税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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マイナンバー制度の導入が延期されるかも!?

               中同協、延期求める意見書を提出
              参院内閣委員会、改正案の審議見送

 2016(平成28)年1月からの利用開始までいよいよ半年を切りました。
 マイナンバー関連4法案が参議院本会議において可決成立したのが2013(平成25)年5月。この2年間でマイナンバーに関する様々な動きがありました。重い罰則が定められました。利用範囲については、当初は税と社会保障と災害対策の3分野に限定して、施行から3年後を目処に情報提供の範囲拡大を目指す(附則第6条)こととされていましたが、利用範囲を拡大する改正法案が5月21日に衆院を通過しました。
 そこで、マイナンバーの加速する歩みに待ったをかける動きが始まりました。中小企業家同友会(中同協)がマイナンバー延期等を求める意見書を6月11日に発表しました。

1.拡大される利用範囲
 利用範囲については、施行から3年後を目処に範囲の拡大を目指すとされていましたが、施行前から次のような範囲の拡大が改正案に盛り込まれています。
 ①預金口座へのマイナンバーの付番
  預金保険機構等によるペイオフのための良貯金額の合算、金融機関に対する社会保障制度における資力調査や税務調査で預金情報を効果的な利用を可能にする
 ②医療等分野における利用範囲の拡充等
  健康保険組合等行い被保険者の特定健康保険審査情報の管理等、予防接種履歴について地方公共団体間での情報連携を可能にする
 ③地方公共団体の要望を踏まえた利用範囲の拡充等
  特定優良賃貸住宅の管理、地方公共団体の条例により独自にマイナンバーを利用する場合においても情報連携を可能としたり、雇用、障害者福祉等の分野において利用事務、情報連携の追加を行う。

2.マイナンバー法改正案、本国会での成立見送り
 マイナンバー法改正案は5月21日に衆院を通過し、6月での参院可決での今国会で成立する見通しでしたが、参院内閣委員会は6月9日の理事懇談会で、個人情報保護法の改正案の審議を当面見送ることで合意しました。年金情報流失を踏まえ、政府の原因究明や国民の不安解消を優先させるためで、参院での採決のめどは立っておらず、政府・与党は会期延長により今国会での成立を目指す方針です。

3.マイナンバー延期を求める意見書
 全国47都道府県に43,000人の中小企業経営者を会員とする中小企業家同友会全国協議会(中同協)は、マイナンバー施行にあたり、6月3日な幹事会において審議し、「マイナンバー制度導入への意見書」(以下「意見書」という。)を11日に発表し、15日に関連省庁に意見書を届けることとしました。
 意見書では、マイナンバー制度の問題点を指摘し、導入延期を含めた4つの意見という形で要望を求めています。

4.意見書で指摘されたマイナンバー制度導入への問題点
 ① 制度の広報や周知、内容への理解は十分でなく、導入準備が進んでいない事業者が多く、2016年1月の利用開始までに各々の事業者が対応出来る状況ではない。
 ② マイナンバー制度のメリットといわれている給与支払報告書等の提出事務手続きの簡素化については、従業員が少数である中小企業・小規模事業者にとっては、メリットとは言いがたく、マイナンバー維持管理のための恒常的な負担が重くのしかかっている。
 ③ 番号法は個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっているが、中小企業・小規模事業者の多くは、マイナンバー導入のための人も費用も割くことことが難しいのが現状であり、導入から日々の対応までには十分な期間が必要。

5.マイナンバー制度導入への意見
 ① 制度施行の延期を行うこと。
 ② 中小企業、小規模事業者の負担軽減となるよう、制度および「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の改正を行うこと。
 ③ きめ細かな広報・周知を行うこと。
 ④ 中小企業、小規模事業者向けに業界ごとの分かりやすい「手引書」を作成すること。

 中同協は施行延期を求める理由として、「帝国データバンク」(5月19日発表)の『マイナンバー制度対する企業の意識調査』(以下、「意識調査」という)の結果を挙げています。意識調査によれば、現在までにマイナンバー制度への対応を進めている(あるいは完了した)事業者は2割弱に留まっており、事業者の約6割は対応を予定しつつも何もできておらず、全体の進捗状況は8.9%にとどまっています。また、マイナンバー管理などのコストについても、1社当たり100万円前後の負担が想定され、特に中小企業・小規模事業者では人材・コストの側面からも大変困難な状況であり、対応へのルール策定や物理的、技術的対策を十分にできない事業者が少なくないため、制度対応のための十分な準備期間が必要であるとしています。

 意識調査では、コストについては従業員が多くなるに従って上昇し、1,000人超の企業では約581万円の負担を想定しています。また、法人番号制度についても法人の4割が「知らなかった」とし、従業員数5名以下の企業では半数超が法人番号制度自体を認識せずとの結果を挙げています。
 ホームページに掲載されていれば、国民全員が認識しいているはずで、準備も順調に進んでいるはずというのは誤りであり、現に6割が法人番号を知らないし、対応を予定しつつも何もしていないという結果が出ています。
そこには、具体的な対策が周知されていないことや、人材・コストの面で十分な準備ができない企業の事情があるのではないでしょうか。
 利用開始まであと半年を切った今だからこそ、急いで法案を通す事よりもやらなければならないことを見直す必要があるのではないでしょうか。

         参考資料  DOYU NET(中小企業家同友会ホームページ)
               マイナンバー制度導入への意見書(中同協)
               マイナンバー制度対する企業の意識調査
                      (帝国データバンク5月19日発表)
               産経ニュース(2015.6.9 18:47)



 
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