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税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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「雑損控除制度」を上手に使おう

 今年は異常気象の現れなのでしょうか? 6月には突風と豪雨、そして大型台風が2つ日本列島を襲いました。被害を受けられた方にはお見舞い申し上げます。
 今回は、被害を受けられた方の救済の一部になると思われる、雑損控除制度について説明致します。
この雑損控除の対象は自然災害、火災、白アリなどの害虫被害、盗難と幅広い特徴があります。
ここでは、再度雑損控除制度に関してまとめてみました。
 雑損控除とは災害又は盗難若しくは横領によって、自己の資産について損害を受けた場合に、一定の条件で所得税・住民税を軽減する事が出来る制度です。東日本大震災では特別措置も設けられました。

1 雑損控除の対象となる資産の要件・・・・所得税法72条
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
(1)資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその親族で、その年の総所得金額が38万円以下の者。
(2)生活に通常必要な住宅・家具・衣類などの資産であること。
ただし、事業用の資産や別荘・書画・骨董・貴金属等で1個又は1組の価格が30万円を超えるものなどは当てはまらない。
ちなみに事業用資産の損失は必要経費として処理をする。(所得税法51条)

2 損害の原因
(1)震災・風水害・冷害・雷害・落雷など自然現象の異変による災害。(被災証明書・被害写真を撮っておくと良い)
(2)火災・火薬類の爆発など人為による異常な災害。
(3)害虫などの生物による異常な災害。
(4)盗難(警察署に届出し盗難証明書の発行)
(5)横領(告発書等の写し)
なお、詐欺や恐喝の場合には雑損控除は受けられないことになっています。
その理由とし考えられるのは、上記1~5に関しては自分のあずかり知らないと
ころで起きているのに対し、詐欺・恐喝は自分自身が相手と関わりを持ってしまい被害者としての落ち度等の立証が難しいからでは無いでしょうか。

3 雑損控除出来る金額
 次の1及び2のうちいずれか多い金額である。

(1)(差引損失額)-(総所得金額)×10%

(2)(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

注1:損失額が多くその年で控除出来なかった場合、翌年以降3年間を限度に繰越控除する事が出来る。また、雑損控除は他の所得控除に先立って控除する事になっている。

注2:差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額-保険金等補填金額
   損害金額とは損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害額をいう。
   災害関連支出とは、災害により滅失した住宅・家財などを取り壊し又は除去に要した金額をいう。

4 雑損控除を受ける手続き
 確定申告の提出が必要となり、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載すると共に、その災害を証する書類を貼付して申告すること。


これからの季節は台風が多く発生する時期でもあります。皆さんご自宅の損害保険の見直しと、災害を受けた場合はその損害額と被害写真を撮っておくよう習慣をつけましょう。
次回は、雑損控除とは別に、所得金額が1000万円以下の人が災害にあった場合の災害減免法による所得税の軽減免除制度について説明します。
納税者の選択により雑損控除制度とどちらか有利な方法を選択できる制度です。

以上




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