税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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クック諸島をめぐるタックスヘイブン事件

今回は、外国税額控除の控除限度枠は「売却」できるか、における大阪地方裁判所平成13年12月14日判決を改めて考えてみる。

(1)問題の所在
 内国法人である銀行(邦銀)が、対価を得るため、外国法人に外国において課される源泉税を軽減させることを目的として、邦銀自身の日本における外国税額控除の余裕枠を利用させ、日本国との間で二重課税が生じるような取引形態を作出し、取引を行った場合、法人税法69条1項(注1)の「納付することとなる場合」に当たるか。

(2)概要
 クック諸島法人であるA社は、同じくクック諸島法人であるB社に資金を貸し付けて運用することを企画したが、そうした場合、貸付利子にはクック諸島源泉税が課税される。そこで、A社は、源泉税負担を回避するため、邦銀のシンガポール支店を介在させる取引とすることにより、日本の外国税額控除枠を利用することとした。
 すなわち、 ➀A社は邦銀支店との間で預金契約を締結する、➁邦銀支店はB社との間でローン契約を締結する、➂B社は邦銀支店に対する利子としてクック諸島源泉税を控除した額を支払う、➃邦銀支店はA社に対して預金利子を支払う。なお、シンガポールでは源泉徴収が行われない
 このような取引形態を作出することによって、邦銀は、上記➂の支払利子の源泉徴収税額について、外国税額控除を受けることとなり、この外国税額控除に相当する額の一定割合をA社に対する預金利息に加算する。この取引により、A社は、邦銀を介さなかった場合に比べて、受取金額が増大することとなり、また、邦銀には一定額の収入が生じる。その一方、日本の国庫収入は減少する。
 課税庁は、上記のスキームに沿って外国税額控除が適用されるとした邦銀に対し、その適用を否認して更正をした。本件裁判においては、課税庁は、主位的に、本件は仮装取引であるとして、私法上の法律構成による否認の主張をするとともに、予備的には、法人税法69条の限定解釈によって否認し得ると主張したものである。
                                       


(注1) (外国税額の控除)
第六十九条   内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合には、当該事業年度の所得の金額につき第六十六条第一項から第三項までの規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を限度として、その外国法人税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。




(3)私の見解
結論から言うと、大阪地方裁判所平成13年12月14日判決は、課税庁の主張を排斥したものである。判旨は、上記課税庁の主位的主張につき本件取引を仮装のものとみることはできないとしてこれを否定した上、予備的に主張された法人税法69条の限定解釈の主張についても、「その文言自体から、例えば、真実経済的に外国法人を負担する者による納付に限定することはできず、解釈の幅は極めて狭いといえるし、内国法人が控除限度枠を自らの事実活動上の能力、資源として利用することを一般的に禁ずることはできないといわねばならない。」とし課税庁の主張を排斥したものである。
 しかし、法人税法69条が制定された根底には、あくまでも内国法人の海外における事業活動を阻害しないという政策があるから、およそ正当な事業目的がなく、税額控除の利用のみを目的とする取引により外国法人税を納付することとなるような場合には、納付自体が真正なものであったとしても、法69条が適用されないとの解釈が許容される余地がある。これらの点に鑑みれば、取引各当事者に、税額控除の枠を利用すること以外におよそ事業目的がない場合や、それ以外の事業目的が極めて限局されたものである場合には、「納付することとなる場合」には当たらないが、それ以外の場合には、「納付することとなる場合」に該当するという基準が採用されるべきである、と思う。
 本件判決はこのように解釈した上で、本件事案における内国銀行の取引は、事業目的のない不自然な取引であると断ずることはできないとして、法人税法69条が適用されるとし、更正処分を取り消した。 
外国税額控除を利用するスキームを考案したもので、課税庁側からみれば、日本の国庫の犠牲のもと、邦銀及び外国法人が利得を得たものといえるが、本件も典型的なタックスシェルターの一形式であり、課税庁にとっては、現行法の下においてこのような取引を‘否認’し得るのかが法理論上の大きな課題となっているのも否定できない。
その後の結末は、課税庁は控訴し大阪高裁(平成15..14控訴棄却)でも一審を支持、上告し平成17年末に最高裁(平成17.12.19請求棄却)で結論がだされ、結局国側逆転勝訴で確定したものである




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