税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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国外財産調書

「国外財産調書」の実態が明らかに!

今年も国税職員の人事異動が7月10日に行われたが、国税庁のトップである国税庁長官には林信光氏が7月4日付で就任したとの報道があった。
週刊税務通信No3322 8月4日号及びT&AmasterNo557 8月4日号では、両紙とも林信光国税庁長官の就任インタビュー記事が掲載されていた。
その中で林国税庁長官は、特に富裕層の国際的な租税回避に対する対策としてプロジェクトチームを立ち上げたことを明らかにした。この発言の趣旨を考えると、次のことが分かってくる。
7月31日付け国税庁発表の記事によると、2014年1月から施行されている、「国外財産調書」の提出状況が判明した。「国外財産調書」とは毎年12月31日現在、国外(海外)に5000万円以上の資産を保有している個人は、翌年3月15日までに「国外財産調書」を作成し、所轄の税務署に提出することが義務付けられている。本年分に関しては初年度という事で罰則はなかった。しかし、次年度からは罰則の適用がある。正当な理由なく期限内に提出が無い場合または、虚偽記載の場合には、1年以下の懲役又は50万以下の罰金が適用になる。
それでは、今年の状況はどうであったのだろうか?
総提出件数は、全国で5,539件 であった。
各国税局別の件数は、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の順に多く、この3国税局で全体の約9割(88%)を占めている。
そして、国外財産の価額の総合計額は、約2兆5千億円 にのぼる。
各国税局別の総財産額に占める割合についても、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の3国税局で約9割(94%)となっている。
この提出件数及び申告金額は実態を反映しているのだろうか?

財産の種類別を国税庁のHPより抜粋
財産の種類別総額 財産の種類 総 額 構成比
有価証券 1兆5,603億円 62.1%
預貯金 3,770 15.0
建物 1,852 7.4
土地 821 3.3
貸付金 699 2.8
上記以外の財産 2,396 9.5
合計 2兆5,142 100.0


ところで、日本の富裕層とはそもそも何人ぐらいいるのだろうか。
2014年6月10日付ボストンコンサルティンググループが、「2014年版グローバルウエルス・レポート」の中で世界の富裕世帯数の統計ランキングを発表している。
それによると、家計金融資産100万ドル(日本円で1億200万円)以上を保有する世帯を富裕層と定義しており、全世界では1630万世帯あるという。
日本の家計金融資産は前年比4.8%増の15兆ドル(1530兆円)、富裕世帯数は124万世あるという。世界ランキングでも第1位のアメリカ713.5万世帯、第二位 中国237.8万世帯の次にランクされている。ちなみに、この上の超富裕世帯 家計資産1億ドル(102億円)以上になると、アメリカ・イギリス・中国・ドイツなどの順になっており、日本はランク圏外になっており集計がとれなかった。
日本の富裕世帯は平均して多いが、資産1億ドル以上の超富裕世帯はそれほど無いということだ。
いずれにせよ、この富裕層が抱えている金融資産は日本国内にはとどまらず、世界各地へ移動している。今まではこのフローの所得に所得税・法人税などが課税されていた。
しかし今後は、ストックしての財産を見つけ出し、それに相続税等を課税する方向に転換しだしたことである。
冒頭の国税庁長官の発言は、まさにこのような富裕層をターゲットにしたストック対策に本腰を入れることである。2015年度からは「国外財産調書」の提出が本格化してくると予想される。
富裕層の皆さん、くれぐれも出し忘れ、虚偽記載をしないように日ごろから自分の財産の管理をして頂きたい。


                              以  上
参照:週刊税務通信No3322 8月4日号
:T&AmasterNo557  8月4日号
:国税庁HP
 
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| 税務調査 | 10:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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