税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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争点整理表を使った主張整理のポイントと審査請求の基本

 『争点整理表を使った主張整理のポイントと審査請求の基本』についてまとめてみたいと思います。

① 調査の意義
「調査」とは、国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等または税額等を認定する目的、その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為をいう。(国通7-2)、(通達1-1)

② 争点整理表通達の趣旨
経済社会の高度化・複雑化や訴訟型社会のさらなる進展及び国税通則法の改正に伴う税務調査手続きの法定化や理由附記の実施等を踏まえ、調査事案に係る処分と等について、十分な証拠の収集等に基づく事実認定と法令の適用の更なる的確化を図ることにより、その適法性・妥当性をより一層高めていくため、争点整理表の作成及び調査審理に関する関係部署の協議・上申等に係る事務処理手続きについて整備するものである。

③ 争点とは
 争点整理表における‘争点’とは、調査において当局と納税者との間で見解の相違等が存する事項や一定の‘争点整理表作成事案の基準’に掲げる各処分に係る主な非違事項をいう。

④ 争点整理表通達の基本的考え方
A. 調査においては、非違事項に係る必要な証拠の十分な収集・保全及び事実関係に即した事実認定及びこれに基づく法令の適用を的確に行うことが重要である。
B. 特に争訟が見込まれる治安については、争訟に至ったとしても、処分の適法性が維持されるよう、原処分の段階から、争訟をも見据えた十分な法令面の検討、争訟の維持に向けた十分な証拠の収集等に取り組む必要がある。

⑤ 争点整理表の記載項目
 ・争点の概要
 ・争点に係る法律上の課税要件
 ・調査担当者の事実認定(または法令解釈)
 ・納税者側の主張
 ・双方の主張等の根拠となる事実、証拠書類等
 ・審理担当者の意見

*通達の様式は標準形式あり、各事務系統において、目的、性質を変えない範囲で内容を変更することは可能である。

⑥ 争点整理表作成の具体的作業
1. 法令解釈
2. 事実認定
3. 課税要件を満たしているか否かの判断
を行う。→‘法的三段論法’と呼ばれるもの

⑦ 国税職員の職場研修資料より
 証拠について。
1. 証拠資料とは→一般的には、裁判官や審判官に要件事実の存否について、確信を得させる資料
2. いかなる事実を認定しうるかは、証拠資料次第
3. 内部資料や単なる情報は証拠資料ではない
4. 課税庁が納税者に不利益な処分を行うには証拠資料を持っていることが大前提
5. 訴訟上の証拠資料としてもらうべく裁判所または審判所に文書を提出するので、訴訟見込み事案では、原処分時から証拠
資料 を、文書の形で収集・保全しておく必要がある。

⑧ 証拠収集の実質的ポイント
1. 積極証拠+消極証拠の収集。
2. 評価ではなく、事実認定に結びつく具体的事実関係を記載する。
3. 調査報告書作成の時機を失しない。
  


(参考・参照) JPM㈱ 講義資料 講師:佐藤 善恵(税理士)
        国税通則法
     
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| 国税通則法 | 16:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「質問応答記録書」から考える納税者の権利

「質問応答記録書」から考える納税者の権利
今回は、提携しているNP通信社からの情報を掲載いたします。

最近、一般の税務調査、つまり「任意調査」で調査担当官が納税者から聴き取った内容だとして書面にしたものに納税者の署名・押印を求める事例が目立つようになっている。税理士から戸惑いの声も少なくない。税務調査で何が起きているのか。納税者はいかに対応すべきなのか。そして税理士にどのように相談し、共に対処すべきなのだろうか。確申期のまっただ中のいま、考えてみたい。

◆多様な調査方法?

税務調査手続を法制化した改正国税通則法施行から3年が経過した。税務調査は事前通知が原則となり、そして調査終了の際の手続きも明確にすることになった。結果、当然ではあるが調査件数は減少している。そうした状況に危機感を抱いたのか、国税庁は実地調査以外の「多様な手法」を繰り出して、納税者接触を強めようとしているようだ。それが「ハイブリッド調査」と呼ばれるものである。これは、質問検査権の行使である実地調査と税務署に呼び出しての机上調査、加えて、調査ではないが行政指導として納税者に対応を求める「お尋ね」文書の乱発である。強制力のある方法と強制力のない方法を意図的に混在させて実施されることから、いわば悪質な行政手法の定着化の試みといえよう。これでは、国税通則法改正が目指した調査手続の透明性および納税者の予見可能性を高めるという目的が否定されかねない。
そして、さらに重大な問題も起きている。「質問応答記録書」という聞きなれない書面を調査担当官が作成し、これに納税者の署名・押印を求めるという事例が増加しているのである。以前の調査では「申述書」や「確認書」という書面を提出させるという例が散見されていた。これらはいわば〝反省文〞だが、これらは重加算税賦課の根拠とされ、その文末には決まって「寛大なる措置をお願いしたい」などと書かせていた。こうしたことから、納税者に対する強制性が問題視されたが、同時に課税庁内部では争訟における証拠能力に疑問が出されていた。
これを補強するため、調査担当官と納税者の問答形式で作成して証拠能力の強化を図ろうとして登場したのが「聴取書」だ。犯罪捜査の際に検察官が作成する「供述調書」と同様の形式を採用したため、その違法性が問題視されたものである。

◆開示された墨塗り文書

課税当局は、「聴取書」を作成する目的を「課税要件事実の立証手段の一つを確保しておくということに尽きます」としていた。以下、東京国税局訟務官室が平成18年12月に作成した「聴取書作成のポイント」から見てみたい。
まずは「自ら作成した聴取書がどのように活用されるのかを理解していないと、将来の課税争訟の証拠となる有効な聴取書を作成できないといった可能性も生じます」とし、「裁判所に証拠としての提出」することを前提としている。この聴取書は、課税処分の適法性を立証する証拠として「裁判官の判断の材料とされます」と説明する。ただし、それだけではこの文書の形式的証拠能力が認められても、その内容が「真正なもの」になるわけではないので、書き方が重要だと指摘する。
まず形式として、作成者、作成場所・日時、被聴取者の署名・押印、聴取書に添付する書類をあげ、次いで記録すべき内容として、立証すべき事項(作成目的)の明確化、事前準備の重要性、真実性の確保、具体性の確保をあげている。
残念ながら、税理士会が開示請求したこの文書のほとんどが墨塗りの不開示とされているので、よほど納税者側に知られたくないことが書かれているようではある。

◆納税者の「任意」は本物か

しかし、これらの部分だけでも理解できることは多い。この聴取書は、納税者とのやり取りを記録した税務署の単なる内部資料ではない。作成者は調査担当官であり、発言者(聴取された側)の署名・押印が求められるというのであるから、納税者に自発的作成の要素はない。「言質を取られる」のである。「私はこれこれしかじかの理由で脱税をしました。その方法は云々」というわけである。
この聴取書を作成する場合は、もともとは重加算税を賦課する要件となる証拠、つまり仮名預金や二重帳簿作成というような「隠ぺい又は仮装」の具体的証拠がないときに威力を発揮するとされたものだ。このような、検察官が作成する「自白調書」まがいの書面が納税者の自発的協力をもとに作成されるかという疑問がそもそも指摘されていた。一般の税務調査は任意調査であって、強制調査ではないから、納税者の任意の協力が大前提である。国税通則法改正によって調査手続の明確化が行われたのは、調査という特別なシーンにおいて、いかに課税庁と納税者との「対等性」を確保するかという難しいテーマを実現すべく生まれたものであった。こうした環境の変化を国税庁はどのように理解したのであろうか。

◆「記録書」の仕組み

そこで、現れたのが「質問応答記録書」である。国税庁課税総括課が平成25年6月に作成した「質問応答記録書作成の手引」に基づいてその問題点を指摘しておきたい(これも墨塗りが多い)。
まず、作成に当たっては事前準備を求める。「①何を目的として、②誰に対して、③何を聞くのかを整理し、④提示できる資料は何かなどの事前準備をしたうえで、回答者に質問をする」とし、作成の際には納税者に対して「作成の趣旨や作成手順を説明する」としている。作成は納税者の面前で行うとは限らず、「別の機会に回答者に読み上げ・提示・署名押印の手続を行っても差し支えない」とする。
税務署サイドは2人で、「質問者」と「記録者」を分担。回答者の署名押印は、「本文最終行の次の行に、『回答者』と表記した右横のスペースに求める」と場所を指定。そして、各ページや添付資料の「右下隅に押印を求める」と確認印も押印させる。そして、「調査時に写しを交付してはならない。回答者から、これらを要求されても応じられない旨を説明する」とコピー交付を禁止している。納税者が冷静にその内容を判断する余裕を与えず、また後日訂正を求められないようそのコピーも禁止しているのである。これを作成され、署名押印させられた納税者は、身ぐるみはがされた思いをすることになろう。これが、全国統一的に実施されるのである。ここには、納税者の権利保障の観点は認めがたい。

◆実際の事例にみる質問応答記録書

熊本国税局管内のT税務署の例である。昨年9月末に無予告調査で4名の税務職員が納税者宅に臨場。納税者本人が不在であったため、隣人に身分証明書を提示して連絡先を聞き出し、本人の承諾なしで従業員が保管していた書類を持ち帰った。翌日には、その従業員から「質問応答記録書」を徴し、それを前提に納税者本人から二度にわたって「質問応答記録書」に署名捺印させた。これを根拠に、7年遡及、全期間重加算税の賦課として、この納税者は修正申告を迫られている。調査終了手続は取られていないにもかかわらず、修正申告の勧奨が行われ、昨年暮れには「今修正に応じれば税額で200万円減らせる」という誘導までされている。
この納税者は、調査は初めての経験。慌てて勉強して調査手続きの法制化のことを理解。税務署に対して法令順守していないことを指摘して、通常の調査を行うよう求めているが、税務署は聞く耳を持たず7年遡及・重加算税賦課の姿勢を変えていない。無予告調査の適法性についても疑問視した納税者は、個人情報保護法による開示請求で税務署内部の「事前通知を要しない調査の適否検討表」を入手。しかし真っ黒に塗りつぶされていて、なぜ無予告調査を行ったのか不明のままである。
このように法定手続の無視とあわせて「質問応答記録書」は使われる。更正の期間が制限される3月15日を控えて、本当に処分がなされるのか納税者は眠れない日々を過ごしている。

◆対応は税理士と二人三脚で

このような文書を任意調査で作成することを法は予定していない。事実上の供述調書(自白調書)の作成というこの調査手法は、適正手続を欠落しており、国税通則法改正の趣旨を否定するものである。まして、脱税の証拠がない状態であるにもかかわらず、証拠を「偽造」するような手法は「冤罪」を作り出す手法に等しい。
こうした文書が作成されるシーンを想像するに、納税者は相当追いつめられた心境に陥っていよう。その場に税務代理人(税理士や弁護士)が寄り添って、断固とした適切な対応が求められるのは言うまでもない。


  参考文献: 納税通信3413号(2016年3月14日付)岡田俊明著 NP通信社発行

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