税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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全法連が8千人にアンケート  ~社長さんは今の税制をどう見ている?~

約100万社が加入する法人会で組織される全国法人会総連合会(以下「全法連」)の調査により、社長さんは今の税制をどう見ているかがわかってきました。
全法連では公正で健全な税制の実現を目指して会員企業の意思や要望を反映しながら、税のあるべき姿や将来像を見据えて建設的な提言を行っています。また、「税制改正に関する提言」の取りまとめるにあたり、毎年税制に関するアンケートを実施しており、今年も3月18日から5月17日に「平成26年度税制改正に関するアンケート」が実施され結果が公表されました。

(1)3人に1人は「相続増税やむなし」「法人税の減税見送り容認」
全法連の「平成26年度税制改正に関するアンケート」では、20問の多岐に亘る内容での質問事項があり、まず着目したいのは、法人税の減税見送りや相続税の増税を容認する声が以外と多いことです。

問4 法人税/法人税率のさらなる引き下げ
 23年度税制改正で実行税率が5%引き下げられましたが、法人税率のさらなる見直しについてどのように考えますか。

社長1

上記のようにアンケートの問4の法人税実効税率の見直しに対する問いについて、さらなる引き下げを希望したは46.9%で過半数に届かず、減税財源確保の困難などからこれ以上の引下げは見送るべきとしたのが35.4%にも上りました。国の“財布”の事情を考慮した多くの社長の姿が垣間見えるようです。

問9 相続税/相続税の課税強化
地価の下落などで相続税の課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している状況を受けて課税ベースの拡大と税率構造の改正が行われます。こうした課税強化についてどのように考えますか。

社長2

問9では、2015(平成27)年がら最高税率が引き上げられると同時に基礎控除額が引き下げられる相続税について、相続税の課税強化すべきでないという回答が55.5%で過半数を占めたものの、課税強化はやむを得ないとする回答が33.4%あり、3人に1人が容認していることになります。問の冒頭で、「地価の下落などで相続税の課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している状況を受けて課税ベースの拡大と税率構造の改正が行われます」と付されているため、「課税強化やむなし」との回答からは、富の再分配機能の是正を重視した意中がうかがえます。
 どちらの設問からも、自信の直接的な利得だけではなく経済全体を見渡して回答した社長さんの姿が見えてくるようです。

(2)減税措置の人気投票 第一位は「生産等設備投資促進税制の創設」
 アンケートには設備投資や雇用拡大の呼び水になり得る減税措置の“人気投票”も盛り込まれています。

問6 法人税/設備投資等
 「デフレからの脱却」を最優先課題に、民間企業の設備投資や雇用拡大の呼び水となる政策減税措置が盛り込まれました。とくに評価する措置は何ですか。

社長3

評価されている順に見ていくと上記のようになりますが、第4位に「わからない」と第6位に「どれも評価しない」という回答があり、20.4%を占めました。
 また、このように一定の評価を得た所得拡大促進税制の創設と雇用促進税制の拡充ですが、アンケートでは問8でこれに伴う会社の雇用・給与の拡大意向も問うています。

問8 法人税/所得拡大税制・雇用促進税制
 法人税では、給与等の支給を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除する制度が創設されました。また雇用促進のため増加雇用数一人当たりの税額控除が40万円(従来は20万円)に拡大されました。本改正に伴い、あなたの会社はどうしますか。

社長4

結果は、「雇用も給与も増やさない」が最も多く31%を占めていました。ただ、「給与を引き上げたい」(19.3%)「雇用も給与も拡大したい」(15.2%)「雇用を拡大したい」(14.8%)を合計すると49.3%で「雇用も給与も増やさない」を上回っており、5割の社長さんは雇用促進に前向きであることがわかります。

(3)交際費支出を増やす意向の会社は2割
 中小企業の交際費課税は、税制改正で定額控除限度額が600万円から800万円に引き上げられるとともに、限度額までの10%損金不算入の扱いが撤廃されました。それに関するアンケートについて次の回答が寄せられました。

問7 法人税/交際費課税の特例拡充
 今回の税制改正大綱では、中小企業の交際費課税の特例が800万円まで枠が拡大され、また全額損金算入ができることとなりました。(従来は600万円までの90%が損金算入可)本改正に伴い、あなたの会社はどうしますか。

社長5

上記の回答のように、交際費課税が緩やかになっても慎重な姿勢を変えない会社が大多数を占めていますが、交際費支出を増やそうとしている2割の会社が景気浮揚を後押しする可能性もあるでしょう。

(4)事業承継税制 適用要件緩和で3割が利用に前向き
 増税路線の相続税・贈与税を軽減する「事業承継税制」については負担軽減措置が取られています。手続きの簡素化や適用要件の緩和などが見直されていますが、このアンケートにより最も評価されたのは、先代経営者の「役員」退任要件が「代表者」退任要件に緩和された点です。

問10 相続税・贈与税/事業承継税制における適用要件の改正
 納税猶予制度については、制度適用要件、手続き等の大幅見直しがされました。もっとも評価する改正内容を以下より2つ選んで下さい。

社長6

21%の社長さんがこの退任要件の緩和を支持しました。また、第2位となったのは親族外の承継が適用要件として認められたことで、15.7%の社長さんが評価をしています。

問11 相続税・贈与税/改正後の納税猶予制度の利用
 納税猶予制度の適用要件等の見直しが行われたことにより、今後、制度を利用したいと思いますか。

社長7

また、問11ではこうした改正により納税猶予制度の利用に関するアンケートも行っています。「利用する」との回答が28.5%であり、「利用しない」という回答の14.4%の2倍近くあり、3割の社長さんが利用に前向きであることがわかります。しかし、「どちらとも言えない」という回答が53.8%であり、さらなる見直しについては次のような回答がありました。

問12 相続税・贈与税/さらなる事業承継税制の見直し
 今改正では現行の納税井猶予制度の使い勝手を高めるような見直しが行われましたが、今後のさらなる見直しの余地についてどのように考えますか。

社長8

「当面は今改正による利用状況を注視すべき」という回答が3割で第1位となりましたが、「さらなる適用要件緩和」、「納税猶予制度ではなく、欧米主要国のような本格的な事業承継税制の構築」というようにさらなる見直しを望む声は5割を占め、今回の改正では十分でないと思っていることがわかります。

 法人会では、税の提言活動を毎年行っており、平成25年1月29日に「平成25年度税制改正大綱」が閣議決定されましたが、今回の改正では事業承継税制、交際費課税をはじめ法人会の要望事項が広くもりこまれました。「平成25年度税制改正における法人会提言の実現事項」として法人会のホームページで紹介されています。
 「平成26年度税制改正に関するアンケート」の結果についても全法連の税の提言活動に活かされることなります。アンケートを通じて自信の直接的な利得だけではなく経済全体を見渡して回答した社長さんの姿が見えてきました。今後税の提言活動を通じて、全法連の目指す公正で健全な税制の実現に繋がることを期待しています。


参考資料 NP通信社 月刊「社長のミカタ」
法人会ホームページ 税の提言活動
平成26年度税制改正に関するアンケート
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| 税制改正 | 09:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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