税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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2016年税制大綱を見る

2016年税制改正大綱を見る

今回は、2016年度税制改正のポイントとして欠損金繰越控除の縮減を取り上げてみる。
(第3回) 分割された欠損金繰越控除の縮減!

稼ぐ力のある黒字企業を優遇する法人減税と引き換えに、前年度に引き続いて2016年度税制改正でも多くの代替財源メニューが並ぶこととなった。2年間で2・5倍の増税となる外形標準課税は最たるものだが、それ以外にも多くの税目で税収を増やすための見直しが行われている。その負担を強いられるのは、いまだ厳しい経営環境に置かれる赤字企業(大半は中小企業)に他ならない。
2016年度改正で、過去に出した赤字を翌年以降度以降に繰り越して毎年の黒字の相殺を認める「欠損金繰越控除制度」の縮スケジュールが見直された。同制度は、法人減税初年度となる前年度に、すでに縮減が決定していたものである。
2015年度改正では、それまで繰越控除をする事業年度の所得金額の80%までを上限として控除していたものを、2015年4月から2017年3月末までに開始する事業年度では65%に、2年後の2017年4月以降に開始する事業年度では50%まで控除の上限割合を引き下げることを決定していた。法人減税に合わせて、徐々に繰越額の枠を狭めていく狙いだったのである。しかし安倍政権は法人減税を予定より前倒して2016年度での20%台実現へと踏み込んだ。それに合わせて欠損金繰越控除の縮減も、財源確保に重点が置かれることとなった。
新たな縮減スケジュールは、これまで2年ごと2回に分けて上限割合を50%まで引き下げるところを、1年ごと4回に分けて引き下げるというものです。最終的な繰越控除割合の上限が50%になることに変わりはないが、今年4月から60%に、来年4月に55%に、そして2018年4月には50%へと小刻みに引き下げることが決まった。
2015年度改正前のスケジュールと比べると、2016年度については上限がさらに縮減され、2017年度については5%の控除枠上乗せとなる。法人減税を予定より加速した代償として、当面の税収確保に追われる安倍政権の現状を表したものといえる。
なお、同制度の縮減は大企業のみに限られている。中小企業については、経営への影響が大きすぎるとして、従来どおり所得の全額を繰越控除することが認められている。ただし大綱では中小企業税制全般について「幅広い観点から検討を行う」としており、次年度以降に課税ベースが拡大される可能性は否定できないところです
また縮減スケジュールの分割化に合わせて、欠損金の繰越期間についても変更がある。2015年度改正では、2017年4月から従来の9年を10年に延長することが決定していたが、2018年4月1日からへ延期されている。こちらについては中小企業も同様の措置となるので要注意だ。
次回も2016年税制大綱の見直しの内容を見ていこうと思う。

情報提供:税理士新聞  ㈱エヌピー通信社
    : 納税通信   ㈱エヌピー通信社

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| 税制改正 | 15:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税負担増す赤字企業 (外形標準課税)

2016年税制改正大綱を見る

(第2回) 税負担増す赤字企業
前回に引き続き2016年度税制改正大綱を見て行きたい。
今回は、法人税減税にともなう代替財源として、前年度に引き続き課税強化された外形標準課税である。
利益に応じて課される法人税とは異なり、外形標準課税は黒字赤字に関係なく資本金が1億円超のすべての会社が課税対象となる。税額は「付加価値割」「資本割」の2項目から計算される。まず付加価値割は、給料や報酬を合計した「報酬給与額」、支払利子から受取利子を差し引いた「純支払利子」、「支払賃借料から受取賃借料」を差し引いた純支払賃借料、「単年度損益」の4つを合計した数字に税率をかけて算出する。
これに対して「資本割」は、資本金の額に税率をかけて算出する。この2つを合計した数字が実際の税額となる。
2014年度までそれぞれの税率は、付加価値割が0・48%、資本割が0・2%だった。しかし安倍政権のもとで始まった法人税改革によって、代替財源として白羽の矢を立てられ増税が決定する。
2015年度には付加価値割が0・72%、資本割が0・3%へとそれぞれ増税され、2016年度にはさらに0・96%と0・4%へと2年で2倍に引き上げることを2015年度大綱に明記した。
ところが、2016年度税制改正では法人減税を前倒して断行することが決まり、それに合わせて外形標準課税の増税スケジュールも変更されることとなった。引き上げ幅をさらに上乗せすることが決まったのだ。
2016年度からは付加価値割の税率は1・2%、資本割の税率は0・5%へとそれぞれ引き上げられる。2年間で2・5倍の増税ということになる。
これだけ苛烈な増税を行うにもかかわらず、それでも法人減税によって減る税収分の全てを賄いきれてはいない。そのため2016年度大綱では、次年度以降のさらなる課税ベースの拡大を匂わせる文言が並んでいる。
外形標準課税については、「適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う」として課税対象拡大に含みを持たせた。
また中小法人への課税についても、「資本金1億円以下の法人に対して一律に同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う」とした上で、「一部の黒字法人に税負担が偏っていることや、中小法人が大法人へと成長していく意欲を損ないかねないことを踏まえ、中小法人向けの制度の全般にわたり・・・・幅広い観点から検討を行う」として、中小企業の定義そのものを変えて薄く広く課税していく方針を示している。
 最近では大企業が業績の悪化を理由に減資をし、資本金を1億円以下にする企業も出てきている
近いところでは2015年9月1日付けで吉本興業が資本金125億円から1億円に減資したり、シャープが1200億円以上あった資本金を1億円に減らす方針を打ち出し、菅官房長官らが批判した結果、最終的には資本金5億に落ち着いた経緯もある。なお、この「5億円以上」の意味合いは公認会計士や監査法人の監査が義務付けられる金額でもあります。
このように大企業も生き残りのためにはなりふり構わない姿勢をとることもあります。
それだけ税の負担が増えて来ているのを回避しようと考えている法人も多いということも事実なのでしょう。
次回も引き続き2016年度税制改正大綱を見ていきます。


                   情報提供:税理士新聞 エヌピー通信社
                       :納税通信  エヌピー通信社

| 税制改正 | 08:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2016年税制改正大綱を見る

2016年度税制改正大綱を見る

(第1回) 目玉は法人税改革か?

 2015年12月16日、自民・公明の両党税制調査会が2016年度税制改正の大綱を決定したことは皆さんご存知だと思います。
消費税における、軽減税率の対象範囲をめぐる議論が長引き、一時は改正作業の遅れも危ぶまれたが、終わってみれば前年よりも2週間ほど早い取りまとめになっています。税制大綱は今後、閣議での議論を経て法案として提出され、今年3月末までの成立を目指します。成立すれば順次施行されていく予定である。
2016年度大綱の目玉は、2年目となる法人税改革の加速です。安倍政権では、稼ぐ力のある企業を後押しして国際競争力を強化するとして、2016年度4月1日から法人実効税率を29・97%へ引き下げることを大綱に明記しました。
法人税率をめぐっては2015年度大綱で、それまで34・62%だった実効税率を段階的に引き下げ、数年以内に20%台まで引き下げることを決定しています。その第一段階として2015年度改正では実効税率を32・11%まで引き下げ、さらに2年目となる2016年度には31・33%まで引き下げるとした上で、「税率引き下げ幅のさらなる上乗せを図る」と盛り込んでいた。
この「さらなる上乗せ」の幅をめぐって、財界を代表とする減税先行派と財務省などの税収中立派の意見が対立して迎えたのが、2016年度の改正議論だ。政権の掲げる国内GDP600兆円目標に向けて設備投資を促すために法人減税が欠かせないとする減税先行派に対し、税収中立派は2020年度までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化させるという財政再建計画のためには代替財源を用意しないままの先行減税は絶対に受け入れられないとの姿勢を貫いてきた。
そして最終的に事態を動かしたのは、安倍首相の〝鶴の一声〞でした。
「企業が収益力を高め、前向きな国内投資や賃金引き上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要がある」として、先行減税に踏み切るよう指示。2016年税制改正大綱はそれを受け入れるかたちで、2015年度大綱に盛り込まれていた目標にさらに上乗せをして一気に20%台まで引き下げるよう明記した。大綱ではさらに、2018年度には29・74%まで引き下げるという次の目標まで設定している。企業に対しても、「企業の意識や行動を変革して長が反発するなど、両者のいくための方策などについても検討を行う」としたものの具体的な取り組みについて記述はなく、内部留保の積み上げについても「経済の好循環の定着に向けて一層貢献するよう強く求める」と言及するにとどまっている。
2015年度発表の国税庁資料によれば、国内企業のうち法人減税の恩恵を受けられる黒字企業は30・6%に過ぎない。3割の黒字企業を後押しするために、7割の赤字企業に負担増を強いる改正が16年度大綱には並んでいそうだ。
次回、数回にわたり2016年度税制改正大綱のさまざまな税目について、見直しの内容を見ていきたい。
                               

             情報提供:税理士新聞 ㈱エヌピー通信社
                 :納税通信  ㈱エヌピー通信社
    






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