税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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理由附記の制度の概要

今回は、理由附記の制度の概要について考えてみたい。

(1)特典としての理由附記について
 青色申告に対する更正は、納税義務者の帳簿書類の調査により所得金額等に誤りがある場合に行うことができ、その場合には理由附記をしなければならないとしている。
 法人税法130条②、所得税法第155条②等の各税法に理由附記をすることが規定されている処分については、従前のとおり当該規定に基づき適切に理由附記を行うこととなる。ただし、平成25年度の改正で、白色申告者も理由附記の対象となったことにも留意したい。
 これは、青色申告が、①一定の帳簿書類を備え、②漏れなく取引を記録し、③保存している者に認められ、青色申告の特典とされていたからである。
 更正通知書に理由を附記することは、税務署長の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申し立てに便宜を与えるためであると解されている。
 また、附記すべき理由は例文的・抽象的なものであってはならず、帳簿書類との関連において更正処分の具体的根拠をあきらかにするものでなければならないと考えられることから、理由附記は、単なる訓示規定ではなく、効力要件であり、理由を欠くあるいは具体的根拠が明らかでない場合にはその処分は違法となる。
 実際に、帳簿書類に記載された内容を否認する場合には、事実認定を争うことになり、税務官庁としては、否認の根拠を当該帳簿書類以上に信憑性のある資料を示すことで、理由を明らかにしなければならず、法解釈や適用を争う場合には、以上に示した理由附記制度の趣旨を充足する程度の更正の根拠を明らかにしなければならないと考えられている(最高裁判決 昭和38年5月31日)。
 
(2)理由附記の不備について
 処分の理由附記の記載の程度について争われた事例をあげて、更正通知書等にどの程度の理由を記載すべきかを確認してみたい。

①青色法人である請求人に係るH17年からH22年までの各事業年度について、法定申告期限までに確定申告を行っていたが、当該各事業年度に損金算入していた減価償却費に係る建物付属設備が架空資産であったことから、更正処分及び重加算税の賦課決定がおこなわれたことに対し、請求人は、同処分に係る更正通知書に附記された更正の理由に不備があるとして、処分の取り消しを求めたものである。

②請求人の主張
 請求人は、当該更正通知書には、「当該各建物付属設備が架空資産である」旨が記載されていますが、架空資産とする以上は、立証や論証によって、その判断を行った具体的な理由とすべきところ、それらの記載がない当該更正通知書は、青色申告法人に対する更正の理由附記の趣旨でもある不服申し立てに対する便宜を与えているとは言えないため、理由附記に不備があると主張したものです。 

③原処分庁の主張
 ②に対し、原処分庁は、請求人が架空の建物付属設備に係る減価償却費を計上していた事実を附記し、「架空資産に係る減価償却費は損金算入できない」という損金の額の範囲についての法的評価に対する見解を示しています。また、帳簿書類から架空資産であることが明確で、請求人においても、架空のものであることが認識できているのであり、本件更正処分は、帳簿書類を無視して行ったものではないことから、当該更正通知書に架空であることの理由を附記する必要に認められないと主張したのである。

④審判所の判断
 これについて審判所は、記載すべき理由附記程度について、「青色申告に対する更正処分の態様が①帳簿書類の記載事態を認めないで更正を行う場合、②事実に対する法的評価につき納税者と見解を異にして更正処分を行う場合、など様々であるところ、法人税法第130条第2項の規定の趣旨と更正処分の具体的な態様に照らして決定されるべき」であるとしたうえで、それぞれの場合について、次のように示したのである。
①の場合、単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、更正を行った根拠を帳簿記載以上に信憑性のある資料を提示することで具体的に明示する必要があるとし、
②の場合、それがどのような事実に対する法定評価であるかを明確に判別することができる程度に理由が捧持されていれば足り、それ以上に法定評価の根拠を示すことや資料を提示することは要しないと解するのが相当であるとする最高裁判決(昭和60年4月23日)を引用し、本事例に係る判断の根拠としたのである。
 つまり、本件に係る更正通知書には帳簿書類の記載内容から、「当該建物付属設備は架空の資産であり、これらに係る減価償却費は損金不算入となる」旨が記載されていることから、本件更正処分は、上記①の帳簿書類の記載自体を認めないとするものであり、そうであれば、原処分庁が更正するに至った根拠を明確にし、当該各建物付属設備が架空であるとの判断に係る資料が示されるべきであるとし、その判断過程の具体的な説明も記載されていないため、本件更正処分の理由附記は、違法なものであると判断されたのである。審判所は、本件更正処分の理由附記には不備があることから、違法であるとして、本件更正処分及び不可決定処分についてその全部を取り消したのである。
 
(週刊 税務通信 NO.3269 より)
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