税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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書面添付は、なぜ普及しないのか!?

 今回は、書面添付制度について考えてみます。
 新書面添付制度は、税理士法(以下「法」という。)第33条の2に規定する計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、従来の更正前の意見陳述に加え、納税者に税務調査の日時場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(法第35条第1項)こととされているものであり、税務の専門家である税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るため、従来の制度が拡充されたものである。また、この制度は、税理士が作成等した申告書について、計算事項等を記載した書面の添付及び事前通知前の意見陳述を通じて、税務の専門家の立場からどのように調製されたかを明らかにすることにより、正確な申告書の作成及び提出に資するという、税務の専門家である税理士に与えられた権利の一つである

 この制度は、税理士が税務の専門家として計算等した事項を記載した書面を作成し、国税当局が当該書面を尊重することにより、税務執行の円滑化等を図るという趣旨であること、また、本制度における意見聴取が税理士にのみ与えられた権利であることに鑑みれば、税理士の社会的信用・地位の一層の向上が図られるとともに、ひいては納税者の適正申告の向上や納税者との信頼関係の醸成に資するものであると考えられる。 また、当該書面は、申告書について、税務の専門家の立場からどのように調製されたかを明らかにするものであることから、納税者に対する税理士の責任の範囲が明確化されることにもなる。
 さらに、当該書面に記載された事項は、税務の専門家である税理士からの申告書に関する情報であることから、申告審理や調査の要否等の判断において、積極的に活用されるほか、事前通知前の意見聴取の段階で疑義が解消し、結果として調査の必要性がないと認められた場合には、納税者の事務所等に臨場して行う帳簿書類の調査に至らないこともあり得るのです。

 税理士が申告書に‘書面添付’をすると、税務調査を受けることになった場合に、調査通知前に税理士に意見陳述の機会が与えられる。ここで税務当局側の疑問点が解決すれば、結果的に実地調査が省略されることもある。税理士が税務調査を事前にブロックする制度なのです。

 財務省がまとめた実績報告によると、平成24年度に税理士の関与があった法人のうち申告書に書面添付されていたのは7.8%だった。書面添付制度の改正で税理士に意見陳述の機会が設けられるようになった平成13年当時、日税連は、利用率の目標をまずは‘10%’と設定した。しかし、10年経ってもまだその目標にはほど遠い。
 なぜなのか?
 日税連はH・P上の書面添付制度の説明のなかで、
 ①(税理士にとって)余分な仕事のようで煩わしい。
 ②書面を添付した結果、思いもよらない責任を追及されたらかなわない。
 ③一度提出して、その後やめたら、痛くもない腹を探られないか。
 といった税理士の懸念をとりあげている。

 税理士の協力が不可欠となる書面添付制度の普及が進まないのは、こうした懸念が蔓延していることと決して無関係ではないのです。
 税理士業界には、
 ①一度も添付したことはないし、これから取り組む予定もない。
 ②制度の意義やメリットを見いだせない。
 ③経営者と税理士双方の手間を増やしてまで書面添付する必要性は感じない。
というような消極派も多い。ただ、消極派のなかでも温度差はあり、‘実践方法が分からない’‘労力が多そうなのでまだ手つかず’などと、関心を寄せながらも敬遠している状態の税理士も多い。そして、積極派も少なくない。当事務所は積極派だが。

 事実、税理士業界での関心度はいまだ高く、TKCも‘書面添付’を推進しているし、当事務所もほぼすべての関与先の申告書に書面添付をしている。
 会計ソフトの普及で税理士事務所の記帳代行業務の価値が下がっていることや、コンサルティング業務を強みにする税理士事務所は一部であることなどを踏まえ、書面添付制度の活用を突破口にして関与先への経理指導などのアドバイスの質をアップし、税理士の存在価値を高めるべきと考えているという。もちろん、経営者のための施策である点は強調する。書面添付をすることで、税務調査が事前に省略されるほか、決算書の社会的信用力の向上で優遇融資が受けられることもある。
 
書面添付されていた申告書のなかで税理士に意見聴取の機会が設けられた割合は3.5%で、そのうち実地調査が省略されたのは56%に及ぶ(平成24年度の法人税)。
 ただ、実際には一般調査へ移行するものが多い。大きな負担になる税務調査を省略できた経営者は少なからず存在することは間違いないが、この点だけでも制度に関心を持っておく意味はある。なお、相続税の申告書に書面添付された場合は、法人税のそれと比べて低い。これについて東京国税局の課税第一部課税総括課は、相続税の場合はきっちりと整理された帳簿が一般的にないこと、被相続人一人について一回だけの実務であること、個人が築いたすべての財産が関わってくることなどが法人税とは異なる点を理由に挙げている。
 また、優遇措置が受けられる可能性があるのも無視できない点がある。書面添付制度で確認したはずの会計処理が間違えていれば税理士も責任を負うことがある。そのため、書面添付に積極的に関与しない税理士としては、実は‘決算書の内容が信用できない会社に書面添付をしたくない’という本音がある。制度を税理士に活用してもらうためには、経営者側の経理に対する意識の変革も不可欠といえると同時に正しい決算書を作成するべく指導と説明、説得が必要と考えます。

(参考・引用 納税通信平成26年10月6日号、財務省H・P)

最後に以下の表を載せておきます。

無題事務  
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