税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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外国人(中国人)が日本投資、営業活動を行う時に注意する法務(VISA・登記)と税務 その8

(1)常に問題となる寄付金課税

 パナソニック、ダイエーと大手企業が相次いで国税当局から更正処分を受けていたことが分かった。両者とも更正処分の内容は、子会社との取引が寄付金認定されたというもの。子会社を持つ中小企業も多いことから、子会社に対する援助などが寄付金にならないかどうか頭を悩ませる経営者は多い。
実例から見えてきたその境界線とは。

 家電大手のパナソニックは、2009年3月期までの5年間で合計220億円の申告漏れがあると大阪国税局から指摘された。うち7億円は、業績が悪化する中国子会社との取引で、自社製品の販売価格を引き下げて販売を行ったもの。この値引きには合理的な理由がなく、値引きを装って意図的に財政支援したものを見なされ、通常の価格との差額が「寄付金」とされた。

 一方、スーパー大手ダイエーでは、産業再生機構が策定した事業再生計画に基づき、債務超過に陥っていた不動産賃貸業者の連結子会社9社を整理・統合することになった。統合前に債務超過状態を解消しようと、子会社9社に対して保有する債権約270億円を放棄。その際、放棄分は税務上の経費となる貸倒損失として計上した。
 だが、債権放棄後に整理・統合の計画を変更、結局、新たに子会社2社を加えた合計11社をダイエー本体が吸収合併した。

 大阪国税局は、9社による合併という計画から変更になったことにより、この債権放棄は再生計画に基づいたものだとはいえず、債権放棄は貸倒損失として認められないと指摘。債権放棄した約270億円の大半は実質的に子会社9社を支援するための「寄付金」と判断され、修正申告となった。

 両社とも事実関係について争わず、すでに修正申告を済ませたとみられる。
業績が悪化しているグループ会社に対し、さまざまな形で支援を行う例は多い。またグループの再編などにより、子会社の債権を放棄するようなことも多々ある。
 できればその取引は課税対象となる寄付金扱いにはしたくないところだが、判断を誤り、調査の際に寄付金と指摘される例は多いようだ。

 寄付金については、裁判において「名義のいかんや業務の関連性の有無を問わず、法人が贈与または無償で供与した資産または経済的利益、換言すれば、法人が直接的な対価をともなわないでした支出を広く指称するものと解すべき」(1982年9月30日広島高裁松江支部昭56(行コ)1)と定義されている。
 ダイエーの例にあるように、子会社の債権を放棄することで子会社支援を行うケースについては、基通9-4-2において「法人がその子会社等に対して金銭の無償もしくは通常の利率での貸し付けまたは債権放棄等した場合」は寄付金に算入されると定められている。


 だが、同時に「業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので、合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸し付け等をしたことについて相当な理由があると認められるとき」は寄付金の額として算入されないと定義している。

 この「合理的な再建計画」とは同条の注により、「合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性および支援割合の合理性等について個々の事例に応じ、総合的に判断」するとされ、たとえとして「利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認めたれる再建計画」と規定されている。
 ダイエーの例では、当初の計画通りに子会社の再建を行っていれば寄付金ではないとされたであろうものを、計画を変更してしまったことが問題視されたことになる。
 ここでひとつ参考になる実例として、国税不服審判所において債権放棄が合理的な判断に基づき行われたと認められた例がある。
 法人Aは特約店の廃業などにともない、廃業資金、経営改善資金として支援する目的で売掛金の減額を行った。税務当局は「これは経済的利益の無償の供与である」とし、減額分を寄付金として更正処分を行った。
 しかし、法人Aは「売掛金の減額処理は、将来の損失を少なくするためのやむを得ない事情に基づき処理したもの。経済的利益の無償供与ではない」と主張。やむを得ない事情として

① 特約店の統廃合が必要なこと
② 支援は経営改善策の一方策として役員会で決定されその議事録も存在すること
③ 特約店の事業を継続しても、赤字の累積、請求人の売掛債権の焦げ付きが予想されるとこ
④ 売掛金の減額処理は、特約店ごとに個々に算出されたものであること
⑤ 支援の方法として売掛金を減額したものであり、実質的には債権の放棄であること

などがあげられた。審判所は「支援したことは事業遂行上、真にやむを得ない費用であり、客観的にみて経済的合理性を有し、社会通念上も妥当視される処理と認められる。また、債権放棄しなければ、今後より大きな損汁を被ることが予想され、債権放棄したことによって、請求人にメリットがあると判断できる」として売掛金から減額した分は、寄付金には該当しないとした(1999年6月30日裁決)。
 パナソニックの例のように、通常より引く価額で資産を譲渡した場合も時価との差額分が寄付金になるとされている(法人税法37条の8)
 審判所において、値引きについて判断した以下のような例がある。
法人Bは、各事業年度末等に親会社に対して売上値引や単価変更による売り上げの減算を行い、これを通常の取引として主張した。だが、審判所は、両社間の合意に基づき行われたものではあるものの

① 各事業年度の子会社の見込利益額に基づいて値引額等を指示していること
② 特定の子会社のみに支持をしていることなどから、合理的な原価計算に基づくものとはいえない

と裁決したというもの(2008年6月30日裁決)。
 これは認められなかった例だが、裏を返せば通常より低い価額であっても合理的な計算によるものならば、認められることになる。
 今年の税務調査は「グループ法人間の取引に厳しい目が向けられる」との指摘もある。それだけに、税理士の間では「通達や判例と照らし合わせることが重要。対価性があるかどうかよくチェックし、寄付金になりそうなときはあらかじめ指摘するようにしている」という。「バレたらそこまで」と最初から意図的な利益付け替えに走るのならばいざ知らず、調査にあっても問題がないようにするためには、否認された例、否認されなかった例を丁寧にみていくことが必要だ。


参考文献

1.『税務通信』 第3135号 
2.2010年8月23日号
3.発行 エヌピー通信社
「当局 子会社取引厳しくチェック」記事より抜粋

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