税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

中国のネット金融

中国ネット金融 急成長か

1.高金利人気、1兆元/「預金」は自己責任
 5月25日の朝刊に次のような記事が載っていたので取り上げてみる。
 ビットコインの問題が出た中、中国でもネット金融が急成長とは、驚きである。
 中国天津市の団体職員、候霊林(ホウリンリン)さんは、昨年夏、銀行の預金をほとんどやめてしまったという。ネットの通販最大手アリババの新サービス‘余額宝’(ユイオーパオ)の口座に、20万元(約330万円)あまりを移したからだという。
 預けたお金に対して毎日支払われる利息は、スマートフォンの画面で確認できる。金利は銀行預金より高い年率5%前後で推移し、1日30元(約500円)近くが入金される。お金はスマホの操作で銀行口座と出し入れしたり、アリババのネット通販での買い物に使ったりもできるのである。
 候さんは、‘上の世代は銀行のほうが安心なんて言うけれど、僕らは違う。銀行より便利だから’と。
 アリババが余額宝を始めたのは昨年6月である。アリババのネット通販利用者は元々、支払い用の口座を開いてお金を預けていた。余額宝は、この口座で普段は余っているお金に利息をつけ、お得感を売りにしたのである。
 3月末までに利用者は8千万人を超え、資金残高は5400億元(約9兆円)と、日本最大の地方銀行、横浜銀行の個人からの預金残高とほぼ同額である。
 中国ネット業界でアリババと違う通話アプリ最大手の騰訊(テンセント)や、検索エンジン最大手の百度(バイドゥ)も、同様の商品を打ち出した。名前に‘宝’がつくことが多いため‘宝・宝・類’(パオパオレイ)と呼ばれ、全体の残高は1兆元(約16.3兆円)に達した模様。
 こうした商品で利用者から集めた資金の大部分は、金融機関向けの貸し出しで運用する。大口の定期預金にあたり、個人が預けるより高い金利を実現できるのである。
 ただし、政府から免許を得ている銀行と異なり、ネット金融は投資信託のような金融商品との位置づけだ。急な引き出しに備え、一定比率を貸し出しに回さずにとっておく‘準備預金’のような規制がなく、購入には自己責任が伴う。それでも、日頃からアリババや騰訊のサービスに慣れ親しんできた利用者は銀行並みの信用を寄せる。
 背景には、低く規制されている銀行の個人預金金利への不満がある。1年物定期で3%台なのである。物価上昇に追いつかない可能性もある。ネット上では、さらに高い利回りを求める人たちの受け皿も登場している。金融機関をはさまず、お金を貸したい人と、主に中小企業などの借りたい人をネット上でつなぐ‘P2P(ピアツーピア)金融’と呼ばれる仕組みである。10%前後の高い金利が期待できる一 方、投資先の経営が傾けば元本割れの恐れがある。P2P金融が中国で始まった2007年当初は、ネットでお金を預けることへの警戒心が強く、12年までに取引額は計250億元程度だった。それが、13年だけで1千億元を超えたのである。

2.事実上の‘金利自由化’ ネット金融の急速な広がりに危機感を募らせるのが、既存の銀行だ。中国工商銀行など国有4大銀行は今年、預金者がアリババの口座へ振り込める1日の上限額を相次いで引き下げた。‘大銀行による余額宝への反撃だ’と騒がれ、準備預金などの規制がある銀行は、思い切った運用ができない。‘規制のないネット金融との不平等な競争で、預金が流出している’との不満がくすぶる。
 北京の金融研究者は、‘ネット金融の普及で、各行が5%台の低金利の住宅ローンを出しにくくなった’と話す。原因は、銀行がネット金融に対抗して、高金利の‘理財商品’など預金以外の商品に力を入れ始めたことだ。低い金利で資金調達できる預金の割合が減り、お金を貸す際の金利にも引き上げ圧力がかかっているという。中国ではまだ実現していないはずの金利の自由化による競争が、事実上始まったことになる。
 銀行による住宅ローンの‘貸し渋り’は不動産の買い控えにつながり、年明け以降、全国で不動産の値下がりを生んだ。‘本格的な値下がり局面に入った’(証券大手)とされ、世界経済を支える中国の景気の大きな不安材料となった。
慌てたのは中央銀行の中国人民銀行である。5月12日、劉士余副総裁は、大手15行を集めた会議で、住宅ローンについて異例の指導を言い渡した。‘住む家を買いたい人の需要に応えるように’‘ローンの申請はすみやかに審査するように’と。
 急成長してきたネット金融自身にも、リスクがある。余額宝など多くの商品は銀行預金と同様、‘引き出しは当日でも応じる’とする。だが、資金が急激に流出して急な引き出しに対応できなければ、社会不安を引き起こす恐れもある。
高金利でお金を集めるP2P金融はさらにリスクが高く、融資先が焦げ付く例も目立つ。13年以降、この仕組みを提供するP2P業者のうち約90社が、支払の延期や債務不履行などの問題を引き起こしたと報じられている。
 人民銀の周総裁は3月、‘余額宝などを禁止はしないが、監督を改善するべきだ’と発言し、銀行業監督管理委員会の王兆星副主席は‘監督も透明性も欠いた状態を野放しにするわけにはいかない’と。ネット金融で集めたお金にも準備預金を求めることを検討するほか、政府主導で業界団体をつくり、P2P業者に一定の入会資格を設ける準備も進んでいるという。
(参考・引用 朝日新聞 5/25朝刊より)

スポンサーサイト

| 財政・税務 | 11:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント:

TRACKBACK URL

http://mukouyama.blog.fc2.com/tb.php/330-31e27633

TRACKBACK

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>