税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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法制審議会、民法改正原案まとまる

           制定以来初めての抜本改正、その影響は?
 
 法務省の諮問機関である法制審議会の民法(債権関係)部会は、8月26日に開かれた第96回会議において「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」を決定しました。
法制審議会の民法(債権関係)部会の会議は平成21年11月24日に第1回目の会議が行われ、大きく分けて3つのステージで改正の議論が進められました。第1ステージとして論点整理を行いその結果を「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」として取りまとめ、第2ステージとして中間試案に向けての審議が行われ「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」を取りまとめ、第3ステージで「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」がまとまりました。
 このように、96回の会議を重ね約5年をかけた民法の改正案がまとまり、来年の通常国会に民法改正案が提出されることとなったのです。
 「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」は、公序良俗から組合までの39の検討事項が挙げられています。このうちの特にポイントとなるものを紹介します。 

1.消滅時効( 要綱仮案 第7)
(1)債権等の消滅時効 10年から5年に
 民法167条の債権の消滅時効については、次のように改められることとなりました。
「債権は、次に掲げるいずれかに該当するときは、時効によって消滅する。
 ①債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき
 ②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき 」
 
 債権の消滅時効については、『知ったときから5年間行使しないときに消滅する』という項目が追加され、一定の条件では期間が短縮されることとなりました。
(2)短期消滅時効の廃止、5年に統一
 民法169条~174条では、短期消滅時効の規定があり、飲食店のツケは1年、塾の授業料は2年、医療費は3年等と細かく規定があり、気付かないうちに消滅時効を迎えてしまったり、時効の期間がわかりにくいという不満の声がありました。
 このため、職業別の短期消滅時効に関する条文(民法169条~174条)は削除され、167条の債権等の消滅時効の条文が適用されることになり、5年に統一されることとなります。
(3)生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効 追加
 「人の生命又は身体の侵害による損害賠償の請求権について、次のような規律を設けるものとする。
 ①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する
 ②権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する


2.法定利率( 要綱仮案 第9)
 民法404条の規定により、法定利率については年五分とすると規定されていますが、次のように変動制の法定利率に改定されることこなりました。
(1)法定利率
 「法定利率は年3%ととする。」
(2)法定利率の見直し
 法定利率は、3年ごとに3年を一期として、1%刻み(1%未満の端数切り捨て)で変更されることとなりました。
 法定利率の5%については、以前から高すぎるとの指摘がありました。例えば、交通事故などの損害賠償金の算定については、被害者が生きていれば得られた利益から、生きていたと想定される期間に見積もられる運用益を除く事になりますが、控除される運用益を算定するのに使用されるのが法定利率です。従って法定利率が高ければ控除される運用益が大きくなり、遺族に支払われる損害賠償金が少なくなってしまうのです。
 また、法定利率は裁判で確定した損害賠償金の遅延に対する利息や、返済の遅延に対する遅延損害金を計算する際の利率に用いられたりするため、現在の金利水準との乖離が指摘されていました。
 法定利率の見直しは、被害者遺族への救済に繋がりますし、遅延利息等も現在の金利水準に近い利率が適用されることにもなるのです。
(3)商法514条の削除
商法514条(商事法定利率)である「商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする」の条文はこの改正に伴い削除されることとなります。

 このように、今回の改正のうち消滅時効と法定利率のみに着目してもこのように生活に密着した内容となっています。次回も身近な改正点について紹介いたします。

           参考資料  法務省ホームページ
                 民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案




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