税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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法制審議会、民法改正原案まとまる

      制定以来初めての抜本改正、その影響は?(3)

 法務省の諮問機関である法制審議会の民法(債権関係)部会は、8月26日に開かれた第96回会議において「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」を決定しました。
 この中で特にポイントとなるものとして、前回は『連帯債務』とについてご紹介しました。今回はトラブルの多い不動産の賃貸借に関わる敷金・修繕費を中心に紹介します。

1.賃貸借( 要綱仮案 第33)
 現行の民法では第601条から622条に賃貸借についての規定が設けられています。通常、建物等の賃貸借については借地借家法の法律も併せて適用されることになります。  
今回の改正では10の条文が見直された他、609条及び610条が削除され、新たに敷金等の項目が追加されています。

(1)敷金( 要綱仮案 第33 7.)
 現行の民法では敷金に関しては、619条第2項に規定があります。敷金を賃貸借について担保と位置付け、他の担保と異なり賃貸借契約終了後も消滅しないことのみの規定となっています。
 今回の改正では、敷金を独立した項目として新たに規定を設けています。
① 賃借人は、賃貸借が終了した場合には、預っている敷金から賃借人の金銭債務の額
 を控除した残額
を返還しなければならない。
② 賃貸人は、賃借人が賃貸借から生じた金銭債務を履行しないときは、敷金を債務の
 弁済に充てることができる。この場合に賃借人からは敷金を債務の弁済に充てること
 を請求できない。
 つまり、賃貸人が敷金から控除できるものを賃借人の金銭債務のみと限定し、返還義務を明確にしました。この場合の金銭債務の範囲については明文化されておりませんが、未払いの賃貸料と、賃借人が負担すべき修繕費(内容については(3)の賃貸物の修繕費を参照)が含まれると考えられます。

(2)賃貸借の存続期間( 要綱仮案 第33 3.)
民法604条では、賃貸借の存続期間について最長20年と規定していますが、この20年を50年に置き換えています。

(3)賃貸物の修繕等( 要綱仮案 第33 8.)
 民法606条に修繕に関する規定が設けられていますが、賃貸人に対する修繕の義務と、賃貸人が必要な修繕をする場合には賃借人は拒むことがでいきないことのみの規定でした。今回の改正では、トラブルの多い賃貸人と賃借人の修繕の責任の範囲が定められました。
① 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人
 の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない。

② 賃貸物の修繕が必要である場合において、次のいずれかに該当するときは、賃借人
 は、その修繕をすることができる。
  ア、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知った
   にもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

  イ、 急迫の事情があるとき。
 まず、①で賃借人の修繕義務を賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったものに限定しました。このため、経年変化に対する原状回復は賃借人が負担すべき修繕の対象外であることが明文化されました。
 また、②については賃借人の修繕権限を明文化したものです。では、賃借人が修繕権限を盾に修繕した場合に問題はないのでしょうか。トラブルのひとつに賃貸物件の老朽化し安全性の問題から立退きを迫るケースがあります。このような場合に賃借人が修理をして住み続ける場合には新たなトラブルの発生が懸念されますし、修繕費の負担の問題も考えられます。この条文から考えると老朽化なので賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったのではありませんから賃貸人の負担と思われます。しかし、賃借人が勝手に行ったのだからと修繕費の負担を賃貸人が拒絶するケースも考えられるのです。

2.意思能力( 要綱仮案 第2)
 認知証の高齢者を保護するために、次の項目が新設されます。
 意思能力について、次のような規律を設けるものとする。
 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しないときは、その法律行為は無効とする。
 これにより、認知証の高齢者が交わした契約は無効となります。高齢者の狙った高額商品の販売の防止には一定の効果は期待できるのではないでしょうか。

 これまでご紹介してきたものは、今回の改正のほんの一部にすぎませんが、生活に密着した内容となっていることがお解りいただけたこととお思います。ただし、これにより全ての問題解決というわけにはいかないようです。5年の歳月をかけてできた改正案ですが、運用が開始されればまた新たな問題点も発生することでしょう。その時には更なる改善が行われ、私たちにとって常に身近な法律であることを期待したいものです。

       参考資料   民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案 
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| 民法・商法・会社法 | 09:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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