税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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『財産債務明細書』について改正されます

現行の規定の確認と改正点について

 平成27年度税制改正大綱が公表され、2015(平成27)年1月14日に閣議決定されました。その中で『財産債務明細書』についても“提出基準”の見直し及び“記載事項”の見直しが行われています。今回の改正で今まで『財産債務明細書』を提出する必要なのなかった方も提出する可能性が出てきました。また、過少申告加算税等の特例が新たに設けられました。
 『財産債務明細書』について、今回の改正点を現行の規定と比較して見ていきたいと思います。

(1)『財産債務明細書』とは(現行の規定)
①提出しなければならない人(所得税法232条)
 確定申告書を提出しなければならない人で、その年分の所得金額が2千万円超の人。
②記載事項
 (1)『財産債務明細書』とは(現行の規定)
 ⓐ記載対象
  その年12月31日現在の財産及び債務の『種類』『細目(所在地、数量等)』『金額』。
  注意① 年の中途で死亡または出国の場合:
      死亡または出国の日現在の財産及び債務の『種類』『細目』『金額』
 ⓑ除外
  ただし、書画骨とう及び美術工芸品、貴金属、家庭用動産、特許権、生命保険料の払込金額等については、10万円未満のものを除きます。
 ⓒ国外に存する財産及び債務
 国外に存する財産及び債務についても対象となります。
 『国外財産調書』を提出する場合には、『国外財産調書』に記載される国外財産については、「備考」に『国外財産については国外財産調書に記載のとおり』と書いて、明細書には記載しません。

(2)平成27年度税制改正大綱による改正点
①名称
 財産債務明細書 ⇒ 『財産債務調書』
②提出基準
 現行基準「その年分の所得金額が2千万円超であること」
 に加え、
  ⓐ「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上
 または、
  ⓑ「その年の12月31日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(※)の対象資産の価額の合計額が1億円以上
  ※平成27年度税制改正大綱において創設された特例
③記載事項
 現行「財産の種類、数量及び価額」に加え
 ⓐ国外財産調書の記載事項(※)と同様の事項
   ※国外財産調書の記載事項とは、財産の所在、有価証券の銘柄等
④財産の評価
 原則として「時価」。「見積価額」とすることもできる。(現行規定)
 有価証券等については、取得価額の記載も要する。
⑤過少申告加算税の特例
 国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続制に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
⑥摘用
 2016(平成28)年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について摘用されます。

 提出基準の見直しについて、税制改正大綱では、『に加え』という表現により提出対象者について規定がされています。このような表現では、対象者が所得2000万円超の人に加えて財産が3億円又は1億円の人が対象となり、提出者の範囲を広げる改正なのか、それとも所得2000万円超の条件に加えて財産が3億円または1億円の条件を満たす人が対象となり対象者の範囲を狭める改正なのか判別がしにくいものとなっています。現にこの改正を紹介する記事を見ますと、「対象者の範囲を拡大した改正」と採れる記事・「対象者の範囲を狭めた改正」と採れる記事の両方がありましたが大多数がこの点について触れられていませんでした。
 実際に筆者もこの点については迷いましたし、結論に至るための情報を見つけられませんでした。今後、この規定についても具体的な情報が出てくると思われますが、筆者としては、税制改正大綱のなかでの曖昧な表現はさけていただければと思います。
    
          参考資料  平成27年度税制改正大綱
                国税庁ホームページ


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