税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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最近の相続税調査による「海外資産の計上漏れ」問題

 国税庁は、平成23年事務年度(平成23年7月~平成24年6月の期間)に実施した相続税の実地調査の状況をホームページにおいて発表した。
 相続税調査は、当局が収集した資料情報を基に、申告額の過少申告や無申告が想定される人に対して実施される。

 国税庁によると平成21.22年に発生した相続を中心に23事業年度に実施された相続税調査は13,787件でこのうち申告漏れなどの非違があった件数は11,159件、非違割合80.9%だった。
申告漏れ課税価格は3,993億円、実施調査1件当たりは2,896万円。加算税を含む追徴税額は757億円で、実地調査1件当たりは549万円。特に仮装・隠蔽といった悪質な手段で過少申告や不納府、無申告になっているケースで課される重加算税の賦課件数は1,569件だった。
申告漏れ財産で最も多かったのは現金.預貯金等1426億円で、続いて有価証券631億円、土地630億円、家屋76億円と続く。
また、海外資産への注視も続いている。海外資産関連の相続調査件数を平成19年度から見ると、407件、475件、531件、695件、そして今回が741件と、年々増えていることが分かる。これに伴って非違件数も増加傾向にあり、23事務年度は111件であった。当局は資料情報や相続人・被相続人の居住形態などから海外資産の相続が想定されるケースなどに対して「積極的に調査を実施する」としている。

ここでは、国外財産を申告していなかった事例3件を見ていきたい。

事例1 相続した国外財産を申告除外

 国外送金等調書などによると被相続人である夫Aは生前、外国当局からの送金で資産の譲渡に掛かる外国税の還付を受けていた。Aが海外不動産等を所有していたと想定されたが、相続税の申告財産に海外不動産等が含まれていなかった。
そこで当局の調査で判明したのは、相続人妻Bが海外不動産を相続していたこと。他の相続人に知られないように相続税の申告から除外していたという。
また、調査の過程で、国外金融機関に開設されていたAとBの共同名義口座の預金が申告漏れになっていた事実も明らかになった。
結果
(相続税:申告漏れ課税価格約8,000万円(うち重加算税対象額約4,100万円)追徴税額(加算税込)約2,800万円。)

事例2 多額の現金を隠蔽、基礎控除額以下として無申告

 元会社経営者の被相続人夫Cは多額の蓄財が想定されたが、相続発生後に相続人から相続税の申告が無かった。
調査の結果、相続人妻Dが相続財産を圧縮するため、生前にCの指示でCの預金を家族名義預金にしたほか、現金化して自宅物置に隠蔽していたことが発覚。これらの現金預金をC名義預金等に加えれば相続財産の合計額が基礎控除額を超えている事を認識していながら、相続税の申告をしていなかった。
結果
(相続税:申告漏れ課税価格約1億4,500万円(全て重加算税対象)追徴税額(加算税込)約1,100万円。)

事例3 給与や生活費等として送金、贈与税を無申告

 海外に居住する息子Eは扶養者である父Fから学資や生活費として多額の国外送金を受けていた。その資金を金融資産の購入に当てていたにもかかわれず、贈与税の申告から除外していた。
国外送金の事実を国外送金等調書で把握した当局の調査で、無申告が判明。さらに調査の過程で、国内金融機関のE名義口座に給与目的で受けていた多額の送金についても、実際はFからの贈与であることをEが認識していたにもかかわらず贈与税の申告をしていなかった事実も判明した。
結果
(贈与税:申告漏れ課税価格約4,700万円(うち重加算税対象額約800万円)追徴税額(加算税込)約2,300万円。)

 一般的に相続税の申告対象者は相続全体の5%ぐらいである。従って、相続税に関して無関心の人も散見される。
平成25年度税制改正では相続税の基礎控除が5,000万から3,000万に、法定相続人1人に対しての基礎控除額1,000万円から600万円になることが予想されている。
相続税は他人事。相続税は不動産所有の資産家が対象だ。といった意識が少しづつ変化してきている。
この辺で一つ、自分の財産を調べ直してみることも一考察だろう。

(参照:NP通信社 社長のミカタ2013年1月号)   




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| 相続税及び贈与税 | 09:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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