税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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中間申告と予定納税の違い

中間申告と予定申告の違い

今回は中間申告と予定申告の違いについて解説します。
各税目により違いがありますので個別に説明していきたいと思います。

Ⅰ まず法人税です。
法人税法第71条では、事業年度が6ヶ月を超える普通法人は、原則として、事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヶ月以内に、中間申告を提出しなければならないと規定しています。ただし確定法人税額が20万円以下の場合中間申告の提出は必要ないとしています。
そして、中間申告には以下の2つの方法がありいずれかを選択できます。
①  予定申告(いわゆる前年度税額の半額を申告)として申告する。
② 事業年度開始の日以後6ヶ月の期間を1事業年度とみなして、仮決算を行い提出期限までに中間申告する。
ただし仮決算による中間申告を行う場合、以下の場合は中間申告できないので注意が必要です。
前年度実績に基づく予定申告による納税額が10万円以下である場合又は全事業年度の法人税が無い場合及び仮決算による中間納税額が前年度実績に基づく予定申告による中間税額を超える場合には、仮決算による中間申告はできないとされている。
この理由は、以前、確定申告による中間納税額の還付金に付される還付加算金を利殖目的に利用する者が増えたため、その防止策として出来たものです。
なお、この規定は平成23年4月1日以後開始する事業年度より適用になっています

Ⅱ つづいて消費税です。
消費税も法人税同様2つの方法があり、いずれかを選択できます。いずれの場合も中間申告と言い、予定申告とは言いません。

①  直前の課税期間の確定消費税の税額による中間申告。
消費税額  48万円以下・・・・・・・・・・・中間申告不要
        48万超~400万円以下・・・・・年1回(6/12月)
        400万超~4800万円以下・・・年3回(3/12月)
        4800万円超・・・・・・・・・ 年11回(1/12月)

②  仮決算に基づく中間申告
 法人税と違い、上記計算で出された金額と、仮決算で計算された金額が多くても少なくても申告が提出出来ます。
なお、この場合、計算した金額がマイナスになっても中間申告では消費税還付は受けられないので注意が必要です。還付申告が出来るのは確定申告である。

Ⅲ 最後に所得税です。

所得税では予定納税制度を採用しています。
この予定納税をしなければならない人は、前年分の課税総所得金額を基に予定納税基準額を算出しこれが15万円以上となる人です。予定納税はこの金額の3分の1に相当する金額を1期(7月31日まで納税)2期(11月30日まで納税)と納税します。なお、この金額は税務署から事前に通知されます。
そして、予定納税の義務のある人はその年の申告納税見積額が予定納税基準額に満たないと見込まれる場合は「予定納税の減額申請」の承認申請を受けることにより納税が減額されます。従って納税額を前年度よりも多く払うという事は出来ません。
ちなみに、この減額申請の期日は7月15日と11月15日の2回です。

以上、各税目により中間申告・予定申告に違いがありますので注意して申告をして下さい。

                               以  上

        参考資料:図解「法人税」・「消費税」・「所得税」 大蔵財務協会



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| 法人税の税務 | 10:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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知って得する租税条約の基礎知識について

 知って得する‘租税条約の基礎知識’について!

(1)国際税務知識の普及度について
 国際税務の領域である租税条約や外国税額控除、タックス・ヘイブン対策税制、移転価格税制、富裕層の税務についてなど様々なものがある。
 実際、‘国際化’といわれていても、国際税務に関する関心度は低いように思う。実務にどれだけ関係するか、であるが、今後は、知識の普及のためにいろいろな方法で行うことが必要だと考える。
 税金の専門家の多くは国内法に精通していても、国際税務の異分野である租税条約には理解が不十分な人が多いと思う。

(2)最低限抑えるべき租税条約とは

 ①なぜ租税条約は必要なのか
 租税条約は、日本と外国との間における租税の取り決めであって、国会で立法される法律ではなく国家間で締結される条約なのである。
 その目的は、国際的二重課税の排除と脱税の防止である。
 個人居住者あるいは内国法人の場合を考えてみる。これらの日本の居住者が、外国企業などに貸付を行い、利子所得を得たとする。この利子所得についてはその源泉となった国(源泉地国)におけるその国の国内法の源泉徴収税率による課税が行われる。租税条約が締結されていると、租税条約が利子所得に対する限度税率を0%あるいは10%と定めている場合、この限度税率が実際に適用になる。これ以外にも‘配当所得’や‘使用料所得’などには租税条約による課税の減免がある。
 また租税条約は国内法に優先されるため、投資先の国の国内法が税率を引き上げられたとしてもその影響はなく、租税条約に定められた税率の適用となる。結果、租税条約により、投資先の国における課税の減免と法的安全性の双方が得られる。
 
 ②租税条約の条文は税法六法には記載がない。
 条文に関して唯一手に入れられるのは、‘租税条約関係法規集’(清文社)である。国別解説書としては、‘コンパクト解説・日本とアジア・大洋州・米州・旧ソ連諸国との租税条約’や‘コンパクト解説・日本とヨーロッパ・中東・アフリカ諸国との租税条約’(財経詳報社)があげられる。

③日本が締結している租税条約の現状
 2015年末現在で、一般に租税条約といわれるものは66、相続税・贈与税租税条約が1、情報交換協定が10、税務執行共助条約締結国が16ある。特にアジア諸国とは、14の租税条約を締結し、情報交換協定(マカオ)、さらに2015年末に署名された‘日本・台湾民間租税取り決め’があり、この日台民間取り決めにより、2016年度の税制改正により国内法が改正された。
 
(3)恒久的施設(PE)という用語について
 非居住者および外国法人に対する課税では、‘国内源泉所得’だけが課税対象とされ、同じ‘国内源泉所得’であっても、その支払を受ける非居住者が日本国内に‘恒久的施設’を有しているか、さらに‘恒久的施設’を有する場合には、どの‘恒久的施設’の区分かによって、課税関係が異なってくる。
 ‘恒久的施設’を有する非居住者は、総合課税とされるが、‘恒久的施設’を持たない非居住者の場合には、課税しないこととなっている。

(4)PEなければ課税なし、という格言
 租税条約が締結されていることを前提にして、非居住者が、国内において事業所得を得ている場合、支店等の恒久的施設(PE)がないところの非居住者に対する課税はできないことになる。これを‘PEなければ課税なし’という。しかしこれは事業所得に対しるもので、投資所得を得ている場合は、源泉徴収による課税となるから、‘PEなくても課税あり’ということになる。

(5)忘れてはいけない手続きとは
 租税条約により課税の減免を受ける場合、その課税減免との届出をする書類の提出が必要となる(租税条約関する届出書)。この手続を忘れると、外国では課税の減免が認められない場合も生じるし、日本においても、書類の有効期限等に注意を払わないと、書類の有効期限が切れているという事態も生じるのである。
 手続規定は要注意である!




(参考:税理士新聞 第1532号、租税条約関係法規集、図解国際税務)

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