税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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紙の保存から電子化

-紙の保存から電子化へ-

6月も終わりに近づき、税務調査もほぼ終了している頃だと思います。
税務職員の人事異動は7月10日なので、それまでには調査を終了し引継をしなくてはならないからです。
最近の税務調査の現場を見ると、ベテラン調査官が少なくなって来ていることを感じます。いわゆる団塊の世代がこの数年で大量に定年退職をしているからです。
昔は調査官が領収書をチェックするときには、疑わしい領収書の裏側から筆圧を見て金額の加筆が無いかどうか調べている人もいました。
しかし、今後この調査手法が変わってくるかもしれません。
2015(平成27)年度税制改正で「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律施行規則」が改正されました。これにより領収書や契約書のスキャナ-保存制度の要件が緩和されることになります。領収書等の現物を保存せずに済むことになるわけです。そして、この法律の施行日は2015年9月30日になる予定なのです。
2014年11月5日朝刊の日本経済新聞1面の記事では、この制度が構築されれば、大量に発生する領収書や契約書の保管に悩んでいた企業にとっては倉庫代や運搬費などの保管コストの大幅な削減につながると期待されていると書かれています。経団連の試算では国内企業が領収書や契約書などの税務書類を保管するコストは合計で年間3000億円にも上るといいます。
良い制度だと思いますが、なぜ今まで普及してこなかったのでしょうか?
安倍政権は日本を先進的なIT社会にしようと意気込んでいます。
いままで、日本は海外と比べ書類の電子化がかなり遅れていました。書類の電子保存を広く認めている諸外国に対し、日本では脱税に関する制度の違いがあるようです。
電子保存を認めている諸外国では、企業側に脱税でない事を立証する責任を課すことが多いと言います。これに対して日本では、逆に税務当局側が企業の脱税を立証する責任があります。そこではやはり、紙ベースでの調査の方が調査しやすいのかもしれません。
つまり、企業が処理をした会計処理が正しいかどうかは、税務当局が税務調査等で調べ上げ立証しなければならないわけです。ただ単にこの領収書は怪しいと言うだけでは、不十分なのです。相手先の請求書や先方の裏をとって初めて税務上「否認」出来るわけです。
その為にも、紙ベースでの調査がしやすいのでしょう。
また、2つ目の要因としては、電子化の要件が厳しすぎたことです。2005年に『e―文書法』が施行されたとき、企業などでは、紙で保存してきたすべての書類が電子保存に替わると思いました。しかし、それは期待外れでした。
税務書類の電子化には財務省令で厳しく細かな要件が課されていました。まずその要件を満たすことが大変でした。
たとえば、電子署名問題一つをとっても、書類をスキャナーで読み込む際、誰が行ったのかを証明するために電子署名を義務付けていました。電子署名とは本人の実印に相当するもので、これを取得するのにかなりのコスト負担がかかりました。
従って、大企業やコストを負担できる一部の企業のみしか導入できないまま今まで来てしまったのです。
今回の改正では電子署名が不要になりました。ただし「当該入力を行う者またはその者を直接監督する者に関する情報は保存しておくこと」が要件になっています。更に3万円以上の領収書もスキャナー保存の対象外になっていましたが、改正では金額に関わらずスキャナー保存の対象となりました。
先ほども書きましたがこの改正規定は、2015年9月30日以後に行う承認申請から適用されます。
電子化を検討している企業ではまず、企業内部の文書保存のルール化を統一させること。
フォルダ名や表記ルールを統一させておくことが必要になります。
そして忘れてはならないのがセキュリティ対策です。2015年10月からはマイナンバー法も導入され、今後ますます企業の情報漏えい対策として、セキュリティ対策が必要となります。
今回の改正をうまく使うことにより企業のペーパーレス化とコストダウン化につながることを期待したいものです。
                            以  上

             参照 : 企業実務 2015年6月号
                  週刊税務通信 No 3363
                  日本経済新聞2014年11月5日



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