税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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アップル社に見る租税回避行為とは何か

2013年5月20日、日本でもなじみの深い米国企業のアップル社が外国の子会社を利用して、課税逃れをしていると米国上院議会が報告書により指摘され、非難されているのはつい最近の出来事である。
今回はアップル社に見る節税戦略を、2013年6月3日付の日本経済新聞報道を参考にしながら見ていきたい。
その手口とは、2009年~2012年で740億ドル(7兆6000億円)の海外利益を低税率国のアイルランドに集め、米国の課税を逃れたとされている。いわゆるタックス・ヘイブンを利用したとのことである。

 一般的に、「タックス・ヘイブン」とは「税金がない国や地域」とか「税金がほとんどない国や地域」と訳されている。具体的には、ケイマン諸島・バハマ、バミューダ、ブリティッシュ・バージン・アイランドなどカリブ海にある島のグループが一つの典型例である。
日本でも、ペーパーカンパニーをこれらの島国に設立し租税回避行為を行った企業などをニュースなどで聞いたことがあるだろう。
 米国議会が問題視しているのが、子会社が現地でも米国でも課税されない「二重非課税」に近い状態に置かれていたことである。米国は設立地が国内の会社に課税し、アイルランドは国内に経営機能がある会社に課税する。そこでアイルランドに設立した子会社は、米国に経営実態を置く形にすれば、どちらの国からも基本的に課税されない。
 
 米国では、こうした課税逃れに網をかける「タックスヘイブン対策税制」があったが、アップル社はこの対策として別の抜け穴を組み合わせ租税回避行為を行ったとされている。
具体的にはアイルランドに海外統括会社(AOIという会社を設立)を設立させ、アップル社のアイルランドの子会社(ASIという会社)をその傘下において支店扱いにしたことにより課税対象外となるそうである。これによりアイルランドの税率を実質2%以下に抑え、アップル社はグループ全体の実質税率も約25%に抑えたとのことである。
現在のところこの行為が違法ではないのか調査を開始したばかりなので今後の成り行きを見守りたい。

 ところで、そもそも租税回避行為とはどのような場合をいうのであろうか?
まず節税とは、非難される性質のない税金を減らす努力である。
これに対し脱税とは、売り上げの一部又は全部を帳簿に計上しなかったり、架空の経費を計上するなどの行為をして、「偽りその他不正の行為」を行うほ脱犯となる行為をいう。
この節税と脱税の中間に位置するのが租税回避である。
 租税回避とは、非難の対象となっている課税処分を受けるべきであるか否かが直ちには明らかでない行為である。
節税と租税回避、脱税と租税回避の境界はあいまいでありこれを明快に区分できた例はない。
米国ではグーグル社やマイクロソフト社なども利益拡大を求める株主の声を背景に同様の租税回避行為を実施しているそうである。いまのところ法律違反がないだけに対応に苦慮しているという。

 それでは日本ではどうであろうか?
じつは日本でも海外子会社等を使った租税回避行為の事件は多いのである。
従ってこうした国際的な租税回避を法律的に防ぐ制度として、

1.タックス・ヘイブン対策税制
2.移転価格税制
3.過少資本税制
    

の3つの制度がある。
次回は、これら制度の説明と、日本で起きた事例について見ていきたい。


以 上
                 
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