税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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税務調査「現場で行われている事」その1

税務調査「現場で行われている事」(その1)

5月も終わりに近づくと、税務調査が最終段階を迎えている会社も多くなる時期です。
国税機関は6月末が終了事業年度になっています。そして国税職員は毎年7月10日の人事異動を迎えるわけです。

2013年(平成25年)1月より税務調査の手続き規定が変わったことは、このブログでも何度か書きました。
それでは、具体的に従前の調査とどのように変わったのか、実際におこなわれた税務調査を題材にして見ていきたいと思います。まず従来の税務調査がどのような内容で行われていたのか実際の税務調査を再現してみたいと思います。

Ⅰ 平成24年11月21日 ○○税務署法人課税第5部門 ○○統括官(以下、「統括官」という。) より、東京都○○区1-1-1 株式会社○○ 代表取締役○○○(以下、「本件依頼人」という。)の法人税調査を行ないたい旨の連絡があった。
本件依頼人の法人は税理士法33条2―1を提出し、11月8日に意見聴取に対する意見陳述を終了しているが、日程調整の結果、平成24年12月5日及び6日、午前10時00分より依頼人の本店に決定した。
 
Ⅱ 平成24年12月5日 本件税務調査の主旨
 平成24年12月5日午前10時00分より調査開始。○○税務署法人課税第5部門 ○○上席調査官(以下、「上席」という。)本件依頼人税理士向山(以下、「本職」という。)監査担当者○○(以下、「担当者」という。) 都合3名 計4名により本件依頼人本店において法人税の税務調査を開始した。      
<会社概況説明>
本職:今回12月5日・6日と調査日程を取ったが、依頼人の会社は書類が多いが一人で行うのか。また、統括官にも話をしたが、消費税の還付金額が約1億3千万あるが、調査終了後速やかに還付してもらいたい。依頼人の会社の資金繰りにかなり影響を与えており、国家賠償請求も検討しなくてはならない。     

上席:消費税の還付金に関しては承知しています。また、今回の調査は私1人でさせて頂きます。
本職:了解した。   
上席:それではまず、2008年より毎年売上高が増えて来ているがその理由を
教えて頂きたい。

依頼人:2008年より海外への輸出中心販売から国内販売も並行して行うようになったからである。
国内販売の取扱品は
・○○会社の子会社○○・・・鉱物
・○○グループ企業○○金属・・・マテリアル
・○○グループ○○工業・・・マテリアル
これらを主に仕入れ国内で販売している。
金属及び家電が販売の中心であるが、利益が出るものならなんでも取り扱う事にしている。売上構成では、2/3が輸出で1/3が国内販売である。
上席:輸出先はどこか。
依頼人:中国の他、香港・ベトナムが中心である。
上席:不動産投資はいつからやっているのか。   
依頼人:11年前から資産分配投資の為に行っている。
      7~8%の利回りは確保しているはずである。
上席:営業所は何ヶ所あるのか。
依頼人:①○○現場にスクラップ置場。②埼玉県○○市に中古パソコン用の倉庫
③○○市にコピーマシンの倉庫④関西の○○市に配送用の倉庫  の4ヶ所である。

上席:社員は何名で、その配置はどうなっているのか。  
依頼人:社員は現在20名おり、各倉庫に2人づつおり、○○市の倉庫だけ多い。
○○事務所は本店で社員が10名ほどいる。
<調査開始>
上席:それではまず元帳を見せて欲しい。
担当者:当社は電子帳簿保存法に基づいて届出を提出しているので。このパソコン
の中に元帳等のデータが入っているので確認して欲しい。    
上席:了解した。そのつもりである。

上席:パソコンの操作及び元帳の見方を教えて欲しい。
担当者:このノートパソコンの中に、平成21年・22年・23年度の元帳が保
されている。 また、印刷する事も出来る。

上席:了解した。又、不明な事が出てきたら教えて欲しい。
まず、平成23年9月分と平成24年8月分の売上請求書を見せて欲しい。
(請求書と元帳を中心にチェックする。)

上席:決算書に貸付金が計上されているが契約書を見せて欲しい。
  (契約書を見せる。)                 

上席:この契約書には1万円の収入印紙が貼付されていない。これに関しては後で「印紙税不納付事実申出書」を渡すのでそれで申告し納付して欲しい。
本職:了解した。後で依頼人にも説明しておく。

(引き続き売上を調査する。)
上席:当社では別途家賃収入があるがこちらの入金確認はどのように行っているの  か。
担当者:当社の総務が、不動産毎に集計表を作成している。物件管理は外部の不動産管理会社に依頼し毎月報告書が来る。また、入金に関しては専用の預金通帳を作りそこに入金をして管理している。ここに○○物件の月次集計表があるのでこれで元帳と確認して欲しい。
上席:了解した。
(その後元帳と突き合わせを行う。)

上席:次に仕入れを調査させて欲しい。
まず、消費税計算書の中に仕入高が課税仕入高と不課税仕入高に分かれているがこの理由はなにか。
依頼人:㈱○○との間に代行契約書を交わしている。これは、バーゼル法に基づく品質の確認検査が厳しくなり㈱○○の名義を借りて輸出を代行してもらっているものである。
従って㈱○○が消費税還付手続きをしているので、当社ではこの輸出売上に対応する仕入高を不課税仕入れにしているのである。
上席:了解した。それでは平成23年9月分と平成24年8月分の仕入請求書を見せて欲しい。                      
   (その後4時30分頃まで元帳と請求書を付け合わせする。)

上席:本日はこれで失礼する。明日は現金領収書3年分と、一般支払請求書・領収書を用意しておいて欲しい。
担当者:了解しました。

Ⅲ、平成24年12月5日本件税務調査2日目 
    前日に引き続き10時00分より調査開始する。

上席:国内仕入れ品目の中に「○○商品」が多く仕入れているが、この部分の仕入先請求書の平成24年7月8月分を見せて欲しい。    
(請求書類を提示し調査する)
上席:㈱○○の8月31日付け請求書NO59173とNO59170の相手先の売上請求書を見せて欲しい。
依頼人:営業事務員に確認したところ、売上請求書日付は9月2日になっている。従って売上高の計上も翌期に計上している。         
上席:棚卸表には在庫として「○○商品」の品目が計上されていないようだが?
依頼人:この2件は8月31日に運送会社が札幌から関東の顧客まで直接商品を輸送したもので、営業事務員の方で期末在庫という認識が無く棚卸表に計上しなかったようである。
上席:それでは、この2件合計金額0000円の棚卸計上漏れになります。
依頼人:わかりました。

上席:それでは次に、現金領収書及び一般請求書を見せて欲しい。
(現金領収書及び一般請求書をチェックする。)

本職:そろそろ時間だが終了してもよいのではないか。
上席:わかりました。
    最後に生命保険料の契約書及び保険料元帳のコピーを下さい。
また、貸倒債権調査書のコピーも下さい。     
担当者:了解した。
上席:今回は、印紙税の貼付漏れと在庫0000円の計上漏れの2点の修正申告をお願いしたい。後日連絡を入れます。
本職:依頼人に話す。ただし、統括官に早期に消費税の還付手続きを行うよう話をしてほしい。
上席:了解しました。

(その後の経過)
その後、12月13日に上席より本職に電話があり、先日の修正事項で修正申告をしてもらいたい旨の依頼があった。その際消費税還付手続きも並行して処理を行っていること。年内に全額還付する旨報告があった
。      
 <顛末>
法人税の修正申告に関しては、依頼人の要望により修正を出すことで決着した。
また、消費税の還付に関しても手続きが進められることになった。
今回の税務調査において指摘された内容については、以下の事項を依頼人の会社に説明し今後間違えないよう指導した。

1 収入印紙の貼付もれ
 ・金銭消費貸借契約書・・・貸金額に基づいて収入印紙を貼る事
              印紙税の課税物件表の1を参照のこと。
2 現金受領領収書の保存
 商品代金を現金にて受け取った場合、相手方に当社の領収書を発行しなくてはいけない。
 市販の領収書でいいが、領収書右上に1番から番号を付け領収書のもれの無いように保存する事。
また、受領額3万円以上の場合は、収入印紙を貼り割印を押し先方に渡すこと。
印紙税課税物件表の17を参照のこと。
 現金仕入れの場合必ず先方のサインのある領収書をもらうこと。また、収入印紙が貼られて無い場合は当社にて貼っておくこと。

3 期末棚卸し計上もれ
期末近くに仕入れたもの及び売上返品になったもので期末までに売上があったか否か。売上がなかった場合は、棚卸しに計上しているか確かめたか。決算期末前後に商品を仕入れそのまま直接相手方に商品を運搬している場合には特に注意を要する。
(具体例)
 8月31日仕入計上し、商品は9月1日先方に到着したので9月1日付けで売上請求書を作成した場合・・・決算時に期末棚卸在庫に計上すること。在庫計上しないと計上漏れとして取り扱う事になる。

以上が従来、税務調査の現場行われている具体的な調査内容である。もちろん会社の規模や特殊な業種ではその税務調査の手法も違うことはあります。
次回では新しくなった税務調査手続に基づく、調査現場の内容を報告したい。

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