税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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「質疑応答記録」から考える納税者の権利 第3回

第三回最終

(6)実際の事例にみる質問応答記録書

熊本国税局管内のT税務署の例である。昨年9月末に無予告調査で4名の税務職員が納税者宅に臨場。納税者本人が不在であったため、隣人に身分証明書を提示して連絡先を聞き出し、本人の承諾なしで従業員が保管していた書類を持ち帰った。翌日には、その従業員から「質問応答記録書」を徴し、それを前提に納税者本人から二度にわたって「質問応答記録書」に署名捺印させた。これを根拠に、7年遡及、全期間重加算税の賦課として、この納税者は修正申告を迫られている。調査終了手続は取られていないにもかかわらず、修正申告の勧奨が行われ、昨年暮れには「今修正に応じれば税額で200万円減らせる」という誘導までされている。
この納税者は、調査は初めての経験。慌てて勉強して調査手続きの法制化のことを理解。税務署に対して法令順守していないことを指摘して、通常の調査を行うよう求めているが、税務署は聞く耳を持たず7年遡及・重加算税賦課の姿勢を変えていない。無予告調査の適法性についても疑問視した納税者は、個人情報保護法による開示請求で税務署内部の「事前通知を要しない調査の適否検討表」を入手。しかし真っ黒に塗りつぶされていて、なぜ無予告調査を行ったのか不明のままである。
このように法定手続の無視とあわせて「質問応答記録書」は使われる。更正の期間が制限される3月15日を控えて、本当に処分がなされるのか納税者は眠れない日々を過ごしている。

(7)対応は税理士と二人三脚で

このような文書を任意調査で作成することを法は予定していない。事実上の供述調書(自白調書)の作成というこの調査手法は、適正手続を欠落しており、国税通則法改正の趣旨を否定するものである。まして、脱税の証拠がない状態であるにもかかわらず、証拠を「偽造」するような手法は「冤罪」を作り出す手法に等しい。
こうした文書が作成されるシーンを想像するに、納税者は相当追いつめられた心境に陥っていよう。その場に税務代理人(税理士や弁護士)が寄り添って、断固とした適切な対応が求められるのは言うまでもない。

                                                以  上          
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| 国税通則法 | 07:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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