税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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家族信託を活用したらどうでしょうか?

元気なうちに‘遺言効果’を!

 「遺産のことで家族がもめないようにしておきたい」、「相続が‘争族’にならないように対策を講じたい」、というような誰もが抱くこうした思いを背景にして、家族の財産管理や資産承継に「家族信託」を活用する動きが広がっているようです。富裕層にだけ限らず、「資産は自宅の土地・建物と、老後資金の銀行預金が3千万円ほど」といった一般的な世帯でも、「家族信託」を活用するケースは増えているという。上手に設計すれば「遺言の効果が生前から得られる」とされる「家族信託」の現状について話してみたい。

 「家族信託」とは、家族の財産管理や承継に信託の仕組みを利用するもの。
平成19年から施行された改正信託法によって、民事信託(非営業信託)のひとつとして、可能となった。改正信託法で「遺言代用の信託に関する規定」や「後継ぎ遺贈型の受益者連続に関する規定」などが整備されたことにより、家族の生活保障や個人事業の承継などに、活用することになった。主なメリットとしては、「受益者」のために、「委託者」と「受託者」との間で自由に信託内容を決められることや、生前から死語まで効果継続することなどが挙げられている。また、実際の利用にあたっては、信託銀行が商事信託
(営業信託)の商品として取り扱っているものを活用する以外に、税理士や弁護士、司法書士などを信託監督人として公証役場で信託契約を認証する方法も可能である。このため「家族信託」では、信託銀行が関与していないケースも多くみられる。

 「家族信託」は個々の家庭の事情に会わせて、さまざまなかたちで設計される。例えば、本人が生存中は本人を受益者とし、死亡後は本人の子・配偶者などを受益者とする「遺言代用の信託」のかたちや、本人の生存中は本人を受益者とし、死亡後は本人の配偶者を、配偶者の死亡後はさらに本人の子を連続して受益者とする「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」などのかたちがある。「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」では、父親の死後、受益者を母親、さらにはその子へと連続して与えるプランや、障害のある子を受益者として財産を残す設計も可能となる。
 
「遺言代用の信託」のかたちでは、例えば、母親(委託者)が「自宅」などの財産を残す設計も可能となる。
 「遺言代用の信託」のかたちでは、例えば、母親(委託者)が「自宅」などの財産を子(受託者)に信託する。子は信託財産である「自宅」の所有名義人となり、その管理を行うが、母親は「受益者」(信託の利益を受ける人)として「自宅」に住み続ける。信託契約で母親の死亡後の「自宅」の所有者を子にしておけば円滑に相続できる。
 母親が「自宅」の所有権を移すことにさえ抵抗がなければ、こうした「家族信託」のプランは節税面でも効果的な手段だといえる。母親は将来的に「自宅」などの財産をすべての子に相続させたいと考えているが、元気なうちに「自宅」を子に贈与すれば、当然ながら贈与税がかかる。だが、母親を受益者として、本人が死亡するまで「自宅」に住み続ける設計にしておけば、「自宅」の名義を移しても贈与税はかからない。母親としては「家族信託」を活用することによって、遺言とほぼ同様のことを生前に実現できるわけだ。
 信託銀行でも「家族信託」に対応した商品を取り扱っている。顧客(委託者)から信託された金融資産を、信託銀行が受託者として管理・運用。生存中は委託者が自身の年金として受け取り、死亡後は指定された子や配偶者に渡すという仕組みだ。このような商品は「遺言代用」の機能をもたせたものだといえる。
 米国では、信託プランをオーダーメードで設計する「ファミリー・トラスト」が主流だが、日本では、一部の資産家向けの商品として取り扱われるにとどまっているのである。
しかし、一般的な世帯にまで「家族信託」を活用する動きが広がってきたことで、国内の信託銀行も、‘中間層’のニーズに対応する商品を充実させている。「家族信託」のプランを設計する際には、こうした商品を組み入れることも可能になったわけである。
 「家族信託」の広がりに注目しているのは、信託銀行だけではない。一部の業者では、「海外に家族信託を設立」することで「相続税対策」になるなどを謳い、富裕層を勧誘しているようだ。「国外財産調書制度」によって、来年から調書の提出が求められるようになるため、海外不動産などの資産を持つ富裕層に対して「外国で家族信託を設立し、そこへ個人の海外資産を売却すれば節税になる」などといった‘スキーム’で売り込んでいるわけである。違法か合法か、脱税か節税か、本当に効果があるのかないのかの判断などはさておいて、まずこうした「商品」についての正しい知識を得るためにも、税理士や弁護士、司法書士など「信託監督人」にもなってもらえるプロに相談し、自分と家族、後継者にとって、最適な「家族信託」プランを設計しようではないか。

例をあげると、東京都に住むA子さん(仮名、78)と娘のB子さん(同、45)は先月、東京都中央区で開業する信託に詳しい司法書士、C氏に相談に訪れた。
 夫に先立たれたA子さんの資産は自宅と金融資産が3千万円程度。死亡後はB子さんに自宅を相続させる考えだが、C氏は意外な提案をした。

*贈与税かからず
 「柔軟性のある信託という仕組みも検討したら?」 信託というと、信託銀行の金融商品を思い浮かべる人が多い。だが、もともとは財産管理の仕組みである。
 プラン(図A)では、A子さんを委託者(財産を信託する人)、B子さんを信託の受託者(信託財産の所有名義人で財産管理を行う人)にする。A子さんが老人ホームに入居するため自宅を売る場合は、その手続きもB子さんが行う。
A子さんは「受益者」(信託の利益を受ける人)として住み続ける。死亡後の自宅所有者を信託契約でB子さんとしておけばB子さんが自宅を相続できる。不動産の法律・実務に詳しい司法書士、弁護士が「信託監督人」として補佐すれば安心できるという。
 A子さんは自宅の所有権を移すことには抵抗があったが「いずれB子のものになる」と受け入れた。今、自宅を贈与すれば贈与税がかかる。その点、信託の仕組みでA子さんが死亡するまで受益者としておけば、名義を移しても贈与税はかからずに済む。A子さんは遺言と同様のことを生前に実現できるわけだ。

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(NP通信社の記事より引用)
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| 相続税及び贈与税 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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