税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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子育て支援とひとり親家庭への支援他

    厚生労働省:平成28年税制改正要望を発表②

 いよいよ、平成28年度税制改正要望が出始める時期がやってきました。前回は家計にやさしい平成28年度税制改正要望として厚生労働省から出された健康・医療に関する所得控除制度の創設を紹介しました。厚生労働省からの平成28年度税制改正要望では、健康・医療の他にも子ども・子育て等の要望事項が出されています。今回は前回紹介できなかった健康・医療に関する改正要望とともに紹介させていただきます。

1.子ども・子育て
(1)子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設
 仕事と家庭を両立し、女性の活躍を推進する観点からベビーシッター等の子育て支援に要する費用の一部について、税制上の所要の措置を講ずることとし、その具体策として、特定支出控除の対象にベビーシッター等の子育て支援に要する費用を追加することとしています。

(2)ひとり親家庭への支援の重実等に伴う税制上の所要の措置
 ひとり親家庭や多子世帯への支援の充実、社会的養護の推進、児童虐待防止対策の強化等のため必要な措置を講ずるとしています。

2.健康・医療
(1)たばこ税の税率の引上げ等
 日本は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の締結国であり2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、たばこ対策の強力な推進が求められていることと、国民の健康の観点からたばこの消費を抑制する必要があります。
 たばこの消費を抑制するために、以下の要望が出されました。
 ① たばこ税及び地方たばこ税の税率の引上げ。
 ② かぎ用の製造たばこ等に関して、課税の換算方法を見直す。
 増税となる改正であり、今回紹介するなかで唯一家計に厳しい改正となっています。②の見直しは、かぎ用の製造たばこ等については現行重量2グラムを紙巻きたばこ1本に換算して税額が計算されていますが、重量2グラムに含まれるニコチンの含有量が紙巻きたばこの2倍以上あるため、実質的な税率は紙巻きたばこの2分の1ではないかと考えられていました。そこで改正後は、重量1グラムのかぎ用の製造たばこ等を紙巻きたばこ1本に換算して税額が計算されることとなります。

(2)医療に係る消費税の課税のあり方の検討
 社会保険診療については消費税は非課税扱いとなっていることから、消費税の増税による医薬品などの仕入れ費用の増加については社会保険診療報酬において消費税を上乗せすることで医療機関等に負担がないような対応が取られてきました。しかしながら、一部の医療機関では消費税の上乗せ幅は不十分であり、仕入に要した分の消費税の一部が還付されない損税の状態になっているとの指摘もあります。 
 消費税率10%引上げ時の対応として、診療側は診療報酬による対応だけでは限界があるとして、税制による抜本的な解決を要望しています。そこで、抜本的な解決に向けて適切な措置か講ずることができるように、個々の診療項目に含まれる仕入税額相当分の「見える化」することなどで実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、総合的に検討し、結論を得るとしています。

(3)医療の設備投資に関する特例措置の創設
 人口構造の変化に応じ、質が高く効率的な医療を提供するため、地域医療構想に沿った病床の機能分化・連携、医療分野におけるICT化の推進などに資する固定資産を取得した場合に、特別償却又は税額控除を認める措置を創設することとしてます。

(4)地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益の非課税措置の創設
 地域の医師確保対策として、医学生等に対して修学等資金を貸与し、当該医学生が卒業後一定期間、当該地方公共団体が指定する医療機関に勤務していたことを要件に、当該修学等資金の返還債務を免除する制度を設けています。この債務免除については、当該地方公共団体が指定する医療機関により、非課税又は給与所得とされていました。
 この医学生等修学資金貸与事業は、医師の地域偏在の是正対策として医師確保に有効な対策の一つとなっているため、地方公共団体の取組を財政・制度面から支援する必要があり、また、一括で債務免除益とされた医師についても債務免除益を含めた上で所得税が課税された場合には過度な課税がなされるおそれがあります。このため、地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益については非課税とする措置を講ずることとしました。

 今回紹介しました更正労働省から出された平成28年度税制改正要望は、私たちに身近な子育てと医療機関に関するものです。健康管理には気を使っていてもいつ病に襲われるか誰にもわかりません。その際すぐに診察してもらえる医療機関の確保は重要な課題です。地方の医師確保や医療期間の安定した経営がそれを支えるという考え方からの今回の改正要望となっています。まだ、決定されたものではありませんがどのような形で実現するかを見守っていきたいと思います。
 
              参考資料 平成28年度 税制改正要望(厚生労働省)
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