税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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2016年1月、社会保障・税番号(マイナンバー)制度始動

国税庁、番号指定や通知についての詳細を公表

 2013(平成25)年5月24日にマイナンバー(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」)関連4法案が参議院本会議において可決成立しました。
 2016(平成28)年1月からの利用開始に当たり「社会保障・税番号制度について」が先月国税庁ホームページにオープンし、詳細が公表されました。今回は、国税庁及び内閣官房のホームページからマイナンバー制について改めて見ていきます。

(1)社会保障・税番号制度に関する規定
①概要
 住民票を有するすべての個人について12桁の1番号が住所地の市町村長から指定されます。従って、海外に滞在されている方などで住民票がない場合にはマイナンバーの指定はできません。また、外国籍の方でも住民票があればマイナンバーが指定されることとなります。
 一度指定されたマイナンバーは生涯変わりません。ただし、不正に利用される恐れがある場合には例外として変更が認められることがあります。
 メリットとしては、社会保障や税に関しては住民票などの添付書類が削減できることやマイ・ポータルのお知らせサービス等による国民の利便性の向上などが挙げられています。
②利用開始についてのスケジュール
 2014(平成26)年1月・・・特定個人情報保護委員会設置
 2015(平成27)年10月・・・国民への個人番号の付番・通知
 2016(平成28)年1月・・・個人番号の利用開始
 2017(平成29)年1月・・・マイポータルの運用開始
 2017(平成29)年7月・・・地方自治体との情報連携開始
③利用範囲
 原則、以下の3分野にしか利用できません。
  ㋑社会保障
   ・年金・・・資格取得・確認、受給
   ・労働・・・雇用保険等の資格取得・確認・受給、ハローワーク等の事務等
   ・医療・・・保険料徴収
   ・福祉・・・給付、生活保護の実施、低所得者対策の事務等
  ㋺税・・・確定申告・届出書・調書等に記載、税務当局の内部事務
  ㋩災害対策・・・災害者台帳作成、災害者生活再建支援金の支給
 この他、地方公共団体が条例で定める事務に利用することが可能となっています。
 ただし、附則第6条において、施行後3年を目処に情報提供の範囲拡大を目指すことも盛り込まれており、利用範囲がどのように拡大されるかは今後注視すべきでしょう。

(2)マイポータルの運用
①現在制度として検討されている事項
 附則第6条において『自己の特定個人情報』及び『その提供記録』の確認ができるマイポータル(情報提供等記録開示システム)が設置されることが規定されています。
 マイポータルの利用により、行政期間がマイナンバーの付いた自己の情報をいつ、どことやりとりしたのかを確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自己のパソコン等から確認できるものとして整備されます。
②国税分野でのマイポータルの活用
 国税分野でのマイポータルの活用から、以下の掲載が検討されています。
  ・自己の過去の納税申告や納付の履歴に関する情報
  ・確定申告を行う際に参考となる情報 

 マイナンバーについて今回は簡単に概要をみてきました。番号制は個人だけ無く法人にも13桁の法人番号が指定されることとなりますが、個人番号とは利用範囲が異なるなどの違いがあります。次回は、法人番号と税務の上でのマイナンバー制度の見ていきたいと思います。
 
                      参考資料  内閣官房ホームページ
                            国税庁ホームページ
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| 納税環境整備 | 13:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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労働者派遣法の改正案の成立を断念

労働者派遣法の改正案の成立を断念!

 11月5日、衆議院厚生労働委員会で労働者派遣法改正案の実質審議が始り、1985年に施行された労働者派遣法(以下、「派遣法」という。)の改正法案が、いよいよ2015(平成27年)年4月1日に施行される予定でした。
 今回の改正案のポイントは、①同一労働者が同一職場で派遣就労する上限を3年とし、それを超える場合、派遣労働者は正社員として雇用か派遣先での直接雇用を促す、ことと②特定労働者派遣の廃止’の2点です。
 そもそも派遣法は、制定された当時は、まだ終身雇用や年功序列といった日本的雇用慣行が残っていた。正社員は、本来の就業の仕方、派遣社員は、例外的な終業の仕方という位置づけでした。1999年にはソフトウェア開発や翻訳等、特殊なスキルを必要とする26の専門職に限って、派遣が原則自由化されたのです。
 時を経て就業形態が多様化し、派遣が特殊な就業の仕方でなくなり、専門26の業務について2004年の法改正で、正社員にしなくても派遣社員を無期限に雇えるようになったが、この派遣社員の活用が広がる一方で、製造業を中心とした派遣切り、偽装請負などが社会問題となり、派遣社員への保護を求める声が高まりました。2012年には日雇い派遣の禁止等、派遣社員の保護が重視される改正が行われました。
 今回の改正のポイントは、次のように‘2014年1月29日付厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会 報告書’にまとめられています。

(1)改正についての基本的な考え方
①労働者や派遣元・派遣先にわかりやすい制度とする。
②労働者派遣事業が労働力需給調整において重要な役割を果たしていることを評価したうえでキャリアアップや直接雇用の推進を図り、雇用安定と処遇改善を進める。
③業界全体として、事業の健全な育成を図るため、悪質な事業者を排除し、優良な事業者を育成する。

(2)登録型派遣・製造業務派遣について
①経済活動や雇用に大きな影響が生じる可能性を鑑み禁止しない。
②雇用が不安定になることを防止するため、雇用安定措置等を講ずる。

(3)特定労働者派遣事業のついて
①特定・一般の区別を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とする。
②派遣労働者の保護に配慮した上で、小規模派遣元事業主への暫定的配慮措置(経過措置等)を講ずる。
③現在の特定派遣事業の許可制への移行に関しては、経過措置を設ける。

(4)派遣可能期間制限について
派遣労働が雇用と使用が分離した形態であることによる弊害を防止することが適当。派遣労働は臨時的・一時的な働き方であり、派遣先で利用も臨時的・一時的なものに限ることを原則とする。
26業務及び業務単位での期間制限はわかりにくいこと等から撤廃する。また、制度見直し時点で実施されている26業務派遣について経過措置を講ずる。

(5)派遣先の責任の周知について
①国は、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例及び中労委命令について、整理を行った上で周知する。
②派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等を指針に例示する。
③派遣先が苦情処理を行うに際しては、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例や中労委命令に留意することを指   針に規定する。

(6)派遣労働者の処遇について
①均衡待遇の推進
A.賃金について
 派遣先は、派遣元の求めに応じ、同種の業務に従事する労働者の賃金の情報提供などを配慮する。
派遣労働者の賃金の均衡が図られるために以下を指針に規定する。
*派遣先は、派遣料金の決定の際、派遣先同種業務労働者と賃金水準の均衡が図られるよう努める。
*派遣先は、就業実態・労働市況・業務内容や技術水準を勘案して派遣料金を決定するよう努める。
*派遣元は、派遣料金の引き下げを賃金の引き上げに反映するよう努める。
*派遣元は、派遣料金の交渉が派遣労働者の待遇改善に重量であることを踏まえ交渉に努める。
*有期派遣労働者の通勤手当の支給については、派遣元の通常労働者に対し、労働契約法20条に基づき、不合理と認  められるものであってはならない。
派遣元に、派遣労働者の待遇について配慮した内容の説明を義務づける。
派遣先は、同種の業務に従事する労働者の賃金の情報提供、教育訓練、福利厚生施設の利用機会に配慮する。

その他、教育訓練について、福利厚生施設について、労働・社会保険の適用促進、派遣労働者のキャリアアップ措置について等が改正点で報告されています。
このような改正で一番大きな影響を受けるのは、専門業務で働く派遣社員でしょう。これまでは無制限に働けたのに、今後は3年経つと派遣先にとどまれないのです。しかし、政府は、期限を設けなければ派遣先や派遣元の企業も派遣社員も、3年ごとに働き方を見直すきっかけになると主張しています。罰則規定もなく、本当に派遣社員の雇用の安定がはかれるのか、非常に疑問が残ります。ところで、内容は以上の通りですが、突然の来週の衆院解散を見越して政策協議が中断し、肝心な今国会での成立が断念されました。

(参考・引用:2014年1月29日付厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会報告書 
 一般社団法人 日本エンジニアリングアウトソーシング協会 記事
   Yahooニュース、26年11月14日日経新聞朝刊)

| 財政・税務 | 09:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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領収証の電子保管の規制緩和実施

3万円以上の領収証も電子保存の対象に!

 11月5日の日本経済新聞の朝刊一面に興味深い記事が掲載されていました。『領収証の電子保管の容認』。以前から認められていたんじゃなかったかなと、思われる方もいらっしゃると思いますが、その通りです。ただし、3万円未満の場合でした。
 政府は税務調査の証拠となる領収証や契約書の原本の保存に関する規制を来年の2015年に緩和する方針とのこと。そのため領収証に対する3万円のボーダーラインがなくなり、高額の領収証に対しても電子保存が認められることになりそうなのです。

(1)現在の保存期間に関する規定
 保存期間に関する規定は会社法、税法で定められており、参考に一部を紹介いたします。
①保存期間10年
 ㋑会社法432条
  会計帳簿及び事業に関する重要な書類・・・会計帳簿の閉鎖の時から10年間
 ㋺会社法435条
  計算書類及び事業報告書並びに附属明細書・・・作成した時から10年間
②保存期間7年又は9年
 ㋑法人税法施行規則59条、67条
  取引に関する帳簿、決算に関して作 成された書類、取引の証憑書類
・・・申告書の提出期限から7年間
 ㋺電子帳簿保存法施行規則8条
  電子取引に関する電磁的記録・・・申告書の提出期限から7年間
 ㋩2008(平成20)年4月1日以後に終了した青色申告書を提出した事業年度において欠損金の生じた事業年度・ ・・・申告書の提出期限から9年間※
※青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年間に延長されたため

(2)電子文書法(e-文書法)
 e‐文書法は、法人税法や商法、証券取引法などで紙による原本保存が義務づけられている文書や帳票の電子保存を容認する法律です。企業が書類等を電磁的記録により保存する場合の共通事項を定めた法律です。
 紙での保存に比べ画像データ化されたものは加工しやすいことかや改ざんされ易いので要件などが定められています。
①電子保存の基本的要件
 ㋑見読性: 明瞭な状態でディスプレイに表示したり、印刷した際に内容が確認でき
るように解像度や階調の目安を提示
 ㋺完全性: 自己や操作ミスによる消去の防止、改ざんや消去があった場合にその事
実を確認することができるようにしておくこと
 ㋩機密性: 許可した人以外はアクセスできないようにすること
 ㋥検索性: 必要に応じて検索できるよう事項を体系的に構成する措置を講ずること
②電子化対象外のもの
 緊急時に即座に確認する必要があるもの:船舶や車両に備える安全手引書
 現物性がきわめて高いもの:運転免許証、許可証など
 条約による制約があるもの

(3)国税関係の規定
 「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(電子帳簿保存法)及びその施行規則により、電磁記録の対象となる書類等や事前の承認申請などが定められています。
 ①承認申請
  電磁的記録により書類の保存を行う場合には、3か月前の日までに所轄税務署長に
 対して「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を提出し承認
 を受けなければなりません。
 ②電磁的記録の対象とならないもの
  ㋑棚卸表
  ㋺貸借対照表及び損益計算書
  ㋩計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類
  ㋥取引の相手方から受け取った契約書、領収書等及び自己の作成したこれらの写し
    (記載された金額が3万円未満のものを除きます)
 
 このように、帳簿書類等の保存期間及び保存方法については様々な法律の規定により定められており、制限が設けられています。保存期間も長いため、保管場所の確保を含めた保管コストは何処も悩みの種となっています。
 以前から3万円未満の領収証についてはスキャナーによる保存は認められていましたが、金額による分別は手間が掛かるため全ての領収証を保管している企業が多かったようです。しかし、3万円のボーダーラインがなくなれば、保管コストの削減が期待されます。保管場所に頭を悩まされている方は、この機会に電磁的保存を検討されてみたはいかがでしょうか。
 参考資料  日本経済新聞
       文章の電子化活用ガイド(経済産業省)
       国税庁ホームページ

| 納税環境整備 | 19:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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