税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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検証:消費税転嫁問題の課題(その2)端数切上げは便乗値上げか

 政府は先月26日に消費税の転嫁対策をまとめ、消費税引上げに伴う「転嫁拒否」を厳しく取り締まる方針を打ち出したが、同時に、消費税導入時や5%への引上げ時問題となった「便乗値上げ」にも監視の目を向けて行くとしている。
 ただ、商品やサービスによっては、1円や10円等の単位の値付けが難しいものもあり、例えば消費税率引上げによって生じた端数を切上げ10円単位、100円単位等の価格とした場合、これが「便乗値上げ」に該当するかどうか、気になるところだ。
 一方、便乗値上げとならないよう、消費税率引上げ分の一部を転嫁せず、本体価格を引き下げる形で事業者が吸収した場合、これが「転嫁違反」にあたるのかどうかという疑問もある。
 これらの問題は、場合によっては事業者のシステムや生産ラインを大きく変更せざるを得ない事態につながることも想定されるだけに、予定される消費税率の引上げ時期を考えると、残された時間はそれほど多くない。
 事業者はどのように対応を図るべきなのか、関係者への取材を基に探った。

政府は便乗値上げを厳しく監視する方針
 政府の「消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部」が10月26日に決定した消費税転嫁対策では、各省庁に転嫁拒否等に関する調査・指導を行う「転嫁対策調査官」の新ポストを設置し、指導に従わない事業者については、公正取引委員会より勧告を行うとともに、事業者名を公表するなど、転嫁拒否に対して厳しい姿勢で臨む方針が打ち出されている。
 その一方で政府は、消費時導入時や5%への引上げ時に多く見られた「便乗値上げ」についても監視の目を光らせていくこととしている。(注1)
 
 こうした中、事業者にとって悩ましいのが、端数の取扱いだ。例えば電車やバス、タクシーといった交通機関の運賃や、自動販売機で売る商品など、商品やサービスによっては1円等の単位の値付けが難しいものがある。
 たとえば、自動販売機で売られている飲料の価格としてよく見られる120円に消費税3%引上げ分を転嫁すれば123円余りとなる。自動販売機でこうした価格設定をするのは困難だろう。
 そこで、価格を丸めるために、消費税率引上げによって生じた1円単位の端数を切上げ、「130円」といった価格にすれば、結果的に消費税率引上げ分を超えて価格を引き上げることになり、「便乗値上げ」との指摘を受けかねない。政府の価格転嫁対策では、各業界の所管省庁に便乗値上げに関する調査・指導権限が付与されており、場合によっては行政指導を受けることもあり得る。

事業者は減量等で対応も
 では、事業者は「便乗値上げ」に該当しないよう、どのように消費税率引上げ分を価格に転嫁すればよいだろうか。この点は政府も問題意識を持っており、それは下記の記述にも表れている。ここでいう公共料金には電車運賃等も該当し、「消費税転嫁をどのように行うか」という部分には端数の問題も含まれていることが本誌取材で確認されている。
 ただ、価格設定上、端数を商事されることが困難な商品等においては、「量」等で調整することにならざるを得ないとの意見もある。例えば、現在の価格が120円の飲料であれば、端数相当分、中身の量を減らすという手法も考えられる。
 一方、運賃等は「旅客営業規則」といった社内規定により、運行距離に応じた料金が定められていることが多いが、場合によっては、運賃はそのままにして、これに対応する運行距離の短縮が検討されることも考えられる。
 ただ、下記(注2)の政府方針にもあるように、こうした場合、事業者にあってはシステム改修等が必要になる。運賃表を改訂すれば、券売機や他路線との精算システムを改修する必要が出てくるであろう。また、飲料であれば、容量を減らしたり、場合によっては容器サイズを変更するために生産ラインの一部改修が必要になる可能性もある。
 
 政府は、消費者庁を中心に「来年4月」までに、公共料金への消費税転嫁に関する基本的な考え方をまとめるという。そこでは、運賃等の端数の問題についても何らかの解決策が示されることになるものと予想される。そこで示される解決策は、公表料金以外の一般の料金や代金における転嫁でも参考にされることになりそうだ。
 その一方で、量等では調整することが難しいのがサービスだ。例えば近年よく見られる「1,000円散髪」では、券売機に1,000円を投入してチケットを購入するシステムとなっており、釣銭が出ないことも、利用者にとっての利便の一つとなっているだけに、事業者側の対応が注目されるところだ。

企業努力による消費税引上げ分の吸収は“転嫁違反”になるか
 これまで述べてきたように、消費税率引上げに伴い生じた端数を切上げた場合には、「便乗値上げ」との指摘を受ける可能性が否定できない。そこで、逆に「切り下げ」を行おうと考える事業者が出てくることも予想される。例えば、現行価格が120円、消費税率3%引上げ分をそのまま転嫁すれば123円あまりとなるところ、これを130円とせずに、120円と据え置くパターンだ。
 この場合、消費税率引上げ分を転嫁できていないことになり、政府が進める「消費税の円滑かつ適正な転嫁」の方針に反することにならないか、疑念が生じる。
 
 しかし、例えば消費税率引上げ分のコスト削減を行うことで本体価格を下げ、消費税率引上げ分を吸収したとしても、それ自体が「転嫁違反」となることはないだろう。これは「企業努力」の範疇に属するものであり、それを否定する道理はないからだ。元々、政府が示した転嫁対策は、主に取引先が消費税の転嫁に応じない事態を想定したものであり、販売先が消費者である小売店等においては、消費税導入時や5%への引上げ時がそうであったように、むしろ便乗値上げが懸念されている。こうした背景からも、企業努力により本体価格の引き下げが問題視されることはないと考えられる。
 ただし、これを外部に対して表示すれば「転嫁違反」となる。(注3「それらを連想させる表示」に該当する可能性あり)
 なお、逆に「原価が上がった」ことを理由に、価格を130円に引上げこともあり得る。この場合に、価格を130円に引き上げることもあり得る。この場合、「便乗値上げでは?」と疑念を持たれやすいという懸念はあるものの、実際に原価が上がったのであれば、これを「便乗値上げ」と言うことはできないであろう。


注1 便乗値上げ等の対応
○更正取引委員会は、競争制限的行為による便乗値上げを防止するため、独占禁止法を原厳正に運用する
○消費者庁において、便乗値上げ防止のため、生活関連物資等の価格動向の調査、監視を行うことともに便乗値上げに関する電話相談窓口を設け、必要に応じて各業界の所管省庁に連絡する体制を整備する。各業界の所管省庁は、それぞれの監督権限に基づき、必要に応じて調査・指導を行う。

注2 公共料金については、今回の税率値上げが段階的に実施されることを踏まえ、公共料金において消費税転嫁をどのように行うかについて、事業者におけるシステム改修等の負担や転嫁に伴う消費者への影響を考慮し、政府において、消費者庁を中心に、各公共料金に共通する基本的な考え方を来年4月までに整理し、公表する。

注3 消費税引上げ分の還元や値引き、それらを連想させる表示については、経済産業省(中小企業庁)及び各業界の所管省庁は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に悪影響が及ばないよう適切な対応を要請する)


(引用:週刊T&A master 2012年11月19日号・№475より)



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