税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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消費税法上の人件費の課税仕入要件について その3

 前回に続いて消費税法上の人件費の課税仕入要件について述べたいと思います。
事件の概要と争点を前回説明しました。 それを踏まえた上で今回は結論と検証という形で記事にしました。

1.結論 
 審判所は審理に当たり、マッサージ業の営業主体は誰であるか、X社がマッサージ師に支払った費用が外注費給与かいずれに該当するかの2点を考慮し判定しています。
 営業主体については、X社はマッサージ業を営業目的としていること、X社が業務に係る設備備品を所有し、日々の現金売上をX社の口座で管理し、X社の総収入金額とし、必要な費用は総額を決算において計上しているという点を考慮してX社であるとしています。
 そして、外注費か給与等かについては、審判所は最高裁判決(昭和56年4月24日・税資117号296頁)「・・・給与所得とは・・・使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価・・・給与所得者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続ないし断続的に労務又は役務の提供があり、・・・」を引用して外注費ではなく給与等であると判定しています。


2.検証

 (1) 最高裁判決からの検証
 弁護士が会社から受け取った顧問料が問題となった弁護士顧問料事件(昭和56年4月24日判決)の判決理由のなかで、給与所得と事業所得について次のように判示しています。
「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。 」 審判所の判断はこの最高裁の判決文を引用し、マッサージに対して支払った費用を給与等と判定して原処分庁の行った更正処分を妥当なものとしています。


(2)消費税基本通達からの検証
 外注費か給与等に該当するかについては消費税基本通達1-1-1からも判定することができます。このケースではマッサ-ジ師が個人事業者に該当するかを判定してみましょう。

①個人事業者は、自己の計算において独立して事業を行う者。 →該当しない。
②給与所得者は、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき雇用者等に従属し、かつ、その雇用者等の計算により行われる事業に役務を提供する者。 →該当する。
③区分が明らかでないときは、以下の事項を総合勘案し、該当すればおおむね個人事業者に該当する。
⒜ その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。→該当しない。
⒜ 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けないかどうか。 →該当しない。
⒞ まだ引渡しを完了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、その個人の権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をすることができないかどうか。 →該当しない。
⒟ 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されていないかどうか。→該当しない。

 よって、消費税基本通達からの判定でもマッサージ師は個人事業者に該当せず、原処分庁の判定は妥当なものだったと言えるでしょう。








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