税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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中国もタックスヘイブン対策を実施

       タックスヘイブン対策税制の実施!

 ついに中国も2月1日からタックスヘイブン対策税制の強化が実施された。それは、‘一般的租税回避防止管理弁法(試行)’です。
もともと各国でタックスヘイブン地域への税金対策は行われてきたが、中国まで対策税制を強化する現状には考えさせられる。
 企業のグローバル化とともに、人件費や税金が安い国へ事業の拠点を移すオフショアリングがあたりまえになり、タックスヘイブン地で有名な‘ケイマン諸島、バージン諸島’など課税が軽減あるいは免税される地域(30か所ある)に、利益を移す企業が増えたのです。実際の事業拠点である国にとっては大きな税収減であり、各国で租税回避を規制する動きが強まっているのです。
 中国も経済水準が高まるにつれて、中国企業の中にもタックスヘイブンに資産を移し、租税を回避する企業が増えたのです。
 中国の国税総局は2014年9月から中国企業が(香港、マカオ、台湾を含む)国外で支出した巨額のサービス料や特許権使用料について一斉調査を行い、同局国際税務司がこのほど、その結果を報告したという。
 海外進出する中国企業の多くが国内で形成した無形資産の所有権をタックスヘイブン地域に移転し、その上で中国国内の企業から特許権使用料を徴収していたのです。本来ならば、中国国内企業に支払われるはずの使用料が逆に海外へ支払われ、中国の税収に多くの損失をもたらしたのです。
 規制強化の矛先は、個人の海外所得にも向けられました。

*中国個人所得税法  第1条(適用範囲) 中国国内に住所を有し、又は住所を有しないが国内において満一年居住した個人が、中国国内及び国外から生ずる所得は、この法律の規定に従って個人所得税が課税される。
 1993.10.31改正。住所(実施条例2条)、満一年居住(実施条例3条)、中国国内から生ずる所得(実施条例3条-4条)、分別計算(実施条例30条)

 以上のように中国国内に住所がある、もしくは住所がなく国内に満1年居住する個人が、中国国内および国外で得た所得について、個人所得税を納めなければならない、としている。
 そして、中国政府が改正を検討している‘税収徴収管理法’の修正案には、納税者と関係者の間の取引を独立企業間の取引と見なすか否かは税務当局が調整の権限を持つと記されているのです。
 さらに納税者識別番号の導入が検討されており、(日本は2016(H27)年1月からマイナンバー制度が導入される)富裕層に所得、資産の申告を義務づけ、徴税の徹底を図る構えなのです。(日本は国外財産調書の提出義務化)。
 また国民の海外所得については‘米国の個人所得税徴収システムに学び、海外居住者も含めて収入を把握し、申告と納税を行わせることを意図するものと思われます。 

(参考)
2015.1.30 Fuji Sankei Business1
中国個人所得税法
一般的租税回避防止管理弁法


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| 納税環境整備 | 18:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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『財産債務明細書』について改正されます

現行の規定の確認と改正点について

 平成27年度税制改正大綱が公表され、2015(平成27)年1月14日に閣議決定されました。その中で『財産債務明細書』についても“提出基準”の見直し及び“記載事項”の見直しが行われています。今回の改正で今まで『財産債務明細書』を提出する必要なのなかった方も提出する可能性が出てきました。また、過少申告加算税等の特例が新たに設けられました。
 『財産債務明細書』について、今回の改正点を現行の規定と比較して見ていきたいと思います。

(1)『財産債務明細書』とは(現行の規定)
①提出しなければならない人(所得税法232条)
 確定申告書を提出しなければならない人で、その年分の所得金額が2千万円超の人。
②記載事項
 (1)『財産債務明細書』とは(現行の規定)
 ⓐ記載対象
  その年12月31日現在の財産及び債務の『種類』『細目(所在地、数量等)』『金額』。
  注意① 年の中途で死亡または出国の場合:
      死亡または出国の日現在の財産及び債務の『種類』『細目』『金額』
 ⓑ除外
  ただし、書画骨とう及び美術工芸品、貴金属、家庭用動産、特許権、生命保険料の払込金額等については、10万円未満のものを除きます。
 ⓒ国外に存する財産及び債務
 国外に存する財産及び債務についても対象となります。
 『国外財産調書』を提出する場合には、『国外財産調書』に記載される国外財産については、「備考」に『国外財産については国外財産調書に記載のとおり』と書いて、明細書には記載しません。

(2)平成27年度税制改正大綱による改正点
①名称
 財産債務明細書 ⇒ 『財産債務調書』
②提出基準
 現行基準「その年分の所得金額が2千万円超であること」
 に加え、
  ⓐ「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上
 または、
  ⓑ「その年の12月31日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(※)の対象資産の価額の合計額が1億円以上
  ※平成27年度税制改正大綱において創設された特例
③記載事項
 現行「財産の種類、数量及び価額」に加え
 ⓐ国外財産調書の記載事項(※)と同様の事項
   ※国外財産調書の記載事項とは、財産の所在、有価証券の銘柄等
④財産の評価
 原則として「時価」。「見積価額」とすることもできる。(現行規定)
 有価証券等については、取得価額の記載も要する。
⑤過少申告加算税の特例
 国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続制に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
⑥摘用
 2016(平成28)年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について摘用されます。

 提出基準の見直しについて、税制改正大綱では、『に加え』という表現により提出対象者について規定がされています。このような表現では、対象者が所得2000万円超の人に加えて財産が3億円又は1億円の人が対象となり、提出者の範囲を広げる改正なのか、それとも所得2000万円超の条件に加えて財産が3億円または1億円の条件を満たす人が対象となり対象者の範囲を狭める改正なのか判別がしにくいものとなっています。現にこの改正を紹介する記事を見ますと、「対象者の範囲を拡大した改正」と採れる記事・「対象者の範囲を狭めた改正」と採れる記事の両方がありましたが大多数がこの点について触れられていませんでした。
 実際に筆者もこの点については迷いましたし、結論に至るための情報を見つけられませんでした。今後、この規定についても具体的な情報が出てくると思われますが、筆者としては、税制改正大綱のなかでの曖昧な表現はさけていただければと思います。
    
          参考資料  平成27年度税制改正大綱
                国税庁ホームページ


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