税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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「消費税増税法」衆院本会議で可決!(2012.6.26)

今回の改正は、日本の税制が消費税中心に展開することの意味合いである。
世界主要国の消費税率(イギリス17.5%・フランス。19.6%ドイツ17%イタリア19%)となつており、日本では、2015年より、10%となろう。食料品消費税は、イギリス0%・フランス。5.5%ドイツ6%イタリア10%)の軽減税率を採用している。10%までは、単一税率としているが、この先は、軽減税率も視野になろう。


民主、自民、公明が3党合意した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」、いわゆる〝消費税増税法〟が6月26日、衆院本会議で可決された。直間比率の見直しなど、構造的な問題を数多く抱える税制の抜本改革に着手しないままでスタートする消費税の増税は、すべての所得階層にとって税の負担が上乗せされるだけの純粋な〝増税〟にほかならず、高所得者にとっては高い累進税率の所得税に加えての負担が、そして低所得者にとっては「逆進性」による負担が、それぞれ重くのしかかることになる。


歴代の自民党政権ですら
実現できなかった消費増税
政党としての綱領を持たない民主党が政権交代を実現し、政権与党となり得たのは、政策公約ともいえるマニフェストを掲げての総選挙で勝利を収めたからだ。そのマニフェストには「消費税の増税」についての記述はなかったが、それによって政権与党となった民主党が強力に主導するかたちで消費税の増税は実現した。
綱領を持たない政党の唯一の立脚基盤となるはずのマニフェストに書かれてもいないことに、党首・首相が「政治生命をかける」と〝不退転の決意〟で臨み、野党の一部を巻き込んだ「3党合意」という密室談合で消費増税は決まった。
歴代の自民党政権でも実現することのできなかった消費税増税を、〝政権交代〟を実現したはずの民主党政権が、〝野党〟と合意して成し遂げたという現実を目の当たりにして、多くの有権者・納税者は唖然とする思いを抱いたのではないだろうか。

所得・相続増税は一時的な棚上げ
〝トリプル増税〟いよいよ現実に!
消費税増税法は、政府の原案では所得税の最高税率引き上げや相続税の控除額引き下げなどをも盛り込んでいたため、いわゆる〝トリプル増税法案〟となっていたが、「消費増税の実現」を最優先する政府・与党が野党側の主張を丸呑みするかたちで修正に合意した結果、法案は消費税の増税に関する部分だけを抜き出したものとなった。
だが、あくまでも政府原案をベースにした修正案である以上、所得税・相続税の増税に関する部分についても完全に〝廃案〟となったわけではなく、消費税増税の実現のため一時的に棚上げした格好だ。所得・相続増税の審議は、秋の臨時国会や来年の通常国会に先送りされたものの、3党合意でみられたように与野党とも基本方針として〝大増税路線〟であることは明白で、まずは消費税増税が先行するかたちとなった。
 消費税増税法の法案修正協議では、低所得者ほど税負担が重くなる「逆進性」の緩和策として民主党が「給付付き税額控除」を主張。自民、公明両党は食料品など特定品目の税率を低くする「軽減税率」を要求し、結局は両論併記するかたちとなった。税率8%の時点では、低所得者に現金を支給する「簡素な給付措置」を導入する。
 〝トリプル増税〟のうち、消費税増税だけが先行したために、話題は「低所得者対策」に集中しがちだが、これに所得税と相続税の増税が加われば「高所得者」ほど税負担が重くなることが明白だ。可処分所得の大きな高所得者層が消費を牽引しない限り、本格的な日本経済の再浮上も、景気回復による税収のアップも期待できないはずだ。しかし、所得・相続増税は、そもそも経済対策・景気対策とはまったく切り離された別次元のもので、消費税増税と同様、「足りない分は増税で賄う」「税収は増税によってアップさせる」ためだけの増税では、もはや政策とすらいえないのではいだろうか。
政府は高所得者の負担が増す所得・相続増税を指して、いわゆる〝富裕層増税〟などと表現するが、この「富裕層」なる所得階層・財産所有階層は、いったいどの程度の〝お金持ち〟を指しているのだろうか。 
 当初の法案に盛り込まれていた、所得税の最高税率の引き上げは40%から45%にするというもので、この税率の課税対象となる所得階層は「5千万円超」だ。相続税の控除額はは基礎部分が現行の5千万円から「3千万円」に引き下げられる。地価が高い都内にマイホームやちょっとした土地を所有しているひとならば、誰でも相続税の課税対象者になるといえる。
「年収5千万円」や「マイホーム所有者」というだけで〝富裕層増税〟の課税対象者にされてしまっては、〝お金持ちイジメ〟というよりも〝裾野の広い多くの中間所得層・財産所有階層に大きく網をかける総増税〟ではないだろうか。
たしかに、「年収5千万円」という所得階層は、サラリーマンなどの平均年収から比べれば〝お金持ち〟の部類に入るかもしれない。しかし、それはあくまでも「誰と比較するか」によって異なるものであって、「年収10億円超の上場企業経営者」や「株の配当だけで年間5億円超の創業者一族」などという本当のお金持ち、いわゆる〝リアル・リッチ層〟と比べてしまえば、〝富裕層〟のなかにすら所得格差がある。それなのに年収が5千万円でも10億円でも同じ〝富裕層〟とされてしまい、最高税率も同じ45%にされてしまっては、「年収5千万円前後のラインで頑張っている中小企業経営者」といったひとたちを狙い撃ちにしていじめているようなものではないだろうか。
これら〝富裕層増税〟は一時的に棚上げとなったが、平成25年度税制改正にあらためて協議される見通しだ。直間比率の見直しなど、構造的な問題を数多く抱える税制の抜本改革には着手することなく、消費税の増税からスタートする〝トリプル増税〟が、いよいよ現実のものとなりそうだ。


民主党の分裂は必至
解散・総選挙が現実味増す
3党合意による修正法案は当初、6月21日の通常国会会期末までに採決する方針だったが、9月8日までの大幅な会期延長が決まったことで、採決は22日に持ち越された。しかし、民主党内での調整の遅れから22日にも採決はできず、26日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会での締めくくり質疑を経て本会議で可決した。採決では民主党の小沢一郎元代表のグループが反対票を投じるなど、民主党の造反議員は57人(ほかに棄権・欠席16人)の規模となった。小沢氏らによる会派離脱と新党結成の動きが加速したことで、国民新党の議席を含む連立与党は衆院でも過半数を割り込む事態が避けられない状勢となり、民主党の分裂による解散・総選挙が現実味を増してきた。
(納税通信第3230号参照)


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| まとめwoネタ速neo | 2012/07/06 13:56 |

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