税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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裁決事例紹介

 今回は、T&Aマスターの2014.6.2号に掲載された未公開の裁決事例を紹介させていただきます。不動産売買を目的とする法人を介して滞納者の不動産を取得し、滞納者の預金が競落資金として使われたことが徴収法39条に基づいて第二次納税義務があるとして納付告知処分をしたが、それが取り消された事例です。

競落資金の移動により請求人預金の外形を作出!!
審判所、金銭の無償譲受けを認めず!

(1)基礎事実
 ①本件滞納者は、飲食店を目的として設立された法人。
 ②代表取締役は、設立時から現在まで請求人の長女Aの夫Bが務めている。
 ③H4.5.1から現在まで、Aが取締役を務めている。
 ④X社は、不動産の売買を目的として設立された法人。
 ⑤X社は、設立時からH23.11.15までの間は請求人が、同日から現在に至るまでAが代表取締役として登記されている。

 Bが所有していた土地及び同所所在の建物(以下、「本件不動産」という)は、B及びAの自宅であり、Bを債務者とする根抵当権が設定されていたところ、○○○に○○○において担保不動産競売開始決定がされた(以下、「本件競売事件」という)。
 X社は、○○○に、入札価額を×××円、入札保証金の額を×××円と記入した入札書を競売執行官へ提出した。X社は本件不動産を競落し、○○○に、担保不動産競売による売却を原因としてX社に所有権移転登記が経由された。
 本件滞納者に帰属するB名義の○○○の普通預金口座(以下、「本件滞納者口座」という)から○○○に×××円、同年8月20日に×××円が出金された(以下、これらの出金された金銭を本件金員1・2という)。
 請求人の普通預金口座(以下「本件請求人口座」という)に、本件金員1,同年8月23日に本件金員2が入金され、同口座から同月25日に×××円が出金された。
 なお、本件金員1・2が本件請求人口座に入金されてから、当該×××円が同口座から出金されるまでの間に本件請求人口座の出金はなかった。
 X社のS銀行普通預金口座へ、平成22年8月25日に、×××円が入金され、これにより同口座の預金残高が28,520,000円となっていたところ、S銀行、同口座から×××円が出金された。X社は、○○○に、○○○の預金口座へ、本件競売事件に係る競落残代金として、×××円を振り込んだ。
 本件金員1・2の請求人口座への振り込みが、本件滞納者による請求人への貸付けまたは債務の弁済としてされた事実はない。

(2)争点及び主張
 本事案の争点は、請求人は、本件滞納者から金銭を無償で譲り受けたか否か。

(3)審判所の判断
 ①認定事実
 請求人は、X社の設立時からH23.11.15までの間、唯一の取締役、また、唯一の代表取締役として登記されていたものの、X社は、請求人に役員報酬を一切支給していなかった。
 Bは、○○○に、本件滞納者口座から×××円を出金し、X社名義で、本件競売事件に係る入札保証金として×××口座に振り込んだ。
 Aは、H22.7.12に、Aの唯一の資金管理口座であった○○○口座を開設し、以降管理している。
 X社は、少なくとも設立時から競落までの間、本件不動産の競落に関する事業以外の事業を行っていなかった。

②判断
 1.請求人は本件滞納者から本件金員1・2を無償で譲り受けたか否かについて
 本件金員1・2が本件請求人口座に入金され、これらの金銭の本件請求人口座への振り込みが有償行為である本件滞納者による請求人への貸付けまたは債務の弁済によるものでなかったことは、請求人が本件滞納者から本件金員1・2を無償で譲り受けた事実を一応うかがわせるものではある。
 しかしながら、以下のことから、請求人が本件滞納者から本件金員1・2をそもそも譲り受けていたと認めることはできない。 (イ)B及びAがX社を実施的に支配していたこと。
 BおよびAのX社の代表取締役に関する答述は、X社の登記上代表取締役が請求人からAに変更されていること、X社は請求書に役員報酬を一切支給していなかったことと整合して信用できるから、B及びAは、本件滞納者の代表取締役等である自身らがX社の代表取締役に就任することは不適切あるいは不可能であると認識し、請求人が、X社の設立当初の代表取締役として登記されるに至ったと認められる。
 また、Aの本件不動産を競落するための手続きを誰が行ったかに関する答述は、Bが本件競売事件に係る入札保証金を○○○口座に振り込んでいること、Aが本件競売事件に係る競落残代金の支払に充てられた資金が出金された○○○口座を管理していたことと整合し信用できるから、請求人は、本件不動産を競落するための手続に関与しておらず、B及びAがこの手続を進めていたと認められる。
 以上に加えて、BおよびAのX社を、本件不動産を競落するために設立した旨の答述と、X社が本件不動産の競落に関する事業以外の事業を行っていなかった事実を併せ考慮すると、請求人はX社の実質の代表取締役ではなく、当該事業に関する手続を進めていたBおよびAがX社を実質的に支配していたものと認められる。
(ロ)本件金員1・2につき請求人による費消等が予定されず競落資金とすることが予定されていたこと。
 B及びAの本件金員1・2の使途に関する答述は、金銭の移動の事実と整合し、両者の答述間に矛盾もなく信用できるから、B及びAは、本件金員1・2が本件滞納者口座から出金された時点で、請求人がこれらの金銭を費消し、あるいは、貯蓄し続けることを想定しておらず、一方でこれらの金銭を本件不動産の競落のために使用することを意図していたと認められる。

(ハ)請求人による費消等がされずX社による競落が実現したこと。
 B及びAの想定及び意図のとおり、本件請求人口座に本件金員1・2が入金された後、同口座から×××円が出金されるまで本件請求人口座の預金が費消されず、出金された×××円が○○○口座に入金された後、X社による本件不動産の競落資金として利用され、X社が本件不動産を取得した。

(ニ)小活
 以上のことからすると、本件金員1・2の本件請求人口座への入金は、X社の競落資金の原資が請求人の預金であるとの外形を作出することを目的として行われたものであり、本件金員1・2は、本件滞納者の預金がX社の競落資金として利用されるまでの資金移動の過程において、単に本件請求人口座を通過させられたにすぎないというべきである

(ハ)結論
 以上のとおり、請求人は本件滞納者から本件金員1・2を譲り受けておらず、請求人が本件滞納者から金銭を無償で譲り受けたとは認められないから、徴収法39条の規定に該当するとしてされた本件納付告知処分は、その全部を取り消すべきである。


(引用・参考 T&Aマスター NO.548 2014.6.2)
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