税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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7月9日施行 改正法対応 在留管理制度入門4

~外国人を適正に雇い、安心して働いてもらうために~

外国人登録制度の廃止に伴う変更点・問題点など


 今年7月9日施行の入管法改正に伴う新制度では「外国人登録制度の廃止」が最も大きな“改正”です。戦後まもない昭和27年に制定された歴史の長い法律を廃止し、日本で生活する外国人についての情報管理を入国管理局へ一元化するという動きは、情報管理の制精度を向上して外国人の利便性を図る上で、グローバル化の流れに則した動きです。ただし、実務上の細かい点については未確定な部分も多く、実際に制度が動き出してからもさまざまな調整が必要となるでしょう。
以下、変更点について順番に解説します。

外国人登録原票の廃止→住民票発行

 現行法上は、外国人が銀行口座の開設や住居の賃貸契約など生活に必要な諸手続をする際に必要な証明書として、市区町村が外国人登録原票に基づいて「外国人登録原票記載事項証明書」を発行していました。
外国人登録法の廃止に伴い、外国人中長期在留者は、日本人と同様に住民基本台帳制度の対象となって住民票が発行されます。
これまでは日本人の妻と外国人の夫。日本人の子といった日本人と外国人で構成される世帯について、住民票に日本人の妻と日本人の子のみが記載されていました。実際には外国人の夫の収入で世帯が生活している場合でも、日本人の妻が世帯主と記載され、申し出によって備考欄に「事実上の世帯主」として外国人の夫の氏名が記載されるにとどまっています。したがって、世帯全員の証明書の発行を受ける際には「日本人の妻・子の住民票」「外国人の夫の登録原票記載事項証明書」双方が必要でした。
 新制度では、日本人と外国人の区別なく、全員の生年月日や続柄など、住民票に記載されるべき情報が同じように記載され、住民票1通で世帯の状態が把握できるようになります。
中長期在留者が住居地を変更した時は、新しい住居地に移転した日から14日以内に、当たらし住居地の市区町村の窓口に在留カードを持参し、転入届け、転居届け、法務大臣への住居地の変更届けを一括で行います。入国管理局への届出は不要です。
 
 市区町村役場で受付されるのは「住居地の変更」のみです。その他の諸届け(配偶者の変更や勤務先の変更等)は14日以内に住所地の管轄の出頭または東京入国管理局への郵送で届けることとなります。
 例えば、留学生が就職のために現在の住所地から勤務地の近くへ転居する場合、現在の住居地を管轄する地方入国管理局へ在留資格「留学」から就労資格(「人文知識・国際業務」、「技術」など)への在留資格変更許可申請を行い、許可後、転居した日から14日以内に、新住所地の市区町村役場で住所地の変更届けを提出するという流れになります。

新制度で懸念される点

短期滞在者の証明書について懸念される点があります。
 現行法では、3ヶ月以内の短期滞在者についても。住居地を定めて届け出ることで、外国人登録を行って外国人登録原票記載事項証明書の交付を受けることが可能でした。例えば起業順部のための銀行口座の開設を行うといった場面で、身元確認書類として外国人登録原票記載事項証明書が使用されています。
 また、外国人登録を行うと、印鑑登録も可能となります。印鑑登録を行わない場合、例えば、「日本で不動産の売買契約を行う」「短期滞在者の外国人発起人として法人設立を行う」といった場面で本人のサインを公証人役場や外務省などを経て認証する手続が必要となり、時間と費用が重くなります。
 新制度では、住民基本台帳制度の対象となるのは「3ヶ月を超えて適法に在留し住所を有する中長期在留者など」とされています。この規定に当てはまらない外国人に対しての証明書等の発行や印鑑登録について、新制度移行後にどのような対応がなされるのかは現状では明らかとなっていません。

所属機関による届け出

 現在、外国人雇用対策方に基づき、全ての授業主に、外国人(特別永住者を除く)の雇い入れと離職の際に、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出ることが義務づけられています(ここでは留学生を受け入れている教育機関については割愛します)。
新制度は施行された後でも、この届け出は必要ですが、併せて一般に「使用従属性がない」といわれるフリーランス語学講師や、会社の取締役など会社と雇用関係にないものの請負や業務委託契約などを締結している外国人に関しては、所属機関からその受け入れの開始・終了、受け入れの状況などを入国管理局へ届け出ることが求められます。
 ただし、雇用が前提とされていない在留資格である「芸術」(ダンスインストラクター等)「宗教」「報道」(フリーランスの記者)「技能実習」で在留している外国人については、届け出は不要です。
なお、所属機関に関係する変更で外国人本人より入国管理局へ届け出が比ゆ楊とされている次のような項目もあります。
1 所属機関の名称、所在地の変更
2 所属機関の消滅
3 所属機関からの離脱、移籍


 これらについては原則として本人からの届け出になりますが、名称、所在地の変更などが発生した場合は、雇用主側から適宣資料を提供して届け出を促すなどのバックアップが望ましいでしょう。
この届け出を怠ったことで、在留資格が取り消されるなど影響がすぐに及ぶわけではありませんが、在留資格の更新時に、勤務先が変わっていることについて届け出がなかったことで、許可されるまでに審査に時間がかかるなど、外国人にとって不利益が発生する可能性があります。審査をエンがツに進めるためにも、必要な届け出は発生の都度適宜行うことが重要です。

以上、4つの新しい在留管理制度について4回にわたり解説を行いました。
私の所属する大阪府行政書士会では、入国管理局と定期的に連絡協議会を開催し、現場の審査官からの最新情報を収集しております。今回の記事の内容中、一般に公開されている情報では分かりにくい点などに関して、この現場の生の声を反映させた部分は多岐に渡ります。
 手続に関係する法改正には、実務が発生しなくては分からない不具合、不備はつきものであり、今後も見直しが図られる点が多々あるでしょう。
 私たち申請取次行政書士は、日本で生活する外国人の方々、外国人を雇用している経営者の方々への制度の円滑な浸透に寄与できるよう、今後発生する実務上の改正点などの最新情報を行って行くよう努めます。


(納税通信3222号 著者:行政書士椋木法務事務所 椋木マキ)



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