税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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保険業界は「戦国時代」

保険業界は「戦国時代」へ

子会社に販売奨励金名目で支出した経費に実態がなかった(国税当局は仮装・隠蔽を伴うと判断)

保険の乗り合い代理店最大手、ほけんの窓口グループ(東京・渋谷)と子会社が東京国税局の税務調査を受け、2013年6月期までの7年間に約2億8千万円の所得隠しを指摘されていたことが1日、分かった。子会社に販売奨励金名目で支出した経費に実態がなかったとして、国税当局は仮装・隠蔽を伴うと判断したもようだ。
 経理ミスなどを含めた申告漏れの総額は約9億9千万円。重加算税を含めた追徴税額は約3億円とみられ、すでに修正申告したという。同社は1日、「会社を根本から作り変えるべく改革の努力の最中で、国税局の指摘を真摯に受け止める」とのコメントを出した。

 同社や関係者によると、同社は100%子会社のライフプラザパートナーズ(東京・渋谷)に対し、販売奨励金として13年6月期までの3年間に約1億8千万円を支出したが、国税当局は役務の提供などがなく、販売奨励金としての実態がないと認定。経費ではなく寄付にあたると判断した。
 前社長の親族に、関連会社の役員としての勤務実態がないのに役員報酬を支払っていたとして、架空人件費も認定。子会社の部長による不正経理も調査の過程で発覚し、重加算税を課した。
保険の窓口を巡っては、創業者の前社長が消費税約2500万円の不正還付を受けたとして東京国税局の査察を受け、東京地検特捜部が昨年7月に在宅起訴。同年11月に東京地裁が懲役2年、執行猶予3年、罰金320万円の有罪判決を言い渡した。

 民間信用調査会社によると、保険の窓口の13年6月期の売上高は202億円。訪問販売が主体の従来型の保険営業に対し、中立的な保険選びの助言を掲げ、店舗を全国展開している。
ここで、本職と親しいフリーライター・逧阜八氏に保険業界 は、戦国時代 の状況を、説明してもらう。
保険各社がつくる商品の組み合わせを提案・販売する「保険ショップ」が、街角や商店街、ショッピングセンターなどで増えている。大手の生命保険会社や損害保険会社と委託契約を結び、顧客の相談を受けて最適な保険を販売し、保険会社から販売手数料を得るビジネスモデルだ。約15年前から急拡大し、保険ショップの数は全国で約1500もあるといわれる。ところが、熾烈な「出店競争」の一方で、保険ショップの草分け的な存在ともいえる「保険市場」(大阪市)が、拠点を集約するという正反対の戦略をとりはじめた。これは、業界淘汰の前触れなのか、新たなビジネスモデルへの転換点なのか。「保険」とも密接な関係にある税理士・会計事務所にとっても、その動向を把握しておくことは重要な意味をもちそうだ。

ショップは飽和から淘汰の段階に

 「娘が生まれたので、学資保険加入と、ついでに家族の保険を見直したくて」。大型SC内のある保険ショップを訪ねた都内の主婦は、結局、保険加入は見送ったという。「結局、限られた商品をすすめられた気がする。相談するひととの相性もあるのかもしれません」。ほかの保険ショップに相談することも検討しているが、保険相談は一件の相談あたり2~3時間かかるだけに、次のショップ選びも迷っていると話す。
 「ほかのショップの提案内容をもって相談に来る〝ハシゴ客〟はよくいます」。保険ショップ関係者はこう指摘する。保険商品の比較検討をするショップの急増で業界は買い手市場となっているのだ。提案内容の違いはあるが、同じ保険商品であればどこで加入しても保険料は同じ。それならば、より質の高いコンサルティングを求めるのは当然だろう。
 拡大を続ける業界で、「出店攻勢」とは正反対の戦略で差別化に打って出ようとしているのが、大阪の保険ショップ大手「保険市場」だ。「全店舗を都心オフィスビルに移転する」という方針を突如打ち出し、他社とは対照的に店舗を集約。ピーク時の約200店舗から12店舗(平成25年5月現在)にまで減らしている。「保険市場」では、店舗の集約戦略について、「完全予約制のプライベート空間にキッズスペースも設け、ゆったり接客する。それには都心のオフィスビルが最適」としており、新たな店舗構想に自信をみせる。
戦略転換のきっかけは顧客調査だ。SCは入りやすい半面、「人通りが多くて相談に集中できない」「子供が飽きてしまい、ゆっくり相談できない」という課題が浮かび上がったという。そこで「従来のSC内店舗では、高いクオリティのコンサルティングができない」と判断、店舗の環境整備とコンサル力向上を武器にしていく方針を打ち出したわけだ。「顧客の入り口はネット」という同社ならではの戦略だが、人通りの多い場所で店舗の認知度を上げて顧客を獲得してきた業界だけに、その成否が注目される。

出店攻勢、店舗集約、生き残り戦略も岐路

 自分で保険を比較検討したいというニーズの高まりを受け、大手生保もネット世代の若年層顧客の掘り起こしを狙い業界に参入している。明治安田生命は子会社MYJが首都圏で「ほけんポート」4店舗を運営。住友生命は子会社いずみライフデザイナーズで「ほけん百花」などを全国展開しており、昨年4月には新たに東京や大阪で4店舗をオープンし、56店舗体制とした。ただ、飽和状態の保険ショップ市場、しかも後発とあってか、今後の出店には慎重な姿勢で、大型SCや百貨店、交通の便や通行量など、顧客に認知してもらえる好立地にこだわる方針だ。
 保険ショップは顧客が選んで来店し、商品も自分で決める顧客主導型のビジネス。このため大手の看板といえども容易には通用しない。親会社の商品は扱ってはいるものの「自分で選んで組み合わせたい顧客」が中心のショップでは、自社のパッケージ型商品はあまり売れない。ここでも収益源はやはり他の保険会社からの販売手数料収入となる。このため、いずみライフデザイナーズでは販売手数料の高低にかかわらず顧客に合う提案をできるよう職員を歩合制でなく固定給にしているという。
 一方、拡大路線をひた走るのが保険ショップ最大手の「ほけんの窓口」グループ。約5年前には全国100店舗ほどだったが、平成25年5月には約400店舗に伸ばし、将来的に1000店舗を目標に掲げる。しかし昨年4月、グループの創業者で前社長の今野則夫顧問が、個人の資産について税務調査で申告漏れを指摘されたとして引責辞任するなど、今後の展開には曲折もありそうだ。
生命保険業界はかつて、企業での説明会や職場訪問による大手の「職域営業」が主流だったが、企業のセキュリティー強化などで職場訪問が難しくなり顧客接点が減少。さらに20~30歳代の若年層は、インターネットで保険について調べ、ネット専業保険会社で契約するというパターンも増えてきた。その間隙を縫って登場したのが保険ショップ。保険商品は保障内容の違いがわかりにくく、終身保険などは契約が長年にわたるうえ、支払いも高額になる。保険ショップは「大きな買い物ほど専門家のアドバイスを求めたい」という消費者心理と、収入増が期待できないご時世に、「必要な保障を必要なだけ欲しい」というニーズを背景に急成長を遂げた。しかし、これまでは保険ショップを頼りに商品を比較していたはずの消費者が、保険ショップをも比較し始めた。

税理士・会計事務所は〝最強のショップ〟

ここで注目されるのが、保険税務にまで精通している「専門家」、つまり税理士・会計事務所の存在だ。保険料控除など、初歩的な節税アドバイスから、相続税対策としての保険活用まで、「税」に関する相談に応じられるのは当然ながら税理士だけだ。保険ショップ側としても、「税金相談」にまで乗り出したいのが本音ではあるが、そこは税理士の「無償独占業務」であり、コンプライアンス遵守を徹底する業界であるがゆえに、税理士法に抵触するような「コンサルティング」業務を提供するわけにはいかない。
税理士・会計事務所は、税理士法の規定により、自ら保険勧誘・契約行為はできないが、じつは「最強の保険ショップ」であるともいえるのだ。

金融庁が監督指針を強化

しかし、拡大の一途をたどるかに見えていた来店型保険ショップ業界にも、規制強化の波が押しよせてくるのは間違いなさそうだ。金融庁は1月16日、保険会社に対して、代理店が第三者に保険販売を再委託することを禁止する監督指針の改正案を公表した。顧客に不利な商品を販売しないように規制を強化するもので、平成27年をめどに再委託の解消を目指すとしている。金融庁ではすでに、すべての生命保険会社と損害保険会社に対して報告命令を出しており、再委託販売の実態解明にも乗り出している。
 保険業法では、代理店が第三者に再委託して保険販売することを禁じているが、実際には「募集人」と呼ばれる再委託者が定期的に代理店に出向いて研修を受けることで、容認されてきた。しかし、販売の際に商品説明が不十分だったり、高い報酬を得るために過剰な契約を勧めたりするケースが増加するなど、来店型保険ショップというビジネスモデルの問題点が指摘されるようになってきた。
また、老舗のいわゆる「ひらがな系の生保」では、自社で抱える営業マン・営業レディの商圏が、ショップに奪われるうえに、外資のいわゆる「カタカナ系の生保」ほどには高い手数料が設定できないため、ショップでの販売数が伸びていない。さらに、「ひらがな生保」の商品は、ショップでは「他社の商品を売るための比較対象商品」として紹介されてしまっているケースもあるという。このため、今回の金融庁による監督強化の背景には、「過去、当局からの天下りを多数受け入れてきた、ひらがな生保による規制強化の要請」があったとする見方も出ている。
 金融庁は、今回の改正案で、正社員や派遣社員など代理店に勤務している者だけが販売できることを明記し、法運用を厳格化する。これによって、急成長してきた来店型の保険ショップは事業モデルの修正を迫られることになるだろう。代理店に代わって保険を販売する「募集人」の雇用コストが増すことに加え、「販売力を落とす保険ショップも出る」との見方が根強いためだ。
 来店型の保険ショップは、店頭で複数の保険会社の商品を紹介する保険代理店の一種だ。各社の商品を比較しながら選べる利便性から契約を増やし、事業を拡大してきた。しかし今回の監督強化により、ショップによっては、これまで販売を委託してきた「募集人」と雇用契約を結ぶなどの対応を迫られるケースも出てくるものとみられる。

ソニー生命の最大の販路はショップ

 契約獲得で保険会社が保険ショップに依存する度合いはまちまちだ。大手生保は自前の営業部隊を持つ一方、外資系や新興企業などは保険ショップ経由の新規契約が全体の約3割にのぼるところもある。
 そうした新興企業の代表格ともいえるのが「ほけんの窓口」グループだ。昨年、税務当局から脱税を指摘された創業者の今野氏は、ソニー生命のライフプランナー(営業社員)の出身ということもあり、同社とソニー生命の関係は親密だ。業界事情に詳しい業界紙の記者によると「ほけんの窓口の各店舗では、あまりにもソニー生命の保険商品の販売に傾注しています。中立な立場で、すべての保険商品を公正に比較して、契約者にマッチした保険を紹介しているなんていうのは建前に過ぎません。今回、金融当局が監督強化に乗り出した背景には、間違いなくこの〝特定の保険会社と代理店との親密すぎる関係〟という問題があります」という。
それを如実に示すのが、「SPC」の上位ランキングだ。SPCとはソニー生命が主催し、優秀な成績を収めた代理店を表彰する会のことで、ほけんの窓口を筆頭にライフプラザパートナーズなど、グループ傘下の会社を合計すると、じつにソニー生命全体の手数料シェアの3割強を占めている。
この「手数料」にも消費者保護の観点から当局は注目しているという。代理店が保険を販売すれば、当然、保険会社から手数料が支払われるわけだが、契約者が支払った保険料(初年度)に対し、ほけんの窓口クラスの超大型代理店ともなれば、専用ボーナスを加算すると、じつに保険料の8割近くもの手数料が支払われるという。もっとも、高額な手数料で知られるメットライフアリコでは、初年度の保険料の2倍近くを支払うケースもあるという。
これらの手数料について金融庁が問題視していることは間違いなく、昨年、ソニー生命の京都営業所へ検査に入った際にも、ソニー生命の営業社員出身者が社長を務める大型代理店「ホロスプランニング」があることから、「ソニー生命への検査は検査として、本命で調べたかったのは代理店のホロスのことだったのではないか」と、前述の業界紙記者は観測している。 
ソニー生命にしても高額な手数料問題を金融庁ににらまれるのは得策ではないだろう。そこで同社では〝脱ほけんの窓口〟を合言葉にしているが、販売が伸び悩んでいる現在の状況では「ほけんの窓口とは手を切れない」(ソニー生命幹部)というのが実情だ。 
むろん、ほかの生損保も程度の差こそあれ、ソニー生命とやっていることは同じだ。昨年、「ほけんの窓口」グループが冠スポンサーとなって開催された女子プロゴルフ大会では、前日のプロアマトーナメントに生損保10社、17人の幹部が顔をそろえたほどだ。保険業界各社が「ほけんの窓口」の販売力に依存する構図は依然として続いている。 
中立公平をうたいながらも手数料が高い商品に傾斜して販売する代理店がある。その一方で、税理士・会計事務所のように、納税者の立場を再優先に考えて、最適な保険商品を「提案」に加え、愚直なまでに顧客ニーズに応えようとする「窓口」や代理店もある。
金融庁がどこまでメスを入れられるのか、注視していかなければならないが、税理士・会計事務所ではそれと同時に、「来店型保険ショップ」の多難な前途を見越して、この時期から「保険に強い」人材の確保に乗り出すべきかもしれない。
今回の監督強化により、販売員との雇用契約が不可欠ということになれば、保険・代理店各社では、必然的に営業成績の良いトップセールスマンから順に正社員化していくだろう。しかし、「代理店」や「委託募集人」として、いわば〝一匹狼の賞金稼ぎ〟でこれまで通してきた「プロ」には、雇用関係に縛られたくないという思いもある。
多くの顧客や人脈を持つこうした凄腕の「元委託募集人」を「人材」として確保したり、ビジネスパートナーとして提携関係を構築したりすることができれば、税務の仕事の幅も広がっていくかも知れない。
                                          【フリーライター・逧阜八】

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| 保険税務 | 10:00 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

税理士が保険の紹介を保険募集人に行う事は、限りなくブラックですね。
税法を勉強して下さい、税理士でしたらね。

| | 2014/06/13 07:27 | URL |















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