税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

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労働者派遣法の改正案の成立を断念

労働者派遣法の改正案の成立を断念!

 11月5日、衆議院厚生労働委員会で労働者派遣法改正案の実質審議が始り、1985年に施行された労働者派遣法(以下、「派遣法」という。)の改正法案が、いよいよ2015(平成27年)年4月1日に施行される予定でした。
 今回の改正案のポイントは、①同一労働者が同一職場で派遣就労する上限を3年とし、それを超える場合、派遣労働者は正社員として雇用か派遣先での直接雇用を促す、ことと②特定労働者派遣の廃止’の2点です。
 そもそも派遣法は、制定された当時は、まだ終身雇用や年功序列といった日本的雇用慣行が残っていた。正社員は、本来の就業の仕方、派遣社員は、例外的な終業の仕方という位置づけでした。1999年にはソフトウェア開発や翻訳等、特殊なスキルを必要とする26の専門職に限って、派遣が原則自由化されたのです。
 時を経て就業形態が多様化し、派遣が特殊な就業の仕方でなくなり、専門26の業務について2004年の法改正で、正社員にしなくても派遣社員を無期限に雇えるようになったが、この派遣社員の活用が広がる一方で、製造業を中心とした派遣切り、偽装請負などが社会問題となり、派遣社員への保護を求める声が高まりました。2012年には日雇い派遣の禁止等、派遣社員の保護が重視される改正が行われました。
 今回の改正のポイントは、次のように‘2014年1月29日付厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会 報告書’にまとめられています。

(1)改正についての基本的な考え方
①労働者や派遣元・派遣先にわかりやすい制度とする。
②労働者派遣事業が労働力需給調整において重要な役割を果たしていることを評価したうえでキャリアアップや直接雇用の推進を図り、雇用安定と処遇改善を進める。
③業界全体として、事業の健全な育成を図るため、悪質な事業者を排除し、優良な事業者を育成する。

(2)登録型派遣・製造業務派遣について
①経済活動や雇用に大きな影響が生じる可能性を鑑み禁止しない。
②雇用が不安定になることを防止するため、雇用安定措置等を講ずる。

(3)特定労働者派遣事業のついて
①特定・一般の区別を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とする。
②派遣労働者の保護に配慮した上で、小規模派遣元事業主への暫定的配慮措置(経過措置等)を講ずる。
③現在の特定派遣事業の許可制への移行に関しては、経過措置を設ける。

(4)派遣可能期間制限について
派遣労働が雇用と使用が分離した形態であることによる弊害を防止することが適当。派遣労働は臨時的・一時的な働き方であり、派遣先で利用も臨時的・一時的なものに限ることを原則とする。
26業務及び業務単位での期間制限はわかりにくいこと等から撤廃する。また、制度見直し時点で実施されている26業務派遣について経過措置を講ずる。

(5)派遣先の責任の周知について
①国は、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例及び中労委命令について、整理を行った上で周知する。
②派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等を指針に例示する。
③派遣先が苦情処理を行うに際しては、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例や中労委命令に留意することを指   針に規定する。

(6)派遣労働者の処遇について
①均衡待遇の推進
A.賃金について
 派遣先は、派遣元の求めに応じ、同種の業務に従事する労働者の賃金の情報提供などを配慮する。
派遣労働者の賃金の均衡が図られるために以下を指針に規定する。
*派遣先は、派遣料金の決定の際、派遣先同種業務労働者と賃金水準の均衡が図られるよう努める。
*派遣先は、就業実態・労働市況・業務内容や技術水準を勘案して派遣料金を決定するよう努める。
*派遣元は、派遣料金の引き下げを賃金の引き上げに反映するよう努める。
*派遣元は、派遣料金の交渉が派遣労働者の待遇改善に重量であることを踏まえ交渉に努める。
*有期派遣労働者の通勤手当の支給については、派遣元の通常労働者に対し、労働契約法20条に基づき、不合理と認  められるものであってはならない。
派遣元に、派遣労働者の待遇について配慮した内容の説明を義務づける。
派遣先は、同種の業務に従事する労働者の賃金の情報提供、教育訓練、福利厚生施設の利用機会に配慮する。

その他、教育訓練について、福利厚生施設について、労働・社会保険の適用促進、派遣労働者のキャリアアップ措置について等が改正点で報告されています。
このような改正で一番大きな影響を受けるのは、専門業務で働く派遣社員でしょう。これまでは無制限に働けたのに、今後は3年経つと派遣先にとどまれないのです。しかし、政府は、期限を設けなければ派遣先や派遣元の企業も派遣社員も、3年ごとに働き方を見直すきっかけになると主張しています。罰則規定もなく、本当に派遣社員の雇用の安定がはかれるのか、非常に疑問が残ります。ところで、内容は以上の通りですが、突然の来週の衆院解散を見越して政策協議が中断し、肝心な今国会での成立が断念されました。

(参考・引用:2014年1月29日付厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会報告書 
 一般社団法人 日本エンジニアリングアウトソーシング協会 記事
   Yahooニュース、26年11月14日日経新聞朝刊)

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