税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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調整対象固定資産と仕入に係る消費税の調整 その2

前回は、調整対象固定資産の範囲と平成22年度の税制改正について説明しましたが、今回は課税売上割合が著しく変動した場合の調整についてご説明させていただきます。

1.趣旨
 固定資産のように長期に渡り使用するものであっても消費税の税額控除は取得した課税期間のみで行われることになります。しかし、取得時のみの現況だけで税額控除額を判定することが必ずしも適正でないケースあります。
 例えば、自動販売機による消費税還付が挙げられます。これは、居住用の固定資産を取得して、取得した事業年度は貸付を行わずに自動販売機収入のみの課税売上だけを計上することにより、その固定資産は非課税売上に係る課税仕入であるので本来は税額控除の対象とならないのに還付を受けることができてしまうのです。
また、工場を設立年度に取得しても設立事業年度に課税売上が発生しなければ、工場は課税売上に係る課税仕入であるのに税額控除ができないということもありえるのです
 従って、これらの調整を取得後3年目に行うことになるのです。

2.仕入税額控除が必要な場合
調整2-1
注1)「比例配分法」とは、個別対応方式において共通部分を売上割合で按分計算をする方法又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算する方法をいいます。
注2)「第3年度の課税期間」とは、仕入課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。2012年7月1日に設立した12月決算法人が設立年度の調整対象固定資産を取得した場合には2015年12月期が第3年度の課税期間となります。

3.通算課税売上割合が著しく増加した場合
 次の金額を第3年度も課税期間の仕入控除税額に加算します。
調整2-3

4.通算課税売上割合が著しく減少した場合
 次の金額を第3年度の課税期間の仕入税額から控除します。なお、控除しきれない金額があるときには、第3事業年度の課税売上高に係る消費税に加算します。
調整2-2
これらの仕入税額控除の調整は、調整対象固定資産を3年間保有していた場合に行うのですが、保有しなかった場合はどうなるのでしょうか。また、転用した場合にはどのような調整が必要なのでしょうか。次回は保有しない場合や転用した場合についてご説明します。

《参考》
『自動販売機設置による消費税還付』事案について
居住用マンションを取得して賃貸業を始めようとする場合には、居住用マンションの取得価額に係る消費税は非課税売上に対応するため税額控除の対象になりませんでした。
そこで、居住用マンションを年度末に取得し、取得した事業年度では貸付を開始せず課税事業者の選択届出をした後自動販売機のみの課税売上を計上してマンションの取得価額に係る消費税の還付を受けることにします。そして、簡易課税の届出をすることにより第2期は簡易課税事業者となり、第3期目には課税事業者選択不適用届出書を提出することにより免税事業者となるため、調整を免れることができました。
しかし、調整対象固定資産に関する改正により、調整対象固定資産を取得した場合には、取得後3年間は簡易課税事業者の選択もできず、免税事業者になることもできないため、第3年度課税期間において課税売上割合が著しく減少した場合の調整を行うことになるため、還付された消費税返還することになるのです。


調整対象固定資産図
【クリックして拡大表示】

〈参考資料〉
国税庁 タックスアンサー 



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