税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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家事関連費

 厳格さが要求される「家事関連費」

1月も下旬になり、そろそろ確定申告の準備をされている方もいらっしゃるかと思います。
今回は確定申告を前にして、個人事業主の方への注目される判決が出ましたので、ご報告いたします。

東京地裁2013年(平成25年)10月17日付判決で、自宅で保険代理店を営む納税者が支払う家賃を必要経費とは認めないとした事案の判決が出ました。ただしその後、高等裁判所へ控訴しているかは不明です。

1.事実関係
今回の事案は、納税者が月17万円で賃借していた本件住宅において、生命保険の代理店を営んでいた。建物は居住用の2階建て3LDK住宅であり、建物の構造上「事業部分」と「居住用部分」とに区分は出来なかった。
1階はリビング・ダイニングキッチン25㎡部分を業務専用部分とし、トイレ・浴室は入れていない。2階は洋室が3部屋ありその内の1部屋(9㎡)を業務用部分とし、その他2部屋は業務用部分には入れていない。
納税者の主張は、「1階はビジネス専用の集会場であり、2階の洋室のうちの1部屋は業務専用のスペースとして常時使用していたため、それらの面積に対応する家賃は必要経費に該当する」としていた。

2.東京地方裁判所の判決
本件住宅について全体として居住の用に供されるべき3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、本件住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することが出来る状態にないことは明らかであると指摘した。また、リビングなどを業務専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられないと指摘している。そのうえで本件住宅のうちリビングなどが業務専用スペースとして使用されていたことを前提に、その面積に対応する家賃を業務の遂行上必要なものとして経費に算入することは出来ないとした。

3、考察
 今回の事案は「家事関連費」の内、必要経費がどこまで認められるかを争った事案である。
今回問題になったのは1階のリビングである。そして更に、ダイニングキッチン部分も業務上の必要経費部分に計上していたことである。
個人事業者が自宅兼事務所として使用し、その一部を必要経費として処理していることは珍しくない。ただし、この場合でも家事部分と業務部分の区分については業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、家屋内のその他資産の利用状況等を総合勘案して「合理的に区分」することを求めている。

家事関連費に関しての根拠条文としては次のものがある。
家事上の経費及び家事上の経費に関連する経費は、原則として必要経費に算入することはできない。(所得税法45条1-1)
ただし所得税法施行令96条において、家事上の経費に関連する経費のうち、次のものは必要経費に算入することが出来るとされている。
即ち、「その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明らかに区分できる場合のその部分に相当する経費」としている。
更に所得税基本通達45-2では、「主たる部分が業務の遂行上必要」であるかどうかは、支出する金額のうちその業務の遂行上必要な部分が50%をこえるかどうかにより判定する。ただし、その必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要ある部分を明らかに区分することが出来る場合には、その必要である部分に相当する金額を必要経費に算入しても差し支えないとしている。

以上のことから家事関連費は原則的には、
 主たる部分が業務の遂行上必要であること
②  その部分が明らかに出来ること。  
③  そして、合理的な区分と計算がされていること。  が必要と考えられる。  

今回の事案も上記のような具体性のある説明や区分計算が合理性を欠いていたものと考えられる。

今年の確定申告は2月17日(月)から3月17日(月)までである。皆さん慌てることなく正しい確定申告を早期に提出したいものです


             参考:T&A Master No531 2014.1.20号
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