税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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少人数私募債にも節税封じが!!

 資産家の皆さんの中にはプライベートバンクならぬプライベートカンパニー(資産管理会社)を持って節税を行っている方もいると思います。
今回はオーナー社長が自分の会社を利用した、少人数私募債を利用した節税スキームの仕組みについて解説したいと思います。まず事例で見ていきましょう。

 株式会社自民党の安倍社長は年収3000万の給与を取っているオーナー社長だと仮定して下さい。また個人的にもかなりの余裕資金をもっておりその資金運用方法を考えていました。今回、株式会社自民党は成長戦略の一環として1億円の設備投資計画をしています。そして、その資金を金融機関からではなく安倍社長の個人資金から会社に投資をしようと考えました。この場合、単純に会社へ1億円貸付け、仮に金利年3%とすると年間300万円の利息を受け取ることになります。会社は支払利息を損金経理出来ます。貸付利息を受け取った安倍社長は300万円を雑所得として給与収入と合算(総合課税)して確定申告をすることになります。
この場合の所得税額は 給与収入3000万・・・給与所得では2755万円+雑所得300万円=総合所得3055万円-基礎控除額38万= 課税所得3017万円になります。
この所得に対する所得税額は927.2万円 になります。

一方会社が少人数私募債1億円を発行し、これを安倍社長が個人で購入した場合はどう変わるのでしょうか?
私募債の金利は同様に3%と仮定した場合、会社は社債利息300万円を損金計上出来ます。そして安倍社長は、当該社債利子300万のうち20%(所得税15%地方税5%)、金額では60万円(所得税45万・地方税15万)を差引いた240万円を受け取ることになります。ここで重要なことは社債利子は源泉分離課税20%(所得税15%・地方税5%)を徴収されるだけで終わりになることです。(措置法3条①)
それではこの場合の税額計算をしてみましょう。
給与収入3000万・・・・・給与所得2755万円-基礎控除額38万
             =課税所得 2717万円
             =所得税額 807.2万円+分離課税所得税45万円  これを合算すると年間所得税額は 852.2万円になります。
上記との差額75万が節税になります。なお、住民税も含めて計算すればもっと金額の差額が開いていくことがわかります。
このスキームは総合課税と源泉分離課税との税率差に着目したものです。もちろん源泉分離課税率15%以上の総合課税率がなければ意味がありません。

それでは、安倍社長はどうしたらよいのでしょう。
まず、少人数私募債に該当するための要件として次の4要件が必要となります。
1. 株式会社が発行すること。
2. 50名未満の縁故者(社長・社長の親族・社員・得意先など)のみを対象に引受を募集。
尚、銀行・証券会社等への発行は不可である。
3.転売制限を付けること。具体的には、社債権者数が増えないよう、転売は一括譲渡のみとすること。(例えば社債5口保有する者は5口まとめて売却すること)
4.社債口数(社債の発行総額÷社債の1口額面)が50未満であること。
これらの要件を満たすことで有価証券届出書等の提出が不要となり、会社法702条で義務付けられる社債管理者の設置も不要となるのである。
そして取締役会の承認のみで発行できるなど、手軽に節税できるとの理由から、中小企業のオーナー社長を中心に利用者が増えているのです。
 ただし注意点もあります。まず社債発行総額が1億円以上になる場合には、金融商品取引法上の「告知義務」が発生します。 (金商法23条の13④、開示府令14条の15②)

 ここでいう「告知義務」は次の3事項を社債要項に記入することで足りるとされています。
① 有価証券通知書、有価証券届出書を提出していないこと。
② 発行社債は記名式で、一括譲渡以外の譲渡が禁止されていること。
③ 社債券の券面が50枚未満であり、表示単位未満には分割できないこと。
 以上です。

 しかし残念なことに、平成25年度の税制改正により、この少人数私募債を活用したスキームの封じ込め措置がとられました。
具体的には、2016年(平成28年)1月1日以後に発行される社債から適用になり、社債利息は分離課税から総合課税になることになりました。

安倍社長はこのスキームが会社にも個人にもメリットがあると考え検討することにしました。実行するのは何時がいいのでしょうか?
やはり「いまでしょう!!」

以  上

 参照資料:T&Amaster NO491号
注1:所得税の税額計算は平成25年度の税率による。
 2:税額計算を分かり易くするため、基礎控除のみとしている。
 3:復興特別所得税の計算は考慮していない。
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| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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