税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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移転価格税制とは

「移転価格税制」とは?

2013年10月31日、国税庁より平成24年事務年度(2012.7.1~2013.6.30まで)の「法人税等の税務調査事績の概要」が発表された。この中で今回は、最近何かと話題に上がる移転価格税制に関して見ていきたい。
移転価格税制については、毎年のように税制改正が行われており、国税当局の調査体制も強化されて来ているように感じられる。まず以下の図を見ていただきたい。

     移転価格税制に係る実地調査の状況
    事務年度           23 年         24 年
   項  目          件数等   前年対比  件数等   前年対比
 非違があった件数   件    182   124.7       222     122
 申告漏れ所得金額  億円    837   119.9       974     116.4
 1社当り計上漏れ金額 億円    4.59  -        4.38     95.4
                          (国税庁HPより引用)

平成24年事務年度では、移転価格における申告漏れ件数は222件、申告漏れ所得金額は974億円と前年比116.4%増となっており、1社当たりの申告漏れも4.4億円と大きな金額で推移している。最近の大企業及び中小企業の海外進出の状況を考えると、この傾向は今後とも続くものと考えられる。
ところで移転価格税制とはどのようなものであろうか?
移転価格税制とは、国境を越える国・地域の間で利益の付け替えを行うことによって租税負担の軽減を図ろうとする租税回避行為を防ぐための制度である。1954年アメリカで発明され日本では1986年に導入された。
つまり、企業が海外子会社等の国外関連者との間で取引価格を操作し、所得を海外へ移転させて、内国企業の税負担の軽減を図ることを防止する制度を言う。
企業と海外子会社等との取引価格が、通常の取引価格(単独企業間価格)と比較して低額で行われることにより、企業の法人所得が減少している場合には、その取引は独立企業間価格で行われたものとみなして、企業の課税所得を計算する仕組みになっている。                                           (根拠条文:租税特別措置法66条-4 )

財務所のHPに「移転価格税制の仕組み(図解)」が掲載されているので見て欲しい。
財務省HPhttp://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/178.htm            

この例では、日本の対象法人(A社)が、本来、相互に独立した企業間では120円で取引される品物を、海外の関連会社に、それよりも10安い110円で販売することで、日本国内での自社の利益を10円と低く抑えています。逆に海外では10円利益を増やしています。このケースでは、海外の法人税率が日本より低ければ相対的に税率の低い海外で利益を出した方が得になります。このような場合移転価格税制では、独立間価格の120円で取引が行われたとみなしA社の利益を計算することとなるため、結果的にA社の税負担が増加することにもなります。
ただし、移転価格税制による課税処分をうけた納税者は、相手国との間に租税条約が締結されていれば、租税条約に基づき、国際間で生じる二重課税を排除するため税務当局へ相手国との「相互協議」の申立てをすることができることになっています。

次に今年、移転価格税制で問題になった企業の事例を2件ほど紹介しておきます。
なお、以下の記事は日本経済新聞より抜粋したものです。

(2013年8月22日の記事より)
オリンパスが国内と英国の子会社間の取引を巡って東京国税局の税務調査を受け、移転価格税制に基づき5年間で約103億円の申告漏れを指摘された。地方税などを含めた追徴税額は約49億円。実際の納税額は英国の納税分を差し引いた約14億7千万円の見込み。同社は「見解の相違がある」として異議を申し立てる予定。同社によると、指摘があったのは、医療機器製造販売の連結子会社、オリンパスメディカルシステムズ(東京・新宿)が2007年3月期~11年3月期に、英国子会社に内視鏡などの医療機器を輸出した取引。国税当局は取引価格が通常より低く、国内で課税されるべき所得を海外子会社に移し、日本国内での納税額が過少になっていると判断したもようだ。

(2013年6月26日の記事より)
HOYAが海外子会社との取引を巡って東京国税局の税務調査を受け、移転価格税制に基づき5年間で約200億円の申告漏れを指摘された。税務上の赤字があり、地方税や過少申告加算税を含めた追徴税額は約33億円。HOYAが同日、更正処分の通知を受けたと発表した。同社は「当社の主張と東京国税局の見解は明らかに相違がある」とし、課税処分を不服として異議を申し立てる方針という。
同社によると、指摘を受けたのは2007年3月期から11年3月期までの東南アジア子会社との取引。エレクトロニクス製品を開発・製造していた子会社とHOYA本体との取引価格が妥当でなく、本体の所得を子会社に移転して日本国内での納税額が過少になっていたと指摘されたもの。移転価格税制は、取引を通じて海外子会社に利益を移したとみなされた場合に親会社に追徴課税する制度。処分を不服として企業が異議を申し立てるケースも目立つ。
企業がグローバル化している現在、大企業だけでなく中小企業も海外に拠点を移して活動してきている。国と企業の移転価格を巡る「TAXウオーズ」は今後ますます増えてくるだろう。
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| 法人税の税務 | 09:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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