税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

>> EDIT

企業再編税制”活用”に黄信号

企業再編税制〝活用〟に黄信号(2014.3.18東京地裁)
営利を目的とする法人が税負担の軽減を図るのはごく自然なことだが、やり過ぎは禁物」(国税関係者)

企業再編税制を利用した大型節税に対する行為計算の否認の是非をめぐる裁判で、初の司法判断が下された(平成23年(行ウ)228号)。インターネット検索大手の「ヤフー」が、企業買収によって引き継いだ大型赤字の損金処理を国税当局から否認されたことを受け、追徴課税取り消しを求めて争っていた裁判で、東京地裁はヤフーの請求を棄却。近年、中小企業の間でも注目されている企業再編税制、そして国税当局の伝家の宝刀「行為計算の否認」と、気になるテーマ満載の事件に各方面から強い関心が寄せられている

  ヤフーは、平成21年2月に通信大手「ソフトバンク」の100%子会社であった「ソフトバンクIDCソリューションズ」(IDCS)を買収し、その翌月に同社を吸収合併。IDCSが抱えていた540億円の繰越欠損金を引き継いで自社の損金に計上して申告したところ、国税当局から「企業再編税制を利用した節税目的の行為」として否認され、更正処分を受けた。ヤフー側は「事業を行う上で必要だった」とし、過少申告加算税を含む約180億円の追徴課税の取り消しを求めて争っていたもの。
 法に則って節税していた納税者が、税務署から「租税回避行為」といって課税され、裁判所も税務署に味方――。飛び交う数字の大きさから「大企業の問題」と捉えてしまいがちだが、近年、企業再編税制は事業承継問題や戦略的経営マネジメントを考える中小企業にとっても注目のキーワードであり、また「行為計算の否認規定」の照準は節税を追求するすべての会社に向けられていることから、決して他人事ではない。
  企業再編税制は、企業の合併・分割を促すために平成13年に導入された制度。組織再編時に発生する資産の譲渡損益を繰り延べることができるほか、被合併法人の赤字を引き継ぐこともできる。ただし大きな節税効果が期待できる赤字の引き継ぎについては制限が設けられており、特定資本関係が発生してから5年以内の合併については「みなし共同事業要件」を満たしていることが条件とされている。
  みなし共同事業要件とは、①事業関連要件、②規模要件、③規模継続要件、④経営参画要件、の4要件のこと。①②③、または①④を満たしていればよい。ヤフーにとっては④の経営参画要件(合併法人と被合併法人の特定役員が合併後も役員として継続する見込みがあること)がカギとなったが、代表取締役がIDCSの取締役副社長に就任することによりこれを満たしていた。
  ところが国税当局は、本件買収や合併をはじめ代表取締役のIDCS取締役副社長への就任など一連の行為は、赤字の引き継ぎ要件を形式的に満たすことを目的とした「異常」で「変則的」な行為であると判断。組織再編に係る行為計算の否認規定(法人税法132条の2)を適用して、巨額の追徴課税に踏み切った。
  組織再編に係る行為計算の否認規定は企業再編税制とセットで創設された。合併等により法人税の負担が不当に減少したと認められる場合には、その行為または計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより法人税額の計算等をすることができるというもの。つまり他の税務上の規定はすべて満たしていたとしても、「租税回避目的の合併」である場合はしっかり課税しますよ、という規定だ。具体的な判断基準が示されていないため納税者にとっては不気味な存在。「同族会社の行為計算の否認規定」(法人税法132条)が〝伝家の宝刀〞と言われ、めったに抜かれることがなかっただけに、今回の事件は大きな注目を浴びた。
 裁判では、ヤフー代表取締役のIDCS取締役副社長への就任が、行為計算の否認規定の「法人税の負担を不当に減少させる結果になると認められるもの」に該当するかなどが争点となった。ヤフー側はあくまで「事業上の目的であった」と主張したが、東京地裁の谷口豊裁判長は3月18日、「法132条の2に基づく更正処分は適法」としてこれを棄却。ヤフーの広報担当は「主張が認められず残念。判決を精査したい」とし、控訴については「未定」(3月27日現在)としている。
  なお東京地裁は同日、IDCSから営業部門を切り離して設立された「IDCフロンティア」が、「のれん代」をめぐる課税処分の取り消しを求めていた関連訴訟についても棄却した。こちらは「のれん代」を損金に計上するために非適格分割の体裁を整えていたに過ぎないとして、やはり組織再編に係る行為計算の否認規定が適用されたもの。
 「営利を目的とする法人が税負担の軽減を図るのはごく自然なことだが、やり過ぎは禁物」(国税関係者)。今後の企業再編実務にあたっては、行為計算の否認規定の存在を十分意識しておく必要がありそうだ。

納税通信3316号(2014年4月7日)
スポンサーサイト

| 税務訴訟 | 10:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント:

TRACKBACK URL

http://mukouyama.blog.fc2.com/tb.php/318-9836fddb

TRACKBACK

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。