税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

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貸倒引当金に係る2011年(平成23年)度税制改正の概要

 平成23年度税制改正のうち法人税関係の改正がようや2011年(平成23年)12月に公布,施行された。今回の改正の中で実務に大きく影響を与える項目として,貸倒引当金制度の大きな見直しがなされている点が挙げられる。その見直しのポイントは,主として貸倒引当金の適用対象が(1)中小企業等(2)金融機関等に限定された点である。また,これに並行して,(3)売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人((1),(2)を除く)について,そのリース資産の対価の額に係る金銭債権のみを対象として貸倒引当金の計上が認められることとなった。
(2貸倒引当金は、中小法人においては、廃止されていない。検討しなければ、ならない事項である。


1 適用対象の整理

平成23年度税制改正後の貸倒引当金の適用対象を整理すると下記のとおりとなる。

(1) 中小企業等(法法52①一)
① 普通法人のうち資本金1億円以下の会社一般にいう中小企業がこれに該当する。
② 公益法人等又は協同組合等信用金庫や信用組合がこれに該当する。
③ 人格のない社団等

(2) 金融機関等(法法52①二)
① 銀行法に規定する銀行いわゆるメガバンクや信託銀行,地方銀行がこれに該当する。
② 保険業法に規定する保険会社生命保険会社,損害保険会社がこれに該当する。
③ ①②に準ずる会社(法令96④)
証券金融会社,銀行・保険持株会社,サービサー等の民間機関の他日本政策投資銀行や企業再生支援機構等の政府系機関がこれに該当する。

(3) 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人(法法52①三,法令96⑤)
リース会社,証券会社,質屋,カード会社,信販会社,消費者金融等がこれに該当する。

 上記をみてわかるとおり,いわゆる中小企業と金融機関が貸倒引当金の適用対象となっている。中小企業に関しては,その規模から過度な税負担は経営に影響を与えかねないという配慮から適用対象とされたものと考えられる。また,金融機関については,貸倒引当金等のクレジットコストが大きなコストであり,貸倒引当金をすべて有税にしてしまうと経営に与えるインパクトが過大となることから,これに配慮する形で適用対象とされたものと考えられる。
 ただし,金融機関といっても上記(3)に定めるリース会社やカード会社等については,改正前の規定と異なり,引当の対象とされる債権は限定されている。リース会社であればリース資産の対価の額に係る金銭債権,質屋であれば質契約に係る金銭債権等,それぞれの事業に係る金銭債権のみが対象となることに留意が必要である。
したがって,例えばリース事業を行う事業者が別の事業を同時に行っているような場合には,そのリースに係る債権については貸倒引当金の対象とできるが,別事業に係る債権については貸倒引当金の設定対象とはできないこととなる。
以上をまとめると図表1のとおりとなる。表を見てわかるとおり,資本金1億円超の大法人に関しては,リース債権等の金銭債権を有しない限り,貸倒引当金の計上醗貸倒引当金改正のインパクトは一切認められないこととなる。改正前のクレジットコストに係る税金計算の考え方とは大きく異なるため注意が必要となる。
この点については後述する。

インパクト図1


2 適用時期及び経過措置

 貸倒引当金に関する改正は,平成24年4月1日以後開始する事業年度より適用されることとなる。これにより,上記1(1×2×3)に該当しない法人に関しては,貸倒引当金の計上が認められなくなるが,その影響を緩和するため,一定の経過措置が設けられている。
平成24年4月1日から平成27年3月31日の間に開始する事業年度を経過期間として,改正前の規定に基づき算定された貸倒引当金の繰入限度額を4分の1ずつ逓減することとされた。したがって,貸倒引当金の適用対象外となる法人の経過期間における貸倒引当金の損金算入限度額は、以下のとおりとなる。

インパクト図2

(引用元:中央経済社発行 税務弘報 5月号 VOL.60 著者 税理士 大村圭一)

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| まとめwoネタ速neo | 2012/06/11 12:39 |

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