税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

>> EDIT

インバンド業者の税務訴訟への一考察

平成29年2月3日最高裁の決定により東京高裁の判決が、平成28年2月9日判決が出たことに意見を申し述べます。
 
<事案の概要>
① 本件は、旅行業法に基づく旅行業等を目的とする日本法人である日本法人であるA INC (以下「A社」という。)の主催する訪日旅行についてA社との間に行っている取引(以下「本件取引」という。)が消費税法7条1項により消費税が免除される取引(以下「輸出免税取引」という。)に当たるとして、各課税期間分の消費税及び地方消費税につき、本件取引に基づいてA社から受領した対価の額を消費税の課税標準額に算入せずに確定申告をしたところ、所轄の芝税務署長から、本件取引が輸出免税に該当せず、本件取引の対価の一部が消費税の課税標準額に算入されるとして、各更正及び過少申告加算税賦決定を受けたことから、これらの各処分の取り消しを求めた事案である。
  

<当裁判所の判断>
① 当裁判所も、本件取引は輸出免税取引に該当せず、本件更正処分及び本件各賦課決定処分はいずれも適法であるから、控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。
その理由は、原判決の‘事実及び理由’の記載のとおりであるから、これを引用する。

(1)‘本件旅行パッケージ商品’を‘パッケージ商品’に改める。

(2)‘確実に提供する’を‘これらの役務が各種サービス提供機関によって確実に提供されるように手配する’に、‘原告が本件訪日旅行客に対して国内における飲食、宿泊、運送等の役務を確保し、提供した対価’を‘控訴人がこれらの役割を果たした対価’に改め、‘行事終了後に’の次に‘、控訴人が企画し手配したとおりに’を加え、‘役務を提供した’を‘役務が提供された’に改め、‘「本件訪日旅行客に対して各種サービス提供機関による役務の提供という方法により国内における飲食、宿泊、運送等の役務を提供する」を「国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを企画し各種サービス提供機関を手配することによりこれをA社が確実に利用できるようにする」’に改める。

  (3)‘本件訪日旅行客に対し’を‘飲食、宿泊、運送等の役務が各種サービス提供機関によって確実に提供されるよう手配する’に改める。
  (4)‘このことは’を削り、‘ことからも裏付けられる’を‘ことや、消費税法施行規則5条1項1号が、消費税法7条1項1号の輸出免税取引に該当することの証明のために整理、保存しておくべき書類を、関税法の規定による税関長の輸出の許可もしくは積込みの承認があったことを証する書類または当該資産の輸出の事実を税関長が証明した書類と規定していることなどは、上記の法解釈を前提とするものと解される’に改める。


 (5)‘同号ハの範囲を’から末尾までを‘同号ハ該当性の判断は上記立法趣旨等を踏まえて行うべきである。’に‘運送’を‘輸送’に改め、‘またはこれらに類するもの’を削り、‘国内において消費されるサービスであるということができるから’を‘A社が上記役務の提供により直接享受する便益は、控訴人が企画し手配した国内における飲食、宿泊、運送等の旅行素材の組合せを本件訪日ツアーの催行に際して利用することができることであり、この便益は上記旅行素材が所在する国内においてでなければ享受することができないものであるから、上記役務の提供は、消費税法施行令17条2項7号イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するものとして’に改める。

(6)‘本件取引は’の次に‘、国内に主たる事務所を有する事業者である控訴人が国内において行った役務の提供(消費税法[平成27年法律第9号による改正前のもの]4条3.項2号、消費税法施行令[平成23年政令第198号による改正前のもの]6条2項7号’として課税資産の譲渡等に該当し‘を加え、’消費税等‘を’消費税‘に、’各事実が‘を’各事実のうちに‘に改める。

② よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第7民事部
 裁判長裁判官 菊池洋一 裁判官 古田孝夫 裁判官 工藤正

                                  


<反論意見>
以上の判決について反論意見を述べます。

① まず、表記の表現のことばを改めている点。
そもそも包括的旅行パッケージ商品の販売であることを改訂しているだけでなく、都合の良いことばに改めている点。
売上の取引先が海外の旅行会社であって旅行者に販売しているわけではない。
そこで、便益を国内で受けるという施行規則にのっとってあてはめ、飲食、宿泊、運搬についてサービスの提供は国内であるからということで、課税資産の譲渡としてとらえる判断はいかがなものかと。
インバウンド旅行業そのものは、それぞれ形態も違うし取引の仕方も違う。すべてのインバウンド旅行業者にこの判決の判断をあてはめることには、違和感を持つ。

② 次にインバウンド旅行業者の海外旅行会社に対する消費税の輸出免税の該当性に
 ついて述べる。
   
A. 輸出免税取引であるかどうかを検証する前に、誰と誰の間の、どの取引を検証するのかを、明確にする必要がある。本判決の対象となる取引は、日本の旅行会社である弊社と、海外の旅行会社との間で行われたものである。この取引が輸出免税取引にあたるかどうかである。
旅行者は弊社の取引相手ではない。 まず取引相手であるということが前提で、その取引が輸出にあたるかということが条件。
   弊社と海外からの旅行者の間にはそもそも取引関係がない。
   弊社の顧客(取引先)は海外の旅行会社であり、彼らの顧客は海外在住の旅行者である。
    これは代金支払いの経路からして、疑う余地のない事実である。

B.施行令の解釈に論理の飛躍
    判決には、消費税法施行令第17条第2項第7号ロまたはハに、「非居住者に対
 する飲食または宿泊、バス、タクシー等による旅客の輸送」は輸出免税取引に該当しないとあるが、該当する、しないに関わらず、日本の旅行社と海外からの旅行客の間には、そもそも取引の事実がないのでこの解釈は意味を為さない。
   この規定は、日本のホテル等が非居住者と、直接にせよ間接にせよ取引を行った場合にその取引が輸出免税にあたらないとしたものである。

本意見書は、原処分庁提出の内容を踏まえ、判決の理由を補足しつつ改めて整理して述べると共に、あわせて反論を行うものである。
なお、本反論書で用いる用語は、別途定義しない限り、判決の理由(以下「判決決定理由」という。)と同様とする。

c. 本件取引は輸出免税取引に該当すること

 原処分庁は、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれており、当該金額は、消費税法施行令17条2項7号ロ又はハに該当する役務の提供の対価であるから、輸出免税取引の対価の額に該当しないとする。
 しかしながら、以下詳論するとおり、本件取引で控訴人が海外旅行会社に対して提供する「役務」の内容は、包括的旅行プランの手配、企画、情報提供等であって、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務とは言えない。消費税法施行令17条2項7号ロ又はハの役務には全く該当しない。本件取引対価の額は、その総額が、非居住者である海外旅行会社に対して行われる役務の提供の対価であるから、輸出免税取引の対価の額に該当するものである(消費税法施行令17条2項7号本文)。

(A) 本件取引において、当原告が海外旅行会社に対して提供する「役務」には、国内における飲食、宿泊、輸送等に係るサービスは含まれないこと

(1) 控訴人が提供する「役務」の内容

 判決理由でも認められているとおり、控訴人は、本件取引において、海外旅行会社が主催する日本国内旅行に参加する本件旅行者の日本国内での飲食、宿泊、輸送等に係る各種サービス提供機関を手配し、それらを組み合わせた日本国内旅行を企画し、パッケージ商品として海外旅行会社に販売している。
 そして、本件取引は、控訴人がパッケージ商品の手配を完了した時点で終了し、当原告は、国内での飲食、宿泊、輸送等の各種サービスが提供される場面において何ら関与するものではない。
 したがって、控訴人自身が各種サービス提供機関から国内での飲食、宿泊、輸送等に係る役務の提供を受け、それを海外旅行会社に対して提供しているわけではないことは明らかである。すなわち、本件取引で控訴人は、海外旅行会社に対し、情報の収集、旅行の手配、企画、情報提供等を行うと共に、当該旅行期間中に各種サービス提供機関が提供する国内での飲食、宿泊、輸送等の各種サービスを受けることができる地位を設定するという包括的な役務を提供しているだけなのであって、当該包括的な役務提供の対価である本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額は含まれているとはいえない。
 それにもかかわらず、原処分庁は、本件取引において当原告が海外旅行会社に対して提供する「役務」の内容自体を検討することなく、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているなどとしており、明らかな誤りである。これはあてはめであり、紆余曲折な取り上げを正当化している。

(2) 本件取引は個人旅行者との間の企画旅行契約ではないこと

 なお、本件取引は旅行業者と旅行業者との間の契約であって、旅行業者と個人旅行者との間の企画旅行契約とは性質を異にすることを、念のため付言しておく。
 すなわち、消費税法基本通達においては、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約に関して「旅行業者が主催する海外パック旅行に係る役務の提供は、当該旅行業者と旅行者との間の包括的な役務の提供契約に基づくものであり、国内における役務の提供及び国外において行う役務の提供に区分される」(消費税法基本通達7-2-7)とされているところ、国税庁は、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約は、飲食、輸送、宿泊等を含む包括的な請負契約であると取り扱っているようである(三宮修編『消費税法基本通達逐条解説』376頁)。
 しかしながら、上記の国税庁の解釈が正しいか否かは措いて、上記のとおり、本件取引は旅行業者と旅行業者との間の契約であって、旅行業者と個人旅行者との間の企画旅行契約とは性質を異にするものであるから、旅行業者と旅行者との間の企画旅行契約の内容をどのように解釈するとしても、本件取引において控訴人が海外旅行会社に対して、飲食、輸送、宿泊等の役務を提供していないことに変わりはないのである。飲食、輸送、宿泊等の役務を提供しているのは、海外の旅行会社なのである。

(B)小  括

 以上のとおり、本件取引において、控訴人は、海外旅行会社に対し、情報の収集、旅行の手配、企画、情報提供等の包括的な役務を提供しているのであって、国内での飲食、宿泊、輸送等に係る役務を提供しているわけではない。そして、これは、消費税法施行令17条2項7号イ乃至ハの役務には該当しない非居住者に対して行われる役務の提供であるから、本件取引は輸出免税取引に該当し(同号本文)、本件取引対価の額は、その総額が輸出免税取引の対価の額に該当する。

(1)原処分庁の主張は何れも不合理であること

 原処分庁は、①本件取引対価の額が、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価の額を含む本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に控訴人の利益の額を上乗せした金額により決定されていると認められること、及び、②本件国内パッケージツアーにおける本件旅行者の国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価が申立人によって各種サービス提供機関に支払われていることの2点を指摘して、本件取引対価の額の中には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているとする。
 しかしながら、以下詳論するとおり、そもそも上記①の事実は認められず、また、上記②の事情も、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれているという原処分庁の主張を根拠づけるものではない。

(2)上記①の事実は認められないこと

 本件は、売上金額から仕入金額を差し引いた金額が粗利になるという当たり前の計算をしているだけであり、そうであるからと言って、売上金額、すなわち本件取引対価の額の決定方法が、仕入金額に控訴人の利益の額を上乗せすることによって決定されていることにならないことは明らかであるし、ましてや、本件取引対価の額が本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に控訴人の受取手数料を加算して決定されていることにも全くならない。
 確かに、控訴人は、移動にかかる費用、宿泊の費用、観光施設の入場料等を積算して「包括的に」利益が上がるようにしているが、これは結果として包括的に利益が上がるように日本国内旅行を企画・手配しているということに過ぎない。本件取引対価の額は、本件国内パッケージツアーに要する費用の額を積み上げた金額に当原告の受取手数料を加算して決定されているわけではないし、ましてや、本件国内パッケージツアーに要するそれぞれの飲食、宿泊、輸送等の役務の対価に個別に対応しているわけでもない。

(3)上記(2)の事情が原処分庁の主張を根拠づけるものではないこと

 取引相手に「役務」を提供するために必要な費用を支払ったからといって、その費用に係る役務等が、取引相手に提供する「役務」の内容に含まれるわけではない。
 このことは、例えば、弁護士が相手方と交渉するに当たって電話代を支払ったからといって、弁護士が依頼者に提供する「役務」は代理人として交渉することであって、提供する「役務」に電話で話ができるようにすることが含まれるわけではないことを考えれば明らかであろう。
 したがって、本件国内パッケージツアーにおける本件旅行者の国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価が申立人によって各種サービス提供機関に支払われているからといって、本件取引において控訴人が海外旅行会社に対して提供する役務の内容に国内における飲食、宿泊、輸送等のサービスが含まれることを全く基礎づけるものではなく、また、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価に相当する金額が含まれることにも全くならないのである。

(4)直接に役務の提供を行う必要がないとの主張について

 また、原処分庁は、控訴人が直接に国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供を行うものではないとしても、非居住者である本件旅行者が国内において直接便益を享受する役務については、消費税法施行令17条2項7号ロ又はハに当たり輸出免税取引に該当しないとする。
しかしながら、上記原処分庁の主張は、審査請求人の提供する役務に間接的にでも国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれることを前提として、その場合に、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務の提供を審査請求人自身が直接行わないとしても、当該役務は消費税法施行令17条2項7号ロ又はハの役務に該当すると言っているだけである。
 そして、消費税法上、明確に、消費税は事業者が国内において行う役務の提供に対して課される旨規定されている(消費税法4条)のであって、事業者が直接にも間接にも行っていない役務の提供に対して消費税が課されることが許されないことは明らかである。
 したがって、本件取引においては、上記のとおり、当原告が提供する役務に国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれない以上、上記原処分庁の主張は、何ら本件取引が輸出免税取引に該当することを否定する理由とはならないのである。

(5)小  括
① 以上のとおり、原処分庁の主張は何れも不合理であって、本件取引対価の額の中に、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていることを根拠づけ、本件取引が輸出免税取引に該当することを否定するものでは全くない。

② 原処分庁が主張する輸出免税の趣旨からも、本件取引は輸出免税取引とされるべきであること

 前記のとおり、当原告が提供する「役務」の内容には、国内における飲食、宿泊、輸送等の役務が含まれず、消費税法を文言通り適用すれば、本件取引は輸出免税取引と認められるが、更に、原処分庁が主張する輸出免税の趣旨からも、本件取引は輸出免税取引とされるべきである。
 すなわち、原処分庁は、消費税法施行令17条2項7号の規定は、当該役務の提供を受けることが国内において完結するような性質の役務の提供については、国境をまたがない、正に国内において消費されるサービスであり、輸出と捉え得るものではないので、非居住者が国内において直接便益を享受する役務の提供として輸出免税取引から除外するものであると主張していると思われるが、本件取引は、非居住者である海外旅行会社に対して役務が提供されているだけでなく、更に、役務の提供を受けた海外旅行会社が、国外において、本件海外旅行者に対して役務を提供することが想定されているものであるから、正に、国境をまたぐ国内において完結する性質のものでないことは明らかである。
したがって、本件取引は、国境をまたぐ国内において完結する性質のものではないのであるから、上記原処分庁の主張する消費税法が輸出免税を認める趣旨からしても、輸出免税取引と認められるべきである。


(6)総  括

 以上のとおり、本件各課税期間の消費税及び地方消費税については、本件取引対価の額の総額が輸出免税取引の対価の額に該当することを前提として更正されなければならず、本件更正処分及び賦課決定処分は直ちに取り消されるべきであると考える。

以 上
スポンサーサイト

| 税務訴訟 | 16:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント:

TRACKBACK URL

http://mukouyama.blog.fc2.com/tb.php/464-b14c33ff

TRACKBACK

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。