税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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「税法は争えば法解釈が発展する」

 この言葉は、元TKC全国会最高顧問であった、故松沢智先生が講演の中で折に触れて発言している言葉です。
税務行政は国家行政組織法第14条2項により、国税部門の上級庁が下級庁に対する訓令としての指揮命令としての通達行政により行われています。
しかし国民はこれに拘束されるわけではありません。税務上での解釈に相違があれば争うことで正しい解釈が生まれてくるからです。
当税理士事務所では、現在この税務上の解釈で国税側と争っている事案が3件ほどあります。内容的には同一内容であるこの事案は、現在東京国税不服審判所に審査請求しており今年11月頃には裁決が出る予定です。今回の事案は、3件中最初に東京国税不服審判所へ提出した事案です。
 
1、(本件内容) 日本国内においてインバンド旅行業(外国旅行者の訪日旅行を企画運営する業者)を営む法人が「訪日旅行のパッケージ商品」を海外の外国旅行法人に販売した取引について、これを消費税法第7条に規定する輸出免税取引に該当するとして消費税の申告を行ったのに対し、S税務署(原処分庁)が本件の役務提供は非居住者に対する日本国内での役務提供であり、輸出取引には該当しないとして更正処分を行なったため、その処分の取消を求めて、異議申立てをS税務署に行ったが請求棄却の決定を受けた為、S税務署の処分取消を求めて、東京国税不服審判所へ審査請求を行っている事案です。従前まで税務署側で輸出免税として消費税還付を受けていたものが、ここ2~3年で一転国税側の解釈の変更により消費税還付がされなくなったものです。

2、(審査請求までの流れ) 一般に納税者は税務署(原処分庁)の処分に不服がある場合、処分を受けた税務署へまず異議申立をし、それでも不服がある場合に国税不服審判所へ審査請求を出します。そして審判所の裁決に不服がある場合、初めて裁判所に訴訟出来るわけです。これを「前置主義」と言います。現在国税不服審判所は全国に12の支部と7の支所があります。そして各支部から上がってきた審査請求を審理するのが東京国税不服審判所です。審理は国税審判官3名の合議体でおこなわれ、議決後最終的に審判所の所長が裁決を行い通知することになっています。今回の担当審判官は民間採用の女性弁護士でした。(任用期間は3年間で今年7月までの任期でした)これは国税不服審判所が国税職員からの出向者が多いため、民間から弁護士や税理士等民間の専門家を採用し、業務の透明化を図る狙いがあります。なお、副審判官としては税務署の副所長経験者の男性審判官2名、合計3名の合議体でした。また事務連絡係として、国税審査官1名の構成で審議が行われて行きました。
東京国税不服審判所へ不服申立としての「審査請求書」を提出したのが2012年12月7日でした。その後2013年4月4日に審判所より呼び出しを受け、審査請求人である社長及び代理人として当税理士事務所側3名が出頭し、その場で今回の争点の確認をおこないました。その際担当審判官より、今回争点がはっきりしていることから「同席主張」の申出を受けました。同席主張とは2011年度から実施され始めた制度で、審判官、請求人及び原処分庁の間でこの事件の内容を共通に理解している事。主張及び争点を明確にすることで迅速な裁決に資するとともに、透明性を図ることを目的としたものでまだ試験的に導入しているケースでありまだ少ないそうです。これに対して当方も賛同し5月22日に行うことになりました。

3、(同席主張内容) 当日場所は審判所の一室で行われ、中央に審判官及副審判官2名、書記として国税審査官2名。国税側は東京国税局審理課3名及び原処分庁であるS税務署の法人1部門1名の4名が出席。当方は社長と当税理士事務所側3名の同じく4名にて進められました。当初担当審判官より同席主張の流れの説明があり、まず国税側より今回の主張が読まれました。これに対し社長が当方の主張を説明し審理が進んでいったのですが、社長の国税側への質問に関し、国税側の説明に当初説明したこととは違う矛盾のある説明があったため、審判官からその矛盾点の説明を求められたのですがその場で回答できなくなり、後日その主張を文書にて再度提出ことで終了してしまいました。時間にして約1時間ぐらいであった。その後6月14日に同席主張時に説明できなかった内容を書いた国税側の反論書が提出されたので、6月28日に当方で再度反論書を書き提出することにした。

4.(おわりに) 国税職員は7月10日が人事移動の時期です。今回の担当審判官は3年の任期が終了したため、後任に引き継ぎ民間へ戻り弁護士活動を行っているそうです。後任の審判官は7月下旬に判明したが、現在のところ再度同席主張を行うか不明です。いずれにせよ、国税不服審判所へ審査請求を提出してから10ヶ月以内に裁決するのが通例なので、11月頃までには結論がでることになります。内容しだいでは裁決から6ヶ月以内に東京地方裁判所へ訴訟を提起することになるかもしれません。裁判で争ったからと言って望み通りの判決が出る確証は有りません。しかし故松沢智先生の言葉通り税務上の解釈は争わなければ発展しません。裁判にて出された判決が税務上の「判例」となり、今後の税務行政に影響を与えます。やはり争っていかなくては発展はないのではないでしょうか。
                              
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