税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

<< 2017-08- | ARCHIVE-SELECT | 2017-10- >>

| PAGE-SELECT |

>> EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

>> EDIT

信託について考える

信託とは、を考えてみる!

 税理士新聞第1569号に‘税理士のための信託講座’が載っていた。この機会に‘信託’について考えてみることにします。
平成18年に信託法が全面的に改正された。なぜ今信託が注目をあびているのだろうか。節税の一方法か、財産管理や相続対策か、また信託銀行等が手掛ける信託や商品としての信託の活用のためか、どれも正解でしょう。これだけ多くの信託の利用方があってどれを選択するか、の状況判断が必要です。
 ‘信託は、提案する人の立場によってさまざまです。’と言っていますが、そのとおりだと思います。例えば信託会社が受託者になって、顧客の不動産を預かります。これらは商事信託と言われ、投資信託等も信託を利用した金融商品です。最近では教育資金一括贈与信託など、税制によって商品化された信託もあります。また、自己信託、複層化信託、限定責任信託があります。
 これらのように信託が多様化なのはこれが基本法だからです。財産を特定の人に託して管理を委ねるのが信託です。しかし、信託を文字色委ねるのは財産だけに限りません。役員と株主、税理士と関与先の関係、医師と患者の関係などもそうです。
 信託では法的な形式よりも道徳的側面が重視されるのです。
 制度化された信託については、成年後見制度があります。被後見人の財産は、後見人に託されます。
 冒頭で述べたように平成18年に信託法が全面改正され、家族信託、民事信託が利用されるようになりました。成年後見制度に代わる信託が典型ですが、財産上の問題解決や、絶税手法としての信託、財産管理ツールとしての信託、相続対策や事業承継のための信託が提案され、改正では欧米の考え方を多数取り入れ、多様な信託ができるようになりました。①親族内での財産の売買、②生前贈与、③相続、④事業承継を実行するために従来の手法を信託に置き換えることができます。しかし、実務ではまだあまり使われていません。しかし、1つの知識として加えておき、依頼者から相談があったときに信託が選択肢として出せれば良いと思います。

(1)自己信託
 平成18年12月に成立した信託法第3条第3号に規定する「特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理または処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面または電磁的記録で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載しまたは記録したものによってする方法」により行う信託。

(2)複層化信託
 受益権を複層化する信託。受益権を複層化とは、受益権を元本受益権と収益受益権に分けるスキームを指します。たとえば、不動産の場合、不動産そのもの(=元本受益権)と家賃収入(=収益受益権)などに置き換えることができる。この場合、元本受益権は、子供に設定し、収益受益権は、委託者に設定する。

(3)限定責任信託
 改正信託法(新信託法)で新設されたもので、受託者の責任が信託財産に限定される信託。
これは、受託した財産の範囲内で債務の負担責任を負うもので、具体的には、受託者が信託業務を処理する際に行った不法行為等によって生じた責任については、受託者の固有財産も引当にして責任を負うが、それ以外については、受託した財産のみを引当とすることになる。 
 一般に限定責任信託は、我が国においては、資産の流動化やベンチャー事業での利用が期待されている。また、本信託では、受託者責任が軽減される性質のものであることから、併せて債権者保護のための規定についても整備されている。(受託者がこれに違反すると、原則として給付相当額を補填するなどの責任が課される)。


*債権者保護のための規定例
  ①登記により限定責任であることを明らかにする必要がある。
  ②法務省令で定める方法により、算定される給付可能額を超えて受益者に信託利益の給付を行うことができない。 
  ③通常の場合よりも詳細な計算書類を作成する必要がある。


(参考・引用) 税理士新聞 第1569号
スポンサーサイト

| 財政・税務 | 09:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

申告要件の見直し

2017年税制改正「申告要件の見直し」とは何か?

今回は、2017年(平成29年)の税制改正に盛り込まれた「申告要件の見直し」規定についてです。
まずこの制度のポイントは
・当初申告要件
・適用額の制限   がどのように変わってきたのかということです。

平成23年12月の税制改正前までは、例えば所得拡大促進税制を利用して法人税確定申告で税額控除を受けようとする場合
① 最初の確定申告時に申告していない税額控除などは後から受けることは出来ない。(これを当初申告要件と言います。)
② 例えば、所得拡大促進税制で本来税額控除額は30万まで出来るところ、法人税額上限額10万円しか税額控除が出来なかった。
その後税務調査が入り、法人税が増えた場合修正申告では、当初の確定申告の時に申告控除した金額、すなわち10万円しか控除が受けられません。(これを適用額の制限と言います。)
これは、納税者にとってなかなか納得できない制度でした。

そこで、平成23年12月の税制改正において租税特別措置法(例:研究開発税制など)については、当初申告要件は存続するが、一方で適用額の制限が見直され、控除が受けられる正当額を計算する際の基礎事項が確定申告書に記載された全ての事項から特定の事項に改められ、確定申告書等に特定の事項以外の事項として記載された金額に変動がある場合には修正申告や更正の請求によってその金額を是正し、適用を受ける金額の増加が可能となったのです。
ところが、外国税額控除や研究開発税制等において、控除額を増加させる場合には更正の請求が必要となります。そのため、更正による法人税額の増加に伴って連動して控除上限額が増加しても、税務調査に基づく更正では控除額の増加は認められないことから、調査に基づく更正後に、納税者自らの更正の請求を受けて、再度更正処理を行うという煩雑な手続きが求められていました。
  これも、納税者にとってはなかなか理解できない制度でした。

そこで、平成29年度税制改正では、申告要件が見直され、研究開発税制などのように従前まで当初申告要件が求められていた租税特別措置法について、「納税者が立証すべき事項や当初申告の要否の明確化が図られ、要件を満たす場合には税額控除を変更できる」ことになりました。これにより当初申告要件も撤廃されたことになります。
従って今回の改正では税務署長が増額更正を行う場合において、連動的に控除額を増加させることが出来るようになった。ということです。

具体例としては、例えば法人税額100万出るところ所得拡大促進税制に伴う控除上限額150万あった場合100万円を限度として税額控除しますね。従って法人税納税額は0円。その後所得漏れがあり、追加で法人税額が200万円出た場合、残りの控除額50万を限度として引くことが出来るようになったという事です。

6年かかってやっと「申告要件の見直し」が出来たことになります。税法にはまだまだ納税者にとって不利な規定と言うものも存在します。今後ともそのような情報を提供して行きます。

                            

          参照:国税庁HP
             日本法令  「H29年度税制改正と実務の徹底対策」


| 税制改正 | 10:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

消費税の免税と非課税について

 消費税について2017年8月28日の納税通信の一筆啓上に佐藤善恵税理士の‘消費税には免税や非課税が本当に必要なのか?’という記事が載っていた。
 この2017年2月3日にインバウンド旅行業の消費税の課税標準について最高裁の決定により東京高裁の判決が出た。結論は‘飲食・宿泊・運送等については、国内において消費されるサービス’ということで消費税の課税標準額に算入されるとして認められないものとなった。
 ‘消費税は、一定の取引については非課税とされている。佐藤善恵税理士は次の例をあげて述べているが、住宅の貸付は、賃借人の保護という政策的な配慮から非課税であると説明されている。
 また、輸出免税については、国外で消費されるものに日本の消費税がかかった価格で輸出されると、輸出物品の国際市場における競争力の低下を招くことになるから消費税を免除しているなどと説明されている。この説明はどうかと思う。
 ここではサラリーマンの貸家の例をあげている。内容は次のようなものである。
 ‘A氏が空き家を貸そうかと考える。その用途は制限していない。消費税を含めて、とにかく年間270万円の賃料収入を確保できればいいと思って借主を募集する。すると、事務所として使いたいというBさんと、住むために借りたいというCさんが同時にあらわれた。BもCも少々高くてもこの物件をどうしても借りたいと考えている状況ならば、A氏はどうするか。賃料を滞納せず払ってくれるか、近所に迷惑をかけるような人ではないだろうか’ということがA氏の一番の関心事である‘と。BもCもその点に差がなければ、どちらが借りてくれてもいいのである。
 このような状況下では、「年間賃料の本体価格は250万円で消費税が20万円」などとは考えない。また‘この場合単に需要と供給の問題で賃料は決まる’とも。
 A氏がB氏に貸すときは消費税抜きの賃料を270万円にして契約するだけである。仮にA氏が消費税の課税事業者であれば、自らの消費税の税効果を考慮して事務所用に貸すのか、居住用に貸すのかで賃料に差を設けるかもしれないが、居住用であることを理由に消費税を除くことはしないだろう。
 消費税が課税されたとしても、貸主の価格設定は影響を受けず、住宅の貸付を非課税としても借主の負担は変わらない。
では輸出免税はどうでしょうか。輸出企業は、海外の消費者に日本の消費税を課すことができない一方で、国内の生産活動に伴い仕入先等に支払った消費税を輸出価格に転嫁できない。したがって、輸出業者は国内で支払った消費税の還付を受けて当たりまえだという理屈による輸出免税である。
 輸出大企業は、消費税還付で優遇されているといった声も聞くが、制度として存在する以上‘優遇’というのにはあたらないが、輸出免税制度の存在理由が不明確なのである。
 インバウンド旅行業についても海外企業との取引で消費税は転嫁できない。冒頭のような結論で消費税が転嫁できないのに課税として扱え、というのはインバウンド旅行業の実態を無視したものである。
 いずれにせよ、消費税法は複雑化する一方であり、コストは増加する。本当に非課税、輸出免税の両制度の存在意義を明確にして本当に必要なのか、正しい課税方法は何なのか、という議論が必要なのはもっともである。

参考文献:2017年(平成29年)8月28日 納税通信 第3487号

| 消費税法 | 09:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。