税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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国税犯則取締法の改正

国税犯則取締法の改正

官公署等に対する協力要請(照会)規定の整備

1.改正の内容

(1)国税犯則捜査のための必要事項の照会規定の整備
 国税以外の関税法等における犯則事件の調査については、官公署又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる「犯則調査のための官公署等に対する照会規定」が設けられています。(関税法119②、独占禁止法101②、金融商品取引法210②等)
 従来、国税の犯則調査については、任意調査規定(国税犯則取締法1条)に基づき官公署等への照会を行ってきたところですが、近年、個人情報についてより厳格な取り扱いが求められる中で、法的根拠(名分の官公署等に対する照会規定)がないことを理由に回答が拒否される事例が見受けられ、実務に支障を生じている状況にありました。
 このため、国税の犯則調査について、明文の規定がないことにより回答が拒否されることを排除する趣旨から、今回、他法における犯則調査と同様に、国税の犯則調査について「収税官吏は官公署又は公私の団体(注1)に照会して必要な事項の報告を求めることができる」ことを明文化することとされたものです(国犯法1③)(注2)
 なお、官公署等への協力要請を行った場合における当該官公署等への対応については、同様の規定を有する刑事訴訟法、関税法、独占禁止法、金融商品取引法等と同様の取り扱いになるものと考えられます。(注3)
最終的には、照会を求めた事項についての査察調査上の必要性と、守秘義務の内容の比較衡量により、当該官公署等が回答の要否を判断すべきものと考えられますが、官公署等が本項の求めを受けて報告した場合には、基本的に、当該官公署の担当職員等が「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」などにおける情報提供制限に係る義務違反や個別法上の守秘義務違反となることはないものと解されます(注4)。


(注1) 「官公署」とは、国、地方公共団体の機関その他各種の公の機関の包括的総称をいいます。
「公共の団体」とは、同様の規定を有する刑事訴訟法においては、「民事訴訟法186条(調査の嘱託)の『学校、商工会議所、取引所その他の団体』はもとより、広く公私の団体が含まれ、法人格は問わない」と解されています。(刑訴法197②、藤永・河上・中山編『大コン麺タール刑事訴訟法』第3巻(初版)157頁参照)。

(注2) 査察調査は、脱税犯等の刑事責任追及を目的とする手続きであり、適正課税を目的とする課税調査
とは、その目的・性格を異にします。このため、査察調査において官公署等にたいする照会を行う
場合には、所得税法等の個別税法の協力要請規定を借用することはできず、国税犯則取締法に基づいて行う必要があります。

(注3) 刑事訴訟法197条2項に規定する「公務所等に対する照会」については「相手方に報告すべき
義務を課すもの」と解されています(衆議院議員川村たかし氏提出の質問意見書(平成16年7月
30日提出質問代20号)に対する答弁書(平成16年8月10日受領答弁書第20号)。
(注4)  (社)行政情報システム研究所編『行政機関等個人情報保護法の解説』(増補版)36頁以下参照。


(2) 個別間接税を含めた調査のための協力要請規定の整備
 課税調査等における官公署等への協力要請規定については、昭和59年に所得税法、法人税法については設けられた後、消費税法、相続税法(昭和63年)、地価法(平成3年)、国税徴収法(平成18年)に同様の規定が設けられていますが(所法235②、法法156の2、相法60の2、地法37、消法63、徴法146の2)、酒税等の個別間接税法については、こうした明文の規定がなく、上記(1)と同様に、これらの調査の際、法的根拠がないことを理由に官公署等から調査(照会)を拒まれる事例があり、実務に支障を生じている状況にありました。
 今回の改正においては、このような状況を踏まえ、適正公平な課税を実現するための税務執行体制を整備する観点から、官公署等に対する協力要請規定について、明文の規定がないことを理由とする拒否がされることのないよう、酒税等の個別間接税に関する調査(酒税法における免許の審査を含みます。)について、「税務職員は官公署又は政府関係機関に対し、その調査に関し参考となるべき帳簿書類等の物件の閲覧、提供等に協力を求めることができる」ことを明文化することとされたものです。(酒法53⑥・⑦、た法27③、た特法19③、揮法26③、地揮法14の2③、石ガ法26③、石石法23③、航燃法19④、電促法12④、印法21②)。
 官公署等への協力要請を行った場合における当該官公署等への対応については、基本的に、上記(1)と同様であると考えられます。
 なお、各強力要請規定の改正については、各税法の解説をご参照ください。


2.適用関係
 
 上記の改正は、公布の日(平成23年6月30日)から施行されます。(改正法附則1)。


その2-1
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その2-2
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