税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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外形標準課税を中小企業に適用か

外形標準課税を中小企業に適用か!

  法人実効税率の引き下げに伴う減税分の穴埋めとして、外形標準課税の検討が始まっている。外形標準課税とは、①事業所の床面積、②従業員数、③資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式です。
  そもそも法人事業税は、法人の行う事業そのものに課される税であり、企業はその活動を行うにあたって地方自治体から各種の行政サービスの提供を受けています。このためこれに必要な経費を分担すべきであるという考え方にもとづく税です。必要な経費の分担という意味において所得のみを基準とする従来の方法には問題があり、法人の事業の規模ないし活動量を基準に課税するという外形標準課税が求められていた。
  その目的は、①地方分権を支える安定的な地方財源の確保、②応益課税としての税の性格の明確化、③税負担の公平性、④経済構造改革の促進である。
  問題は現在の外形標準課税が、企業の払う給与が増えるほど、税負担も増える仕組みになっていること。「安倍政権下で進んだ賃上げとぶつかる」と指摘される。
  「賃金や雇用への影響がある外形標準課税は、世界でも廃止する国が多い制度」との冷ややかな意見も出ている。
  これを中小企業にも適用し、課税するという案が政府からで、「骨太の方針」に盛り込まれるのである。法人実効税率の引き下げについて盛り込まれることが確実となったことで、減税分を穴埋めするための代替財源確保に向けて、このような税政策が活発化している。消費税の財源がいままで充てられてきたが、引き下げの財源確保には追いつかないらしい。
  地方税の応益負担性を強調し、その中でも法人事業税の外形標準課税に焦点をあてている。企業の利益とは無関係に賃金総額や資本金額等で課税額が決まる外形標準課税に狙いを定めた根拠には、‘負担が一部の黒字法人に偏っている’という理由を挙げている。
  赤字法人が70%というのは、全企業の99.7%を占める中小企業への支援を怠り、さらに消費税などで負担を増加させるなど、露骨な‘中小企業イジメ’の結果なのである。さらに‘応益負担’の前に‘応能負担’の原則からすれば、利益を出ている大企業が納税するのは当然の道理だと思う。
  外形標準課税の中小企業への適用は、赤字の企業にもさらなる税負担となる。しかし、仮に現行の‘資本金1億円’の基準を‘5,000万円’に下げれば、赤字により現状は法人事業税を納めていない約2万4千社が新たに課税対象に加わり、資本金2,000万円にまで広げれば、10万社を超えるといわれる。
  消費税が増税され、外形標準課税が行われれば、中小企業のダメージは益々大きくなる。本当にこれでアベノミクスは、第3の矢の‘成長戦略’を達成できるのだろうか。
  法人実効税率さえ下げれば、‘民間投資を喚起する成長’ができると思っているのだろうか。
  東京商工会議所も7月10日に発表した「国の中小企業対策に関する重点要望」の中で、「経済好循環実現のための賃金引き上げ政策に逆行するうえ、177万社にも及ぶ赤字法人が増税となり、その影響が甚大である」と危機感を募らせているのであるが。

(参考:月刊 社長のミカタ 8月号、地方税法)

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