税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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加入義務違反について本格調査

厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査について

 2016(平成28)年4月にはいってから厚生年金保険・健康保険(以下「厚生年金保険等」)への未加入の事業者に対して「厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査票」が届きはじめました。また、加入状況に関して事業所に調査に来たという話も聞きました。法人事業者及び一定の要件を満たす個人事業者には厚生年金保険等への加入が法律で義務付けられています。

1.加入義務のある事業所
 厚生年金保険法6条に強制適用の事業所が定められており、日本年金機構のパンフレットでは次のようなチェックシートの載せています。

あなたの事業所は法人登記をしていますか ⇒ YES 加入義務があります
      ⇓ NO
個人事業所であるあなたの業種は次の業種は、
 農林水産業・サービス業・宗教等ですか⇒ YES 加入義務がありません
     ⇓ NO
常時使用している従業員が5人以上ですか ⇒ YES 加入義務があります
      ⇓ NO
加入義務はありません

 つまり、全ての法人事業所及び厚生年金保険法に定められた16業種で常時5人以上の従業員がいる個人事業所(農林水産業、サービス業、宗教等の非強制適用業種以外の事業所)は加入義務があるのです。

2.厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査の背景
 2015(平成27)年12月に公表された国民年金被保険者実態調査において、勤務先の事業所が厚生年金の保険料を不正に逃れ、従業員約200万人が厚生年金に加入できず国民年金のままになっているという厚生年金加入漏れの実態が明らかになっています。
 そのため、塩崎恭久厚生労働大臣は本年1月13日の衆院予算委員会で、日本年金機構を通じて実態調査に乗り出す意向を表明しました。厚生年金適用を逃れている可能性がある全国焼く79万ヶ所の事業所全てに調査票を送付するとともに、年金機構職員による事業所への調査を行う方針も示されました。

3.厚生年金逃れに刑事告発も視野
 厚生年金保険法では第102条から105条に罰則が定められています。その中で加入義務のある事業所が加入を怠った場合には「6月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とされています。
 本年1月19日の記者会見において塩崎恭久厚生労働大臣は、保険料を負担する能力があるにもかかわらず納付しない悪質な事業所に対し、刑事告発を検討する考えを表明し、日本年金機構による悪質事業所への立ち入り検査を強化する方針を合わせて示しました。

4.強制加入で全て問題解決?
 厚生年金への加入は基礎年金のみに比べて、①将来自分が受け取れる給付額が増加します、②障害が生じた場合の給付額が増加したり補償対象が広がります、③亡くなった場合の遺族への給付額が増加したり、受け取れる遺族の範囲が広がるなどのメリットがあります。
 ただし、保険料は高くなりますし、事業所が半分負担するため加入を拒む事業所が出てくるのです。厚生年金への加入を望みながらも事業所が未加入のため国民年金に加入せざるを得ないということはよく耳にします。
 一方で加入を希望しないという声も耳にします。夫が厚生年金に加入している場合にはその妻は年収が130万円以下であれば第3号被保険者に該当するため、あえて自分は被保険者になりたくないというケースです。

 消費税増税が再延期となったため、増税分が充てられるはずだった社会保障費は大幅に削減されてしまいました。今回の未加入事業者への調査と悪質な事業所への罰則適用もそのようなことも要因のひとつなのでしょうか。


 参考資料  日本年金機構ホームページ
        厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査票
        厚生年金保険法
        産経ニュース 2016.1.14 07:36
       産経ニュース 2016.1.20 09:11





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| 保険税務 | 18:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国税への不服申し立ての見直し

新しい不服申立制度(2016.4.1以降)!

 2016年4月1日から国税当局の処分に不服があるときに行う審査請求の手続きの仕組みが変わった。
今までは、当局に意義申し立てをしたあとでなければ国税不服審判所に審査請求できませんでした。この現行法が見直され、直接の審査請求が可能になった。
 また、不服を訴える期間が延長された。つまり、納税者に有利になったのである。
 いざというときこの制度を改めて知っておいてほしい。
 行政処分への不服申し立ては、‘行政不服審査法’に基づいて行うが、国税についての不服申し立ては、‘国税通則法’の規定に基づいて行われる。
 この2つの法律の共通点は、平成26年に不服審査法の改正が決まった際、関係法令である通則法も見直されたこと。この制度は、4月以降の処分を対象に適用。

(1)審査請求手続きの選択 国税当局に再度の審査を求めずに直接審査請求できるという選択肢が選べる。
 これまでは、国税局や税務署にまず異議を申立てた後でないと、原則として国税不服審判所に審査請求をすることができなかった。しかし、今後は、最初から国税不服審判所長への‘直接審査請求’をすることが可能になった。
 事実認定だけではなく、法解釈について争うような事案では、訴訟を前提に不服申し立てをすることが多いが、訴訟は審査請求を経た後でなければ提起できない仕組みだった。
 異議申し立てで国税処分が覆る可能性は低く、一般的にその処分に約3ヶ月かかり、‘訴訟ありき’で不服申し立てる人にとって、国税当局への異議申し立て(再調査請求)➙不服審判所への審査請求➙訴訟(裁判)といった手続きを踏むのではなく、最初の時点で直接‘審査請求’することで一段階分ショートカットできることは、大きなメリットといえる。

(2)期間の見直し この改正では、期間も見直された。
➀税務署への異議申し立て➝‘処分があったことを知った日’の翌日から2ヶ月以内から3ヶ月以内に
➁なお、国税不服審判所の裁決から訴訟の手続きまでは、6ヶ月以内と変わらず。

(3)証拠書類の閲覧範囲拡大とコピーの受取制度  これまでは、国税当局が任意に選んで提出した書類しか納税者は閲覧できなかったが、これからは審判所の担当審判官が要請して国税当局に提出させた書類も閲覧できる。
 また、今までは閲覧した資料の写しの交付請求はできず、納税者や代理人は審判所に出向いて証拠の記載内容を書き写すといった非効率な作業を強いられ、関係者数人で出向いて1日掛かりで作業を行うこともあった。これからはコピーの交付を受けられる。
 最終的に訴訟となったときには証拠が重要な役割を果たすのはいうまでもない。
 この改正で納税者に少しでも有利になるように心がけていきたいものです。

(参考:納税通信 第3426号、26年度税制改正案、27年度改正国税通則法)


 

| 国税通則法 | 10:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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フィンテックと会計

フィンテック(Fin Tech)と会計

 フィンテック(Fin Tech)という言葉を最近よく耳にすると思います。
フィンテックとは、Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)の造語だそうです。すなわち金融とITが融合することでこれまでにない価値を提供しよういう意味だそうです。しかしそれが我々の社会や生活に及ぼす影響が一体どれほどあるのだろうか?
世界経済の歴史は4つの経済革命を経て来ているといわれる。
1 18世紀の農業革命 2 19世紀の産業革命 3 20世紀後半のIT革命
4 そして現在、21世紀はAI(人工知能)を活用した金融革命であるといわれる。

フィンテックが分かりづらいのは、現時点で自分にどのように関係してくるかまだ不明だからです。そこで今回は会計分野に的を絞って見ていきたい。

フィンテックの特徴の一つにクラウド会計がある。これは、銀行口座経由の各種支払情報を自動仕訳する機能だ。会社の預金口座は毎月定期的に引き落とされている物が多いものだ。例えば水道光熱費・通信費などの各種公共料金や家賃、給与、売掛金・買掛金業者への支払いなどだ。
このような、会計仕訳の約4割を占めるといわれる預金口座取引の帳簿をつける作業が軽減されるならば導入メリットは大きいものといえるだろう。
このクラウド会計に関しては、昨今、市販の会計ソフト会社も各金融機関と提携し導入を始めています。
私共も利用している㈱TKCでも、2016年6月1日よりFin Techサービスを全国の金融機関と提携し企業及び会計事務所に導入サービスを展開し始めている。従って、時代の流れに乗り遅れないためにも一日も早く研究推進していく必要性を感じている。
なぜならば、一見メリットばかり目にしてしまいがちだが、その一方で企業の会計部門あるいは、帳簿記帳業務を受託している会社や会計事務所などの仕事を奪うことにもつながるからである。そのためにもFin Techを研究し、他の会計事務所と差別化して行かなくてはならないからである。

金融庁は2015年9月18日に「金融行政方針」を発表し、各金融機関に対しFin Techへの早急な対応を迫り、日本が将来の金融ビジネスにおける優位性を確保するための整備づくりを推進している。生き残りに必死となっている金融機関はFin Tech関連企業との提携関係を進めており、その中でまず、クラウド会計を担ぎ始めているという現実がある。
 税理士新聞2016年5月15日号の新聞記事によると、2015年フィンテックの市場規模は日本国内では34億円であり、米国ではすでに1兆円産業まで拡大しているという。今後日本でも2020年には568億円規模に達するとの見方も出ているが、金融庁の号令のもと金融機関の活用促進の動きに我々も目が離せないだろう。


                    参照   税理士新聞5月15日号
                         TKC会報2016年3月号




| 会計 | 14:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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暦年贈与利用は計画的に

暦年贈与 利用は計画的に

  今回はエヌピー通信社さんより2016年6月20日号「納税通信」の中から、暦年贈与の情報を頂きましたので、ご紹介いたします。
年間110万円までの贈与は課税対象にならない。しかし、一定期間、定期的に継続してお金を受け取る「定期金給付契約」に同意して贈与すると、贈与税はどうなるのだろうか。例えば贈与初年度に「毎年110万円ずつ10年間移転させる」と同意して贈与すると、定期金給付契約に関する権利についての贈与契約が生じたと国税当局にみなされ、無税で財産を引き渡すことができなく なるおそれがある。三井住友信託銀行が自行の提供するサービスの利用者が思わぬ贈与税が課税されることがないか国税当局に確認したところ、「サービス を利用した贈与は、定期金給付契約の権利の贈与に該当するものではない」との回答をこのほど得た。財産を渡す人と受ける人との間で毎年贈与に関して合意し、贈与契約書を作成することがポイントであるようだ。


三井住友信託銀行は、普通預金口座開設者向けの暦年贈与サポートサー ビスの課税関係について国税当局に回答を求めた。提供するサービス内容は、財産を渡す人と受け取る人との間の贈与の意思を毎年確認し、合意が得られたときに贈与契約書を作成、預金振替による財産移転をサポートするもの。サービス利用者に贈与税の課税問題が生じる可能性があったため、国税当局の見解を求めていた。
年間110万円までは、財産を他者に移転させても贈与税が掛からない。受け取る人との間で毎年合意があれば、結果的に数千万円単位の資産を無税で受け渡すことができ、相続財産を大きく減らして相続税額を抑えることにつながる。しかし、贈与初年度に「毎年110 万円ずつ、10年間贈与する」との合意で贈与を開始した場合、定期的に110万円、合計で1100万円を受ける権利(定期金給付契約に関する権利)に関する贈与契約が生じてしまい、贈与税の課税対象になる。
三井住友信託銀行は、利用者がサービスを申し込んだ時点で贈与契約が成立したと国税当局にみなされ、複数年分の贈与に贈与税がかけられるおそれを懸念し、国税当局に事前確認をしていた。
これに対して国税当局は、定期金給付契約に関する権利がサービスの利用開始時に発生することはないと回答。毎年の贈与契約によって課税関係が生じるとした。金融機関の暦年贈与サポートサービスを使って毎年110万円を贈与した場合に贈与税がかからないことに、国税当局が〝お墨付き〞を与えたことになる。贈与のたびに双方が合意し、贈与契約書をきちんと作成することがポ イントといえそうだ。
生前贈与で資産を移転し、相続財産の圧縮を図るケースは増えている。
平成25年度税制改正大綱で相続税と贈与税の増税が決定して以降、資産を生前贈与する動きが活発化した。国税庁が今年6月1日に公表した資料によると、平成27年分の贈与税申告をした人は53万9千人。申告納税額は増税決定前の24 年は1311億円だったが、25年は1718億円、増税前の26年は2803億円に急増。27年は前年の大幅増の反動減で2402億円と前年比14・3%のマイナスになったものの、相続増税前と比べると生前贈与で多額の財産が移転している。
贈与税には暦年課税制度と、2500万円まで無税で生前贈与でき、相続時にその贈与財産も含めて相続税を計算する相続時精算課税制度があるが、それぞれの適用件数は圧倒的に暦年課税制度が多い。暦年贈与の適用者は48万9千人、申告納税額は2161億円、一方の相続時精算課税制度の適用者は4万9千人、申告納税額は241億円となっている。
110万円までの財産を無税で受け渡せる暦年贈与だが、財産が多いときは非課税の枠を超えて贈与したほうが効果的なことがある。東京・荒川区の大久保俊治税理士は、毎年110万円の贈与だけではなく、「310万円贈与」の検討も勧めている。基礎控除110万円を超える部分(200万円)には贈与税が課税されるが、200万円までは適用税率が最も低い10%で済むためだ。
「310万円贈与を10年続けると、3100万円を現金で次世代に移転できて、税金は200万円。小規模宅地の特例などほかの減税制度と比べても効果が高くなることがある」
現金化しづらい不動産と比べて、安定した納税資金確保策にもなる。110万円の暦年贈与では相続税の節税効果が不十分という人は、贈与額に応じて8段階に分かれている適用税率を確認し、最も低い10%税率の範囲に収まる310万円贈与などの方法で、贈与税を納めてでも財産移転することを検討したい。
三井住友信託銀行が国税当局に回答を求めたのは、前述のように、暦年贈与を数年間続けると税務署から思わぬ課税をされてしまうおそれがあるからだ。税務署からあらぬ疑いをかけられぬよう、暦年贈与の際は財産を渡す人と受け取る人の双方が銀行口座を開設し、毎年新たに贈与契約書を作成して、資産移転の証拠を確実に残す必要がある。贈与の指南書には、111万円を贈与し、非課税枠を超える1万円に対する税金を毎年納めることで贈与の証拠とする方法が紹介されているが、贈与契約書などで事実を明らかにしていればそのよ うな〝変則技〞を使う必要はないだろう。
金融機関のサービスを使った暦年贈与に国税当局がお墨付きを与えたことを機に、生前贈与について改めて確認し、家族の財産を不要に減らすことのないようにしたい。

| 相続税及び贈与税 | 18:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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