税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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2%の実質経済成長率は実現するのか?

(消費税増税で税の増収が本当にはかれるのか?)

 消費税増税は、第180回国会及び181回臨時国会で成立した「社会保障と税の一体改革」に関する15の法律に基づく。15のうち13までが、国民健康保険法や高齢者雇用安定法などの社会保障分野の改正法で、残りの2つが税に関するいわゆる‘消費税増税法’である。
 この改正消費税法と地方消費税法によって、合わせて8%とすることが定められた。さらに27年10月1日からは10%まで増税する。
 ところが、増税実現に向けて障壁になっているのが、改正法附則18条の「景気条項」である。ここには増税にあたっての経済指標の‘目安’が記されており、‘経済状況を好転させること’が増税の条件として記されているのである。
 ただ、‘目安’と言わざるを得ないのは、基準が明確ではなく、未達成でも増税をとめるだけの縛りが含まれていないためである。

 アベノミクスで一時的に株価は回復し、為替も超円高を脱したとはいえ、いまだ中小企業や一般大衆はその恩恵をほとんど感じていないのが現状である。‘増税の最終判断は秋ごろには判断を安倍首相がする’と菅幹事長がテレビの番組の中で言っていたが、この状況では気を緩めることはできないと思う。
 また安倍首相に至っては、税収が伸びなかったことも想定し、その時には、「附則18条に則って決める」と述べている。 
 最悪の不況状況を脱したとするなら、あとは緩やかながらも、回復基調を示すのが景気の流れではあるが、問題は増税時期にその兆しがみえるかどうかである。
 多くのアナリストは、「今年度中は、好況感は続くだろう」としているが、同時に増税前の駆け込み需要の反動も加わり、26年度はマイナス成長となることを確実視する声が多いのも事実です。
 ここで改めて消費税の基本を述べてみる。‘消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しかないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない’としている。(H2.3.26東京高裁判決)
 つまり、消費者が‘消費税分’として上乗せして支払っているのは、企業側が何らかの理由によって上げられた‘総額の一部’に過ぎないということなのである。
 納税者側はあくまでも取引を行った事業者であり、それはたとえ納品先や消費者から消費税分の代金を受けていなくても、計算上は‘受け取った’として計算される。
 高騰する原材料費、発注元からの締め付け、切るに切れない人件など、ぎりぎりの線で乗り切っている中小零細企業にとって5%の利益アップは文字通り死活問題となる。
 増税後の価格転嫁が困難なことであり、生き残るには、人材費を削って外注や派遣社員化を進めるか、原材料の質を落とすか、さらに下請けをたたくか。いずれにしても社会全体で考えれば、税収は減少し、国民のモチベーションは下がり、失業者は増え、犯罪は増加し、結果、国力が低下することは目に見えているのである。
 中小零細企業が増税の不安におびえるなか、輸出企業への「輸出戻し税」は手につかずに温存されている。消費税増税は輸出大企業などで組織される経団連の強く押す施策だが、まずは大企業が潤ってから中小零細企業に恩恵が降りてくるという‘トリクルダウン’が現実のものとして訪れると考えることは難しいと思う。
 日本の中小企業は420万社あり、全企業の99.7%を占めるといいます。これら日本を支える土台ともいえる中小企業が潤わずに日本の再建はありえないし、そもそも消費税の増税は本当に必要なのだろうか。増税が仮に必要だとしても、それはいったい誰のための増税なのか。増税は中小零細企業を幸せにするのだろうか。1人1人が考える時期ではないだろうか。 



(月間社長のミカタ 8月号より)


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