税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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所得拡大促進税制を創設 雇用促進税制は拡充

労働者の「所得拡大促進税制」を創設へ

 政府は1月29日、平成25年度税制改正大綱を閣議決定しました。企業の減税措置として、従業員の給与等支給額が一定率を上回った場合、その増加額の10%の税額控除を可能とする「所得税拡大促進税制」を創設するとともに、従来の雇用促進税制を拡充して、税額控除額を増加雇用者1人当たり20万円から40万円に倍増しています。
 また、国内設備投資を増加させた法人が新たに国内で取得等した機械装置について、取得価額の30%の特別償却または3%の税額控除を認めることや、商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等が経営改善に向けて建物附属設備や器具・備品を取得する場合にも、30%の特別償却または7%の税額控除ができる制度を創設するなど、雇用や労働者の所得拡大、設備投資に前向きに取り組む企業を支援する措置が設けられました。

 平成25年度税制改正大綱では、26年4月に消費税率が現在の5%から8%に引き上げられることを見据え、民間投資の喚起や雇用・所得の拡大を促す効果を狙う施策が随所に盛り込まれた。なかでも所得拡大促進税制の創設と雇用促進税制の拡充は「成長による富の創出」を掲げる安倍内閣の施策の大きな柱と位置付けられている。

 大綱には、「わが国の多様な潜在力を引き出すことが〝成長による富の創出〟につながる」として、「雇用と所得が拡大する国」を目指すことが明記された。その税制面からの取り組みの一つが「所得拡大促進税制」の創出だ。
この制度は、従業員への給与等支給額(労働分配)を増加させた企業には、一定割合の法人税額を控除するというもの。雇用確保と消費者の需要回復に後押しされる経済成長を狙う一貫とされている。
対象となるのは青色法人企業で、平成25年4月から28年3月末までに国内雇用者に払った給与等が一定の計算上で5%以上増加した企業は、その増加額の10%を法人税率から控除できるというもの。正確には、各事業年度の所得金額の計算上で損金額に参入される給与等支給額を指す「雇用者給与等支給額」から、25年4月以降に始まる最初の事業年度(基準事業年度)の所得金額の計算上で損金額に参入される給与支給額を指す「基準雇用者給与等支給額」を控除した「雇用者給与等支給増加額」の「基準雇用者給与等支給額」に対する割合が5%以上となった際には、その「雇用者給与等支給増加額」の10%の税額控除ができるというものだ。なお、控除される10%は、中小企業の場合は20%となる。ただし、控除額は当期の法人税額の10%(中小企業者等は20%)が限度とされている。

 さらに、この控除を受けるには給与増加額が5%以上であると同時に、雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと、そして平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないことが条件に挙げられている。これは、仮に25年を基準事業年度として支給額が1億円あったとして、26年度は大幅増員したため2億円に膨らんだが、制度の適用を受けようとする27年度には大リストラをして支給額が1億1千万になったような場合を想定し、前事業年度に約半数もの従業員の解雇したにも関わらず、「所得拡大促進税制」の適用を受けるのは制度の趣旨に反するためにできた縛りだ。
 所得拡大促進税制につき安倍政権では、その減税規模を年間約1千億円とする方針を示している。つまり毎月の給与や賞与は、全体で年1兆円の増加となる。日本の雇用者数は23年末で5487万人だが、単純に頭割りをすれば一人あたり年間2万円の賃金増となる。ただし、法人税を納めている黒字企業が全体の約3割という状況を鑑みれば、国民全体の底上げに効果を発揮するかは大いに疑問だ。「税金を納めるくらいなら社員に給料を支払ってやろう」という経営者が、この3割の中のどれほどになるのか。底上げどころか、全体で見ればさらなる二極化を招く可能性も十分にある。

 もう一方の〝雇用促進税制の拡充〟についても同様の指摘は多い。
こちらは平成23年6月に公布された税制上の優遇制度で、同年4月から26年3月末までに開始する事業年度で「雇用保険一般被保険者」を5人以上(中小企業は2人以上)、かつ雇用増加割合10%以上増加などの要件を満たす場合に、雇用増加数1人当たり20万円の税額控除が受けられる制度だ。
25年度税制改正では、その税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40万円に引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の措置を講ずることとされている。
ここで制度の概要について改めて確認しておく。
まず、ここでいう「雇用保険の一般被保険者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、引き続き31日以上の連続した雇用が見込まれる人を指す。もちろん、パートやアルバイト従業員も含まれる。ただし、65歳以上で再雇用された人や、いわゆる季節労働者のほか、会社の役員は対象外だ。
対象となるのは青色申告法人に限られ、適用を受けるには事業年度開始から2カ月以内に公共職業安定所へ「雇用促進計画」を提出しなければならない。そこで、上記のような従業員の増加があり、かつ給与などの支給額がその法人の「比較給与等支給額」以上である必要がある。

 なお、前事業年度から当該事業年度にかけて、会社都合のリストラなどの離職者がいないことが条件にあるので注意が必要だ。また、設立事業年度は適用から外れる。
厚生労働省の今年2月1日付けの資料では、23年11月までに68935人(6396件)の雇用増加「達成」状況が報告されているが、「実質GDP(国内総生産)を2%押し上げ、60万人分の雇用を創出する」という安倍首相の宣言をどこまで後押しする政策になれるかは未知数だ。
安倍首相は、大企業が潤うことで中小零細企業も活性化するというトリクルダウンの思考を経済政策の土台に据えているが、結果的に社会全体の底上げに繋がらなければ日本経済の再生は難しい。雇用促進により労働人口を増やすことは、すなわち失業者を減らし、生活保護者世帯も減少させることにつながる。それは安定的な税収を確保するとともに、健全な形で支出を減らすことだ。今後、3割の黒字企業のみが、「既存の従業員の給与増か、それとも従業員総数の増加か」という選択をすることになる。はたして、そうした〝恩恵〟は残り7割にまで浸透する日はくるのだろうか。もちろん、そのオコボレを待ってもいられないため自助努力を重ねるしかないが、「痛み」に耐えるにも限界があることは、この10年で経験済みだ。〝成長による富の創出〟の行方には、多くの中小企業の命運がかかっている。


(NP通信社 記事、社会労務士法人日比谷事務所 所報 参照)



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