税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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属人的株式とは何か

「属人的株式」とは何か

事業承継の要である議決権を設計できるのは、種類株式と信託しかないと言われています。
近年、事業承継対策が話題になっていますが、なかなか後継者へスムーズなバトンタッチができていない要因として、株式の移行問題があります。社歴の長い会社ほど株式が分散され、後継者への移動の際のトラブルの原因にもなっています。
今回はこのようなトラブルを未然に防いでおくことが出来ないかを考えてみたいと思います。そこで今回、種類株式に似ていますが種類株式とは違う特徴がある「属人的株式」に関して考えていきたいと思います。

まず会社法105条では、株主の権利として3つ定められています。
1 剰余金の配当を受ける権利
2 残余財産の分配を受ける権利
3 株主総会における議決権

そして会社法109条1項では株主平等の原則が定められています。これらが、株主自らが主張できる基本原則の根拠です。
しかし原則有れば例外有りです。
会社法109条2項では、非公開会社(株式譲渡制限会社)において、株主ごとに権利内容の異なる株式の発行を認めていますこれを属人的株式といいます。これは種類株式が特定の株式に個性(配当や残余財産、議決権等の優劣など)を持たせているのに対し、属人的株式は、個人株主や株主の役職等の地位、株主の置かれた状況などに対して個性を持たせることが出来ます。
 法務局(登記所)に設立登記している会社の約98%が非公開会社だと思われます。いわゆる中小・零細企業です。そして残りの約2%が株式を市場で公開している大企業です。
この非公開会社とは、株式を他の者に譲渡する場合、会社の取締役会あるいは株主総会での承認が必要とされる旨の文言が定款に記載されている会社です。なお、商業謄本には株式譲渡制限の有無が記載されていますので、その会社が非公開会社であるかどうかはすぐわかります。
属人的株式発行に必要な要件としては、会社法309条4項による株主総会の特殊決議により定款変更が必要になります。この場合の特殊決議とは、総株主の半数以上が出席し、総株主の議決権の四分の三以上の賛成が必要とされています。従って、定款変更のみで良いことになっており、商業謄本にはこの属人的株式変更事項が記載されませんので、第三者には知られないという特徴があります。
ちなみに、属人的株式は旧有限会社では元々認められていました。旧有限会社では社員の個性を重視するため、特別決議における議決要件が加重されていました。 それが会社法に引継がれてきているわけで、急に会社法になって現れた制度ではないと言うことです。
平成18年5月に施行された会社法により、法人格の設立としては株式会社のほか合同会社があります。当初から、出資割合によらない自由な利益分配や柔軟な機関設計ができる会社組織を考えているのであれば、合同会社も選択の一つではないでしょうか。しかし、あくまでも株式会社が良いというのであれば仕方ありませんが。
最近では、属人的株式のメリットを利用して事業承継対策に活用しようと考えている会社も現れてきています。
例えば、子息が育つまで、オーナー一族以外の役員に一時的に代表権を移行するなどして、株式保有比率に関わらず、議決権比率を高くしておく旨の属人株式として定款に定め、経営のみバトンタッチし、子息が育った時に代表権及び経営権を移行するなどの手法も考えられます。

属人的株式は、使い方によっては事業承継対策として有用なツールになると思われます。事業承継対策は急に実行するものではなく、ある程度の時間をかけ各利害関係者と調整していくものである。しかし、まだまだ種類株式に比べ属人的株式に関しての研究は少ないようです。
今後も実務を通して研究したことを、このブログを通じて皆さんに発表していこうと思います。
以 上

          参考資料: 高橋 章「事業承継における属人的株式の活用法」
              : 会社法


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| 民法・商法・会社法 | 10:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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子育て支援とひとり親家庭への支援他

    厚生労働省:平成28年税制改正要望を発表②

 いよいよ、平成28年度税制改正要望が出始める時期がやってきました。前回は家計にやさしい平成28年度税制改正要望として厚生労働省から出された健康・医療に関する所得控除制度の創設を紹介しました。厚生労働省からの平成28年度税制改正要望では、健康・医療の他にも子ども・子育て等の要望事項が出されています。今回は前回紹介できなかった健康・医療に関する改正要望とともに紹介させていただきます。

1.子ども・子育て
(1)子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設
 仕事と家庭を両立し、女性の活躍を推進する観点からベビーシッター等の子育て支援に要する費用の一部について、税制上の所要の措置を講ずることとし、その具体策として、特定支出控除の対象にベビーシッター等の子育て支援に要する費用を追加することとしています。

(2)ひとり親家庭への支援の重実等に伴う税制上の所要の措置
 ひとり親家庭や多子世帯への支援の充実、社会的養護の推進、児童虐待防止対策の強化等のため必要な措置を講ずるとしています。

2.健康・医療
(1)たばこ税の税率の引上げ等
 日本は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の締結国であり2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、たばこ対策の強力な推進が求められていることと、国民の健康の観点からたばこの消費を抑制する必要があります。
 たばこの消費を抑制するために、以下の要望が出されました。
 ① たばこ税及び地方たばこ税の税率の引上げ。
 ② かぎ用の製造たばこ等に関して、課税の換算方法を見直す。
 増税となる改正であり、今回紹介するなかで唯一家計に厳しい改正となっています。②の見直しは、かぎ用の製造たばこ等については現行重量2グラムを紙巻きたばこ1本に換算して税額が計算されていますが、重量2グラムに含まれるニコチンの含有量が紙巻きたばこの2倍以上あるため、実質的な税率は紙巻きたばこの2分の1ではないかと考えられていました。そこで改正後は、重量1グラムのかぎ用の製造たばこ等を紙巻きたばこ1本に換算して税額が計算されることとなります。

(2)医療に係る消費税の課税のあり方の検討
 社会保険診療については消費税は非課税扱いとなっていることから、消費税の増税による医薬品などの仕入れ費用の増加については社会保険診療報酬において消費税を上乗せすることで医療機関等に負担がないような対応が取られてきました。しかしながら、一部の医療機関では消費税の上乗せ幅は不十分であり、仕入に要した分の消費税の一部が還付されない損税の状態になっているとの指摘もあります。 
 消費税率10%引上げ時の対応として、診療側は診療報酬による対応だけでは限界があるとして、税制による抜本的な解決を要望しています。そこで、抜本的な解決に向けて適切な措置か講ずることができるように、個々の診療項目に含まれる仕入税額相当分の「見える化」することなどで実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、総合的に検討し、結論を得るとしています。

(3)医療の設備投資に関する特例措置の創設
 人口構造の変化に応じ、質が高く効率的な医療を提供するため、地域医療構想に沿った病床の機能分化・連携、医療分野におけるICT化の推進などに資する固定資産を取得した場合に、特別償却又は税額控除を認める措置を創設することとしてます。

(4)地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益の非課税措置の創設
 地域の医師確保対策として、医学生等に対して修学等資金を貸与し、当該医学生が卒業後一定期間、当該地方公共団体が指定する医療機関に勤務していたことを要件に、当該修学等資金の返還債務を免除する制度を設けています。この債務免除については、当該地方公共団体が指定する医療機関により、非課税又は給与所得とされていました。
 この医学生等修学資金貸与事業は、医師の地域偏在の是正対策として医師確保に有効な対策の一つとなっているため、地方公共団体の取組を財政・制度面から支援する必要があり、また、一括で債務免除益とされた医師についても債務免除益を含めた上で所得税が課税された場合には過度な課税がなされるおそれがあります。このため、地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益については非課税とする措置を講ずることとしました。

 今回紹介しました更正労働省から出された平成28年度税制改正要望は、私たちに身近な子育てと医療機関に関するものです。健康管理には気を使っていてもいつ病に襲われるか誰にもわかりません。その際すぐに診察してもらえる医療機関の確保は重要な課題です。地方の医師確保や医療期間の安定した経営がそれを支えるという考え方からの今回の改正要望となっています。まだ、決定されたものではありませんがどのような形で実現するかを見守っていきたいと思います。
 
              参考資料 平成28年度 税制改正要望(厚生労働省)

| 税制改正 | 10:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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市販薬にも所得控除制度創設を検討

    厚生労働省:平成28年税制改正要望を発表①

 いよいよ、平成28年度税制改正要望が出始める時期がやってきました。消費税増税を控えて、少しでも増税に対する家計への影響を緩和してくれる制度を期待したいところですが、そのような家計にやさしい平成28年度税制改正要望がこのたび厚生労働省から出されました。それが、『一般用医薬品等に関する所得控除制度』と『個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除』の創設です。

1、一般用医薬品等に関する所得控除制度
(1)要望の内容
 要指導医薬品及び一般用医薬品を年間1万円以上購入した世帯に対して、その費用から1万円差し引いた金額について最大10万円までを所得控除の対象とします。
ただし、この制度による控除と現行の医療費控除の両方の適用を受けることはできません。従って、両制度の控除条件に該当する場合にはどちらか有利な制度を選択することになります。

(2)現行の医療費控除との違い
 現行の医療費控除では、病院の受診や市販薬を購入した場合には、年間10万円(又は所得金額の5%)を超える部分の金額が所得控除の対象とされ、確定申告により医療費控除として課税所得金額を減額して所得税が減額されることになります。
 しかし、病院へ行く時間が無かったり、日頃から健康管理を行っているため、主に市販薬で病気を治すような方たちにとっては、現行制度の恩恵は受けにくいものでした。

(3)政策目的と施策の必要性
 厚生労働省は要望のなかで、健康管理や疾病予防に対する国民の自助努力を促すため、セルフメディケーション(自己治療)に自発的に取り組む環境整備を行うこととしています。
「国民の健康寿命を延伸する社会」の実現のためセルフメディケーションの推進
が不可欠であり、セルフメディケーションに取り組んでいても、現行の医療費控除の対象外となってしまうこともあるため、推進のためには税制面での対応が必要であるとしています。

(4)その他のセルフメディケーション推進のための措置
 セルフメディケーションの推進に関し、充実した相談体制や設備などを有する薬局(健康ナビステーション(仮称) )のうち中小企業者が開始したものに係る不動産について不動産取得税の軽減措置を創設をすることとしています。

2、個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度
(1)要望の内容
 がん検診、特定検診、予防接種、人間ドック等に要する自己負担額が年間10,000円以上かかった世帯に対して、最大100,000円までを所得控除の対象とします。

(2)政策目的
 国民が自発的に健康管理や疾病予防に取り組む環境整備行い、健康寿命の延伸、社会保障の持続可能性を確保を図ることとしています。

 今回紹介しました厚生労働省から出された平成28年度税制改正要望は、まさにセルフメディケーション(自己治療)の推進です。膨らみ続ける医療費に対する対策は政府にとって重要な課題、その一番の対策は健康の増進です。住民の健康維持に力を注ぐことにより医療費を減らすことに成功した自治体の話はよく聞かれます。
日頃健康管理に努めて、きちんと健康診断を欠かさず、そのため病院へあまり行かないという人にとっては、今回の所得控除制度の創設は朗報であり、早期に可決成立し開始されることを期待したいものです。

           参考資料  平成28年度 税制改正要望(厚生労働省)

| 税制改正 | 14:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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