相続税のキーポイントは、「基礎控除」と「自宅敷地の評価」にあります。
 平成23年に亡くなった人は、約98万人であり、そのうち相続税の課税対象となったのは約4.4万人です。このことから相続税のかかる割合は約4.5%になります。
 つまり、100人の方が亡くなって、相続税がかかるのは5人ぐらいで、残り95人は相続税が課税されていないのです。
 例をあげると、時価1億5、000万円くらいの自宅と、その他の財産5、000万円くらいだったら、ほとんど相続税はかからない実情があります。

  ① 基礎控除   
    (改正前5、000万円+1、000万円×法定人数の数)
    (改正後3、000万円+600万円×法定相続人の数―H27.1.1以後適用)
 相続税は一定金額を超える財産を遺して亡くなった場合にかかる税金です。
 例えば、今までは相続人が配偶者と子供2人で計3人の場合は財産額が8、000万円まででしたら相続税はかかりません(基礎控除の範囲内)。つまり、8、000万円を超える財産を相続した場合のみ相続税がかかったのです。

  ② 自宅の評価の特例 
 遺した財産の主なものが自宅で、その自宅が地価の高い場所にあるため相続税評価額が1億5、000万円にもなり、基礎控除を超えるので相続税がかかってくるといって場合だと、相続税を払うには自宅を売却するしかありません。
  しかし、相続税はそこまで厳しい税金というわけではなく、最低限‘自宅’は遺してあげようという趣旨で、自宅の敷地の相続税計算においては、240㎡まで80%引きとなる特例があります。
  これを‘小規模宅地等の評価減’と言います。(事業用の宅地で一定のものについても400㎡までこの特例を受けることもできます。)
  例を言うと、被相続人が亡くなった場合に、その配偶者である妻が自宅敷地の一部または全部を相続すれば、小規模宅地等の特例により、自宅敷地のうち240㎡までの部分の相続税評価額は80%引き、つまり20%評価となります。この場合だと時価(路線価評価額)1億5、000万円の自宅の敷地は、特例を受けると相続税評価額は3、000万円(1億5、000万円×20%)となります。
 したがって、相続人が妻と子供2人の計算で、相続財産が他に5、000万円あるという場合、相続財産の評価額は自宅敷地3、000万円とその他財産5、000万円の合計8、000万円となり、基礎控除以下になるため相続税はかかりません。ただし改正後(H27.1.1以後)は基礎控除が4、800万円となるので、相続税がかかる人が増加するのは必至ですが。                           
(参考:経営者・経理総務担当月刊誌CLUE・平成25年度税制改正 国税局HP)                                   
 

| 相続税及び贈与税 | 12:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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教育資金贈与について

直系尊属から、ひ孫・孫・子への教育費(大学入学資金等)を贈与した場合、受贈者1人につき1,500万円(※)まで贈与税が課されなくなる(非課税)予定です。
※塾・予備校等の学校等以外への支払いは500万円迄2013716-1.png

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資料出典:三井住友銀行より

| 相続税及び贈与税 | 15:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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高額な報酬額にびっくり!遺産整理で信託銀とのトラブル増加

 相続税の増税を受けて、資産の適切な継承方法や管理方法がこれまで以上に重要になっています。他の方法では対応できなかった問題や悩みが解決することもあり、最近は投資信託や遺言信託、今年からは教育資金贈与信託など、さまざまなシーンで各商品が活用されています。また、信託業務を提供する信託銀行や信託会社は、ニーズの高まりに合わせてここぞとばかりに新商品投入や営業力強化などに力をいれています、しかし、なかには営業法や料金体系に関して利用者との間で意見の相違が生じているケースもあるようです。
 次のケースは地方中枢都市に事務所を構えるA税理士が相談を受けた事例です。

(1)トラブルの概要
①信託銀行との契約の経緯
 資産家の妻である甲さんは、昨年夫を亡くしました。夫の死亡の3週間後、取引のある大手銀行の紹介で、その銀行と同グループの信託銀行の担当者が自宅に訪れ、相続に関する手続きするというのです。大手の信託銀行だったことと、とにかく面倒な作業を済ませたかったこともあって、甲さんは相続人代表として遺産整理業務の契約を結ぶことにしたのです。
②トラブル発生
 遺産整理業務の報酬がいくらなのか甲さん本人はずっと知らなかったというのです。何度問い合わせても「作業が終わらないと分からない」という答えが返ってくるだけでした。契約から9ヵ月すぎて伝えられた手数料は甲さんが思っていた額を大きく超えるものでした。財産の合計額1億2,663万円に対する報酬は160万9,907円!!
 信託銀行が行った業務はメーンは財産調査と財産目録作成、分割手続きへの関与のみと主張しており、この信託銀行に遺産整理業務の改善を願いでました。また、同じような状況に追い込まれる人を減らすために金融庁に対して信託銀行全体の調査・指導を依頼したそうです。
③報酬の設定
 この信託銀行の場合:
遺産整理報酬 系列の銀行や証券会社に預けた財産.....0.3%
その他の資産 1億円以下の部分........1.4%
       1億円を超える部分.....0.8%
      (遺産整理報酬が100万円に満たなければ100万円)
遺産整理報酬の他に消費税および実費
 甲さんの場合には、遺産整理報酬が152万7,693円、消費税が7万6,384円、残高証明発行手数料の実費が5,830円で合計160万9,907円となったのです。
④トラブルの原因
 依頼者である甲さんが手数料をずっと認識していなかったことと、確定した報酬が業務の内容に比して高額であったことでした。

(2)問題点
①遺産整理報酬額が整理対象の財産額で決定される契約
 このケースの信託銀行が特に高額というのではなく、他の信託銀行も同じような報酬規定を定めているようです。しかし、信託銀行の業務は限定されており、税理士や司法書士の業務は含まれず依頼人が別途依頼しなければならないのです。財産の額が高額になれば報酬が高額となるシステムではどうしても割高に感じてしまいます。
②遺産の総額が確定するまでは手数料が明確にならない契約
 財産の総額が確定するまで明確にならないからといって、「作業が終わらないとわからない」という回答では依頼者は納得できません。
③信託銀行の説明不足
  相続の経験がなく、大切な人を失ったことで失意の中にある人たちにとって手数料の詳細を理解するのは簡単なことではありません。契約を交わしたから、一通りの説明をしましたからでは足りないのです。

(3)トラブル回避のために
 依頼する側は対応してくれる業務やメリットとデメリットを理解したうえで、依頼するようにしたいものです。
①メリット
信託銀行に遺産整理業務を依頼することで、資産運用のアドバイスや信託の有効活用法を受けやすくなること
②デメリット
 節税の助言ができるのは税理士だけ、信託銀行にできる業務は限定されていること

 また、信託銀行に対しては、依頼者に対して業務の内容と報酬について納得がいくまでの説明をしていただきたいことです。今回のケースと異なり満足のいくケアを受けられることもあれば、信託銀行と資産運用についての新たな関係も構築できるの可能性もあるのですから。
                 
(NP通信社 月刊「社長のミカタ」より)

| 相続税及び贈与税 | 09:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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家族信託を活用したらどうでしょうか?

元気なうちに‘遺言効果’を!

 「遺産のことで家族がもめないようにしておきたい」、「相続が‘争族’にならないように対策を講じたい」、というような誰もが抱くこうした思いを背景にして、家族の財産管理や資産承継に「家族信託」を活用する動きが広がっているようです。富裕層にだけ限らず、「資産は自宅の土地・建物と、老後資金の銀行預金が3千万円ほど」といった一般的な世帯でも、「家族信託」を活用するケースは増えているという。上手に設計すれば「遺言の効果が生前から得られる」とされる「家族信託」の現状について話してみたい。

 「家族信託」とは、家族の財産管理や承継に信託の仕組みを利用するもの。
平成19年から施行された改正信託法によって、民事信託(非営業信託)のひとつとして、可能となった。改正信託法で「遺言代用の信託に関する規定」や「後継ぎ遺贈型の受益者連続に関する規定」などが整備されたことにより、家族の生活保障や個人事業の承継などに、活用することになった。主なメリットとしては、「受益者」のために、「委託者」と「受託者」との間で自由に信託内容を決められることや、生前から死語まで効果継続することなどが挙げられている。また、実際の利用にあたっては、信託銀行が商事信託
(営業信託)の商品として取り扱っているものを活用する以外に、税理士や弁護士、司法書士などを信託監督人として公証役場で信託契約を認証する方法も可能である。このため「家族信託」では、信託銀行が関与していないケースも多くみられる。

 「家族信託」は個々の家庭の事情に会わせて、さまざまなかたちで設計される。例えば、本人が生存中は本人を受益者とし、死亡後は本人の子・配偶者などを受益者とする「遺言代用の信託」のかたちや、本人の生存中は本人を受益者とし、死亡後は本人の配偶者を、配偶者の死亡後はさらに本人の子を連続して受益者とする「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」などのかたちがある。「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」では、父親の死後、受益者を母親、さらにはその子へと連続して与えるプランや、障害のある子を受益者として財産を残す設計も可能となる。
 
「遺言代用の信託」のかたちでは、例えば、母親(委託者)が「自宅」などの財産を残す設計も可能となる。
 「遺言代用の信託」のかたちでは、例えば、母親(委託者)が「自宅」などの財産を子(受託者)に信託する。子は信託財産である「自宅」の所有名義人となり、その管理を行うが、母親は「受益者」(信託の利益を受ける人)として「自宅」に住み続ける。信託契約で母親の死亡後の「自宅」の所有者を子にしておけば円滑に相続できる。
 母親が「自宅」の所有権を移すことにさえ抵抗がなければ、こうした「家族信託」のプランは節税面でも効果的な手段だといえる。母親は将来的に「自宅」などの財産をすべての子に相続させたいと考えているが、元気なうちに「自宅」を子に贈与すれば、当然ながら贈与税がかかる。だが、母親を受益者として、本人が死亡するまで「自宅」に住み続ける設計にしておけば、「自宅」の名義を移しても贈与税はかからない。母親としては「家族信託」を活用することによって、遺言とほぼ同様のことを生前に実現できるわけだ。
 信託銀行でも「家族信託」に対応した商品を取り扱っている。顧客(委託者)から信託された金融資産を、信託銀行が受託者として管理・運用。生存中は委託者が自身の年金として受け取り、死亡後は指定された子や配偶者に渡すという仕組みだ。このような商品は「遺言代用」の機能をもたせたものだといえる。
 米国では、信託プランをオーダーメードで設計する「ファミリー・トラスト」が主流だが、日本では、一部の資産家向けの商品として取り扱われるにとどまっているのである。
しかし、一般的な世帯にまで「家族信託」を活用する動きが広がってきたことで、国内の信託銀行も、‘中間層’のニーズに対応する商品を充実させている。「家族信託」のプランを設計する際には、こうした商品を組み入れることも可能になったわけである。
 「家族信託」の広がりに注目しているのは、信託銀行だけではない。一部の業者では、「海外に家族信託を設立」することで「相続税対策」になるなどを謳い、富裕層を勧誘しているようだ。「国外財産調書制度」によって、来年から調書の提出が求められるようになるため、海外不動産などの資産を持つ富裕層に対して「外国で家族信託を設立し、そこへ個人の海外資産を売却すれば節税になる」などといった‘スキーム’で売り込んでいるわけである。違法か合法か、脱税か節税か、本当に効果があるのかないのかの判断などはさておいて、まずこうした「商品」についての正しい知識を得るためにも、税理士や弁護士、司法書士など「信託監督人」にもなってもらえるプロに相談し、自分と家族、後継者にとって、最適な「家族信託」プランを設計しようではないか。

例をあげると、東京都に住むA子さん(仮名、78)と娘のB子さん(同、45)は先月、東京都中央区で開業する信託に詳しい司法書士、C氏に相談に訪れた。
 夫に先立たれたA子さんの資産は自宅と金融資産が3千万円程度。死亡後はB子さんに自宅を相続させる考えだが、C氏は意外な提案をした。

*贈与税かからず
 「柔軟性のある信託という仕組みも検討したら?」 信託というと、信託銀行の金融商品を思い浮かべる人が多い。だが、もともとは財産管理の仕組みである。
 プラン(図A)では、A子さんを委託者(財産を信託する人)、B子さんを信託の受託者(信託財産の所有名義人で財産管理を行う人)にする。A子さんが老人ホームに入居するため自宅を売る場合は、その手続きもB子さんが行う。
A子さんは「受益者」(信託の利益を受ける人)として住み続ける。死亡後の自宅所有者を信託契約でB子さんとしておけばB子さんが自宅を相続できる。不動産の法律・実務に詳しい司法書士、弁護士が「信託監督人」として補佐すれば安心できるという。
 A子さんは自宅の所有権を移すことには抵抗があったが「いずれB子のものになる」と受け入れた。今、自宅を贈与すれば贈与税がかかる。その点、信託の仕組みでA子さんが死亡するまで受益者としておけば、名義を移しても贈与税はかからずに済む。A子さんは遺言と同様のことを生前に実現できるわけだ。

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(NP通信社の記事より引用)

| 相続税及び贈与税 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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