税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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マニュアルで調査を行う若手の国税調査官

マニュアルで調査を行う若手の国税調査官!

  2014年10月13日の納税通信に以上の記事が載っていたので、紹介します。
いま、税務調査の真っ盛りでありますが、国税通則法改正(74条関係)の影響で調査件数は減少しています。しかし、1件当たりのパフォーマンスを追及する姿勢が強まっており、細かく厳しい調査が全国的に展開中なのである。
 心構えはもっていても、実際に調査となるといやなものである。調査官の性格をみて臨機応変に対応することも重要な調査対策である。(調査官も人の子である)
  普通、税務職員と言えば、‘怖い’というイメージがあり、‘黒っぽいスーツに大きなカバンを持って、鋭い目つきで、刑事のような’といった感じを想像します。
  実際、昔はこんな職員も多かったと思いますが、最近は女性調査官も増え、ソフトな印象に変わってきています。‘無表情でカタブツなイメージを抱いていたが、実際に調査に来た調査官は、やさしい顔つきで丁寧で表紙抜けした’といった声も聞くようになったそうです。
  国税局がまとめた納税者満足度アンケートの数字を見ても、‘職員の応接態度の好感度’(業績指標1-11)について5段階評価のうち、‘良い’または‘やや良い’との回答があった上位評価割合は21年度は84.0%、22年度は83.6%、23年度は85.2%、24年度84.3%と高く、税務職員の好感度アップを裏付けています。
  確かに、依然とは違う物腰のやわらかい税務職員・調査官が増えたように思います。
  しかし、‘怖い’というイメージが払拭されつつある一方で、‘職人気質が低下している’という指摘もあり、最近は税務調査の手順や手法、心得にいたるまですべてがマニュアル化され、税務調査の現場はもちろん、調査の引き継ぎや教育の場合で高度利用されている。現代は、何事においてもマニュアル化人間が増えているような気がします。
 つまり、応用が利かないのです。これにより他部署から異動してきた調査官や税務大学校を卒業したての新人調査官でも、着任早々、それなりに効率的に動けるようになりました。また、ある国税局が有効な調査手法を開発したとなれば、素早くマニュアル化されて他の国税局・税務署と共有され、全国統一的な調査展開に活かされています。
  昔は、経験と場数を踏んだ調査官ならではの‘勘’で、表向きはキレイに偽造された帳簿の裏に潜む脱税を暴いたという事件が多数あった。どうして分かったのか聞いても、‘勘としかいいようがない’という返事が返ってくるばかりという。こうした特殊能力をどうにか共有したくても、‘勘’まではマニュアル化できないのです。
  マニュアル化の副作用として‘会話力の衰退’を挙げるOBも多いそうです。
 ‘会話力’は、調査の場でもっとも強力な武器だという。調査先の社長との何気ない会話の中から大きな不正の糸口を掴んだ、というのはよくある話です。調査先の社長や経理担当者、税理士等と心を通わせ‘本音トーク’ができたことで、調査がスムーズに展開して申告漏れ発見につながったということもあるそうです。
  現役のベテラン調査官は、‘調査先に着いてまずやることは、納税者の話に耳を傾け、心をつかむこと’という。ベテランほど世間話で相手のガードを解き、調査の核心を探るのがうまいのです。確かにまず雑談から始める調査官が多いのもうなずけます。
  しかし若手の調査官の多くはこのような手法が苦手のようで、現役時代に調査畑でならした国税OB税理士は、‘冒頭のちょっとした会話から重要な情報が引き出せることもあるのに、最近の若手調査官は世間話のひとつもできない’と嘆いているのである。調査先に着くなり挨拶もほどほどに勘定元帳のチェックを始め、ベテラン調査官にこづかれる若手もいるという。機械化調査が一般化し、すべての技術がマニュアル管理されるようになってきた昨今、もっともアナログな‘会話力’が取り残されているのだという。人を相手にしていることを忘れてはいけないと思います。
  そんな現状を打開しようと、‘会話マニュアル’を作成して職員の会話力育成に努めている税務署もあるそうです。都内某署作成のマニュアルには、‘聞く態度’や‘鋭い質問’が相手の信頼関係につながり調査を成功に導くとして、質問の仕方や心得などを具体的に説いています。調査先から常に‘評価’されていることを念頭に置き、なめられることのないよう忠告している記述もある。こんなマニュアルが作られるのも、‘会話力’が重視されている証拠なのでしょう。
  税務調査は一般的に税務署側のペースで進んでいくものです。日々税務調査を実践している調査官と、十数年に一度受けるかどうかといった納税者とでは、経験値、情報量とも雲泥の差があるのは当然なのである。
  不慣れゆえに、淡々と仕事をこなす調査官の横で無駄にオロオロしてしまいがちですが、調査を制するには調査官を知ることが大事。今時の調査官のタイプを知ることで冷静さを保ち、調査の主導権を握られることなく納得のいく展開に導きたいと思います。

(引用・参考:納税通信 2014.10.13 第3342号、国税局ホームページ)


 
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| 税務調査 | 17:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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政治家と金そして税

 政治家と金そして税
政治家と金にまつわる問題は昔から出ていましたが、今回前経済産業大臣小渕優子議員の政治資金団体の不透明な収支報告問題が世間を騒がせています。自分で通常見ていればわかるような問題点を、全て他人に任せてきたことが原因のようです。他人に全て丸投げする政治家特有のわきの甘さが露呈してしまいました。
 今回は2014年10月13日付け、雑誌T&Amaster NO566号に次のような見出しが載っていたので紹介します。
「課税当局、政治家事案の管理・申告審理を充実へ」
まさに、この時期にタイムリーな記事が出ていました。
これによると、課税当局は政治家事案の管理・申告審理を充実する方針を確認していることが判明したとのことです。政治家の所得は、一般の納税者と違いその所得の発生の補足が難しいとされています。
その理由としては、
1 政治活動が広範囲に及ぶことが多い。
2 内容はともかく、政治資金の収支報告書を提出していること。
3 文書通信交通費滞在費等の非課税収入があること。
以上のようなことがあげられます。
今回、国税当局では、政治家事案の管理・申告審理を充実させるため、雑所得課税を視野に入れた資料収集を行う方針を確認しているそうです。
具体的には、政治家に関する風評や部外情報等の情報の入手に注力し、その結果課税上問題があると認められる政治家については、常日頃から調査を前提とした意識的な資料情報の収集を行おうとしています。更に、政治家事案としての管理対象者の範囲、調査技法、調査手法についても、具体的な事例による検討も行っているもようです。
 政治家個人が資金の提供を受けた場合、その所得は何に該当するでしょか?
所得税法では所得を10種類に分類しています。
① 利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得 ⑥退職所得 
⑦山林所得 ⑧譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得 です。
「租税法・第17版」金子宏著 の著書の中で、政治献金収入や情報提供し利益を得させた見返りとして受け取った金員雑所得になると説明しています。
所得税法35条では、雑所得の意義として、「雑所得とは、利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しない所得のことであり、公的年等とその他の雑所得からなる。」としています。
したがって、政治家個人が資金の提供を受けた場合や、ヤミ献金、仲介・斡旋・口利きなどの対価として受け取る謝礼についても、それが政治資金として提供されたか否かにかかわらず、その他の雑所得に該当され収入とされます。もちろんこの収入から、この収入に要した経費を支出していれば引くことは出来ます。
政治家と金にまつわる事件としては、古くは元総理大臣自民党田中角栄のロッキード事件による逮捕から始まり、元民主党幹事長小沢一郎議員の政治資金団体である陸山会事件。更に、元総理大臣民主党鳩山由紀夫議員の母親からの贈与税の脱税事件など、複雑多岐にわたります。また国会議員だけでなく地方議員までその範囲を広げていったらきりがありません。
今年も、12月半ば過ぎには、2015年度の改正税制大綱が発表される予定です。現在自民党及び公明党の税制調査会が中心となり大綱作成にむけて本格的な作業をしています。
特に来年度は、4月に全国統一地方選挙が行われ、10月には消費税率アップの問題が控えています。さらには、同じく10月1日より全国民への個人番号付番の通知が始まります。いわゆるマイナンバー法です。2015年度はこのように重要な年になります。
国政に携わる政治家は国に対する政策提言を行い実行することを求められています。これを忘れた政治家がまだまだいると思われます。
政治家と金との関係を断ち切らない限り、まだまだこのような事件は続いていくでしょう。 
                                                        

                参照:T&AmasterNO566 2014.10.13日号
                    「租税法・第17版」金子宏著

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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法務省:休眠会社・休眠一般社団法人の整理作業実施

    12年ぶりに休眠会社の整理作業が行われます

 法務省は、全国の法務局において2014(平成26)年度に、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行うこととしました。

(1)概要
 2014(平成26)年11月17日(月)の時点で、休眠会社・休眠一般法人に該当する会社等は、2015(平成27)年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止してない旨」の届出又は、登記(役員変更等の登記)の申請をしない限り、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

(2)休眠会社・休眠一般法人とは
 ①休眠会社 (会社法472条1項)
  最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社の除く)
 ②休眠一般法人 (一般社団法人及び一般社団法人に関する法律149条・203条)
  最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人等
 注意:5年又は10年の間に登記事項証明書や印鑑証明の交付を受けていたかは関係ありません

(3)まだ事業を廃止してない旨の届出
 2014(平成26)年11月17日(月)付けで法務大臣から、休眠会社・休眠一般法人は2ヵ月以内に「まだ事業を廃止してない」旨の届出がなく、登記もされないときは、解散したものとみなされる旨の官報公告が行われます。
対象となる休眠会社・休眠一般法人に対しては管轄の登記所から法務大臣による公告が行われた旨の通知が発送されます。
 従って、まだ事業を廃止していない場合には、2015(平成27)年1月19日(月)までに以下の事項を記載した「まだ事業を廃止してない旨」の届出をする必要があります。
(会社法施行規則139条、一般社団法人及び一般社団法人に関する法律施行規則57条・65条)
 ①商号、本店並びに代表者の氏名及び住所
 ②代理人によって提出するとは、その氏名及び住所
 ③まだ事業を廃止していない旨
 ④届出の年月日
 ⑤登記所の表示

(4)みなし解散からの継続の手続き
 (3)の届出書がなく、登記の申請もない場合には、2015(平成27)年1月20日(火)付けで解散の登記がされることとなります。 
 ただし、みなし解散の登記後3年以内であれば特別決議により継続は可能です。
 ①解散したものとみなされた株式会社⇒株主総会の特別決議
 ②解散したものとみなされた一般社団法人又は一般財団法人⇒
社員総会又は評議員会の特別決議
 この場合には、2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。

(5)登記の懈怠と過料
 法人が休眠中の場合であっても、税務申告や役員選任登記を止めることはできません。
税務申告を怠れば、青色申告の取消となりますし、欠損金の繰越控除は連続して申告書と提出することが要件ですので、欠損金の繰越控除ができなくなってしまいます。
また、休眠中でも役員の任期が満了すれば、原則として任期満了という登記の事由が発生してから2週間ないしは3週間以内に選任登記をしなければなりません。(会社法915条1項、930条3項)
 この場合登記を怠れば、会社法976条に100万円以下の過料が科されるとの規定があります。

 今回の休眠会社・休眠一般法人の整理作業は、2005(平成17)年7月に会社法が制定されてから初めてとなります。前回の2002(平成14)年及び前々回の1989(平成元)年には商法406条の3の規定が適用され、最後の登記から5年間経過している会社が対象とされました。
 このように法務局は12年の間隔で整理作業を実施し、既に存在していない法人の整理をしているようです。たとえ最後の登記から12年間経過していなくても、この機会に自社の役員の任期など確認してみてはいかがでしょうか。

           参考資料  法務省ホームページ
                 会社法
                 一般社団法人及び一般社団法人に関する法律

| お知らせ | 10:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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書面添付は、なぜ普及しないのか!?

 今回は、書面添付制度について考えてみます。
 新書面添付制度は、税理士法(以下「法」という。)第33条の2に規定する計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、従来の更正前の意見陳述に加え、納税者に税務調査の日時場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(法第35条第1項)こととされているものであり、税務の専門家である税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るため、従来の制度が拡充されたものである。また、この制度は、税理士が作成等した申告書について、計算事項等を記載した書面の添付及び事前通知前の意見陳述を通じて、税務の専門家の立場からどのように調製されたかを明らかにすることにより、正確な申告書の作成及び提出に資するという、税務の専門家である税理士に与えられた権利の一つである

 この制度は、税理士が税務の専門家として計算等した事項を記載した書面を作成し、国税当局が当該書面を尊重することにより、税務執行の円滑化等を図るという趣旨であること、また、本制度における意見聴取が税理士にのみ与えられた権利であることに鑑みれば、税理士の社会的信用・地位の一層の向上が図られるとともに、ひいては納税者の適正申告の向上や納税者との信頼関係の醸成に資するものであると考えられる。 また、当該書面は、申告書について、税務の専門家の立場からどのように調製されたかを明らかにするものであることから、納税者に対する税理士の責任の範囲が明確化されることにもなる。
 さらに、当該書面に記載された事項は、税務の専門家である税理士からの申告書に関する情報であることから、申告審理や調査の要否等の判断において、積極的に活用されるほか、事前通知前の意見聴取の段階で疑義が解消し、結果として調査の必要性がないと認められた場合には、納税者の事務所等に臨場して行う帳簿書類の調査に至らないこともあり得るのです。

 税理士が申告書に‘書面添付’をすると、税務調査を受けることになった場合に、調査通知前に税理士に意見陳述の機会が与えられる。ここで税務当局側の疑問点が解決すれば、結果的に実地調査が省略されることもある。税理士が税務調査を事前にブロックする制度なのです。

 財務省がまとめた実績報告によると、平成24年度に税理士の関与があった法人のうち申告書に書面添付されていたのは7.8%だった。書面添付制度の改正で税理士に意見陳述の機会が設けられるようになった平成13年当時、日税連は、利用率の目標をまずは‘10%’と設定した。しかし、10年経ってもまだその目標にはほど遠い。
 なぜなのか?
 日税連はH・P上の書面添付制度の説明のなかで、
 ①(税理士にとって)余分な仕事のようで煩わしい。
 ②書面を添付した結果、思いもよらない責任を追及されたらかなわない。
 ③一度提出して、その後やめたら、痛くもない腹を探られないか。
 といった税理士の懸念をとりあげている。

 税理士の協力が不可欠となる書面添付制度の普及が進まないのは、こうした懸念が蔓延していることと決して無関係ではないのです。
 税理士業界には、
 ①一度も添付したことはないし、これから取り組む予定もない。
 ②制度の意義やメリットを見いだせない。
 ③経営者と税理士双方の手間を増やしてまで書面添付する必要性は感じない。
というような消極派も多い。ただ、消極派のなかでも温度差はあり、‘実践方法が分からない’‘労力が多そうなのでまだ手つかず’などと、関心を寄せながらも敬遠している状態の税理士も多い。そして、積極派も少なくない。当事務所は積極派だが。

 事実、税理士業界での関心度はいまだ高く、TKCも‘書面添付’を推進しているし、当事務所もほぼすべての関与先の申告書に書面添付をしている。
 会計ソフトの普及で税理士事務所の記帳代行業務の価値が下がっていることや、コンサルティング業務を強みにする税理士事務所は一部であることなどを踏まえ、書面添付制度の活用を突破口にして関与先への経理指導などのアドバイスの質をアップし、税理士の存在価値を高めるべきと考えているという。もちろん、経営者のための施策である点は強調する。書面添付をすることで、税務調査が事前に省略されるほか、決算書の社会的信用力の向上で優遇融資が受けられることもある。
 
書面添付されていた申告書のなかで税理士に意見聴取の機会が設けられた割合は3.5%で、そのうち実地調査が省略されたのは56%に及ぶ(平成24年度の法人税)。
 ただ、実際には一般調査へ移行するものが多い。大きな負担になる税務調査を省略できた経営者は少なからず存在することは間違いないが、この点だけでも制度に関心を持っておく意味はある。なお、相続税の申告書に書面添付された場合は、法人税のそれと比べて低い。これについて東京国税局の課税第一部課税総括課は、相続税の場合はきっちりと整理された帳簿が一般的にないこと、被相続人一人について一回だけの実務であること、個人が築いたすべての財産が関わってくることなどが法人税とは異なる点を理由に挙げている。
 また、優遇措置が受けられる可能性があるのも無視できない点がある。書面添付制度で確認したはずの会計処理が間違えていれば税理士も責任を負うことがある。そのため、書面添付に積極的に関与しない税理士としては、実は‘決算書の内容が信用できない会社に書面添付をしたくない’という本音がある。制度を税理士に活用してもらうためには、経営者側の経理に対する意識の変革も不可欠といえると同時に正しい決算書を作成するべく指導と説明、説得が必要と考えます。

(参考・引用 納税通信平成26年10月6日号、財務省H・P)

最後に以下の表を載せておきます。

無題事務  

| 税理士法 | 09:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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太陽光発電の参入凍結

太陽光発電の参入凍結!!

2014年(平成26年)10月11日の日本経済新聞朝刊1面に、次のような見出しがあった。
「経済産業省検討、太陽光発電の参入凍結、大規模施設増設もみとめず」この記事を読んで、税に携わっている者としての視点から述べさせて頂きたい。
まず新聞記事では、「経済産業省は大規模な太陽光発電施設の新規認定を一時停止する検討に入った。高値で再生エネルギーを買い取る「固定価格買い取り制度」によって認定申請が急増、電力会社が受け入れ出気なくなったためだ。既存事業者の新増設も凍結し、現時点で認定済みの設備の稼働を優先する。同時に太陽光発電の買い取り価格を引き下げ、再生エネルギーの供給体制を全面的に見直す。としている。
なぜ、これほどまで太陽光発電設備のみが増えてしまったのだろうか?

平成23年税制改正によりグリーン投資減税なるものが作られました。対象になる設備として代表的なのが、太陽光発電設備・風力発電設備等である。
この制度は、再生可能エネルギーの固定買取制度の認定を受けた、一定規模以上の太陽光発電設備等を取得し、その後1年以内に事業の用に供した場合、税制面で優遇措置を付けた点にある。
具体的な内容では、まず、青色申告書を提出する個人または法人であること。
そして、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に取得したものに限ります。ただし、太陽光設備及び風力発電設備に関しては、100%即時償却ができるのは、2015年(平成27年)3月31日までだ

措置内容:次のいずれか一つの税制優遇措置が受けらる。
・即時償却(取得価額の100%全額償却)
・普通償却に加えて取得価額の30%相当額を限度として償却できる特別償却
・中小企業者に限り、取得価額の7%相当額の税制控除

このように産業用太陽光発電等に投資した費用は経費計上(損金処理)することができ、節税対策にもつながる。これをビジネスチャンスととらえ、様々な事業者が太陽光発電ビジネスに参入してきている。
太陽光発電はある程度の土地があり1年を通じて太陽の日照時間が多い地域なら、その土地の上に太陽光パネル設置工事をし、認定さえ受ければ、発電した電力を最長20年間、一定の価格で電力会社が買い取ることが義務付けられているので、20年間安定的な売電収入が入ってくることになる。不動産の家賃収入みたいなものだ。
大手家電量販店のヤマダ電機は昨年からこの太陽光発電の新事業に乗り出してきた。同社では昨年、合計約16万5千平方メートルの土地を取得し太陽光パネルによる、出力1万ワットの発電装置を設置。これを200区画にわけ、1区画2000万円前後で分譲している。これだけでも40億円の売上だ。
一方この設備を購入する側の法人・個人のメリットとしては、1区画2000万~3000万の投資で、取得時に全額経費(損金)処理できることである。利益が出ている事業者においてはかなりの節税にもなるはずだ。また、相続財産の多い者に対しても相続税対策としての効果があろう。
購入者は、今後20年間電力会社との契約により、売電価格が決まっている。従って、安定的に収入が入ってくることになる。
最近では土地を20年間の定期借地にし、太陽光発電設備とセットで販売している業者も多くいるようだ。こうすれば、地主は20年後には土地が戻ってくることになる。ただし注意しなくてはいけないのは太陽光パネルのメーカー保証期間は10年間が一般的である。それを過ぎると、太陽光パネルが破損したら自らの費用で修理しなくてはならない。なにしろまだ設置をして、10年経過した太陽光パネルは無いのであるから不透明感はある。

経産産業省の見直し案ではまず、新規の大規模な太陽光発電業者の認定申請の受付を一時中止をする。既存事業者の新増設計画も受け付けない。ただし一般家庭向けの認定は継続する方針との事。今後は、日本の国土を利用した地熱発電や風力発電に力を注ぐ方針らしい。
経済産業省は新規認定を凍結する一方、買取り価格も大幅に下げる可能性が高そうだ。
もしそうだとしたら、再生エネルギーの中での太陽光発電は一過性のままで終了しそうである。原子力発電からの脱却として脚光をあびた太陽光発電であったが、制度導入から3年余りで大幅な見直しが行われてしまった。
税制もそうだが、もう少し長期的な視点から制度設計をしてもらいたいものである。
                                

               参照:日本経済新聞2014.10.11朝刊
                  経済産業省HP

| 税制改正 | 10:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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法制審議会、民法改正原案まとまる

      制定以来初めての抜本改正、その影響は?(3)

 法務省の諮問機関である法制審議会の民法(債権関係)部会は、8月26日に開かれた第96回会議において「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」を決定しました。
 この中で特にポイントとなるものとして、前回は『連帯債務』とについてご紹介しました。今回はトラブルの多い不動産の賃貸借に関わる敷金・修繕費を中心に紹介します。

1.賃貸借( 要綱仮案 第33)
 現行の民法では第601条から622条に賃貸借についての規定が設けられています。通常、建物等の賃貸借については借地借家法の法律も併せて適用されることになります。  
今回の改正では10の条文が見直された他、609条及び610条が削除され、新たに敷金等の項目が追加されています。

(1)敷金( 要綱仮案 第33 7.)
 現行の民法では敷金に関しては、619条第2項に規定があります。敷金を賃貸借について担保と位置付け、他の担保と異なり賃貸借契約終了後も消滅しないことのみの規定となっています。
 今回の改正では、敷金を独立した項目として新たに規定を設けています。
① 賃借人は、賃貸借が終了した場合には、預っている敷金から賃借人の金銭債務の額
 を控除した残額
を返還しなければならない。
② 賃貸人は、賃借人が賃貸借から生じた金銭債務を履行しないときは、敷金を債務の
 弁済に充てることができる。この場合に賃借人からは敷金を債務の弁済に充てること
 を請求できない。
 つまり、賃貸人が敷金から控除できるものを賃借人の金銭債務のみと限定し、返還義務を明確にしました。この場合の金銭債務の範囲については明文化されておりませんが、未払いの賃貸料と、賃借人が負担すべき修繕費(内容については(3)の賃貸物の修繕費を参照)が含まれると考えられます。

(2)賃貸借の存続期間( 要綱仮案 第33 3.)
民法604条では、賃貸借の存続期間について最長20年と規定していますが、この20年を50年に置き換えています。

(3)賃貸物の修繕等( 要綱仮案 第33 8.)
 民法606条に修繕に関する規定が設けられていますが、賃貸人に対する修繕の義務と、賃貸人が必要な修繕をする場合には賃借人は拒むことがでいきないことのみの規定でした。今回の改正では、トラブルの多い賃貸人と賃借人の修繕の責任の範囲が定められました。
① 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人
 の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない。

② 賃貸物の修繕が必要である場合において、次のいずれかに該当するときは、賃借人
 は、その修繕をすることができる。
  ア、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知った
   にもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

  イ、 急迫の事情があるとき。
 まず、①で賃借人の修繕義務を賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったものに限定しました。このため、経年変化に対する原状回復は賃借人が負担すべき修繕の対象外であることが明文化されました。
 また、②については賃借人の修繕権限を明文化したものです。では、賃借人が修繕権限を盾に修繕した場合に問題はないのでしょうか。トラブルのひとつに賃貸物件の老朽化し安全性の問題から立退きを迫るケースがあります。このような場合に賃借人が修理をして住み続ける場合には新たなトラブルの発生が懸念されますし、修繕費の負担の問題も考えられます。この条文から考えると老朽化なので賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったのではありませんから賃貸人の負担と思われます。しかし、賃借人が勝手に行ったのだからと修繕費の負担を賃貸人が拒絶するケースも考えられるのです。

2.意思能力( 要綱仮案 第2)
 認知証の高齢者を保護するために、次の項目が新設されます。
 意思能力について、次のような規律を設けるものとする。
 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しないときは、その法律行為は無効とする。
 これにより、認知証の高齢者が交わした契約は無効となります。高齢者の狙った高額商品の販売の防止には一定の効果は期待できるのではないでしょうか。

 これまでご紹介してきたものは、今回の改正のほんの一部にすぎませんが、生活に密着した内容となっていることがお解りいただけたこととお思います。ただし、これにより全ての問題解決というわけにはいかないようです。5年の歳月をかけてできた改正案ですが、運用が開始されればまた新たな問題点も発生することでしょう。その時には更なる改善が行われ、私たちにとって常に身近な法律であることを期待したいものです。

       参考資料   民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案 

| 民法・商法・会社法 | 09:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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中小企業の後継者問題

             どうなる中小企業!
              深刻な後継者不足問題!

 2014年版高齢化白書」(内閣府)によれば、国内の高齢者(65歳以上)の人口は過去最多の3,190万人で、高齢化比率は25.1%と前年(24.1%)を1ポイント上回り、4人に1人が高齢者という時代に突入した。
 一方、帝国データバンク(以下、「TDB」という)によると、国内企業の3分の2が‘後継者不在’だという。社長が80歳以上の会社でも3社に1社は後継者がいないそうです。
 TDBは平成24年以降の後継者の実態が分析可能な28万4,412社を対象に調査した。
 調査対象企業うち、‘後継者不在’だった会社は、18万6,024社で全体の65.4%だ。社長が若年であるほどその割合は高い。ただ、社長が60歳代で53.9%、70歳代で42.6%、80歳以上で34.2%と、事業承継の検討をすべき年代であってもいまだ次の社長が現れていない会社が多いのが実態となっています。
 一方、‘後継者あり’の9万8,388社を見ていくと、その後継者が子供である会社は38.4%で、非同族30.7%、親族19.9%、配偶者10.9%となった。配偶者が2年半前の同種調査の場合(16.8%)と比べて大幅に低くなっていることについてTDBは‘社長の高齢化に伴い、同年代である配偶者への事業承継という選択肢が難しくなっている’と分析しています。
 TDBはさらに、調査対象企業から‘企業価値’の算出が可能な12万7,911社を抽出し後継者の有無の観点で分析しています。
 これによると、‘後継者不在’である企業の売上高事業価値比率は、‘後継者あり’の企業の2分の1以下になったという。後継者が決まっていることで経営計画が立案しやすく、事業がうまくいくという側面はありそうだ。また、中小企業のなかには‘業績不振や先行き不安で会社を会社に畳みたい’という社長も多数いるため、不振にあえぐ企業があえて後継者を選んでいないこともうかがえる。
 われわれ税理士業界も例外ではありません。先月、税理士試験が行われましたが、昨年5科目合格を達成し、晴れて税理士資格者となった方は、905人、一昨年の1104人から18%減少しました。今年度はもっと減少すると考えられます。
 合格者の減少はカイケイ・ネットの‘平成25年度(第63回)税理士試験結果が発表されました’でも言及されていますが、主に受験者数の減少が原因といえます。昨年度の受験者数は45,337人、一昨年度の48123人から3000人近く減少しています。
 受験者が減っている原因は複合的で、単に‘資格の人気が下がったから’とは言えないでしょう。日本の人口構成で若者の人口が減っており(少子化)、自然減ともいえます。しかし、合格者は減っても税理士の数は増えていきます。定年がある職業ではないので、新たに税理士になる人が減っていくのであれば、平均年齢が60歳を超えていると言われる税理士業界のさらなる高齢化も進むのは必至です。
 このように税理士も例外ではなく、この世代はこれから引退に向かうでしょうが、70代の方も多くいらっしゃる税理士業界、サラリーマンとはタイムラグがあり、ゆるやかな変化となるはずです。
 このような状況で、高齢の税理士が引退した際、顧問先がどのように次世代に移行していくのか、ということは注目しておかなければなりません。親子間での事業承継(但し、資格を取る条件があります)はもちろん、M&Aやのれんわけ、あるいは摩擦の大きい顧客の奪い合いが起こるでしょう。事務所の法人化、大型化の流れも、属人的な事務所が企業化することによる承継の側面を読み取ることができます。
 この状況に気づいた大型会計事務所は、地方事務所の買収(M&A)という一手を打ち始めています。高齢化した事務所でかつ、後継者不在の事務所を中心に、都心部の事務所が地方進出、買収を始めているのです。
 今後税理士として活動をスタートする方は、‘上がつまっている’現状において、団塊の世代の引退を見据えて、5年~10年くらい後の自己イメージを持っておくべきではないでしょうか。
 独立するにしても、勤務税理士として出世を目指すにしても、そのあたりの期間に、大きなチャンスが訪れる可能性は高いといえます。‘今は実力を養いながら活躍の機会をじっと待つ時’とはいいませんが、来るべき税理士業界の大変化に備え、目標を見失わないよう自己研鑽にはげみたいものです。

(参考:帝国データバンク、カイケイ・ネット、2014年版高齢化白書)

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消費税免税制度

外国人向け消費税免税制度の改正

 皆さんご存知だとおもいますが、2014年(平成26年)10月1日より訪日外国人向けに消費税の免税対象品目が拡大されました。
具体的な内容に関しては国税庁HPに「輸出物品販売売場制度の改正について」というリーレットに載っています。今回はこの消費税免税制度の内容について見ていきたいと思います。
 この制度は、消費税法施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第141号)等により、輸出物品販売売場制度についての改正で、2014年(平成26年)10月1日以後に行う課税資産の譲渡等について適用されます。輸出物品販売売場制度とは輸出物品販売売場(免税店)を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して、通常生活の用に供する物品を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除される制度です。尚、免税店を開設しようとする事業者は、販売場ごとに、事業者の納税地を管轄する税務署長の許可を得る必要があります。日本経済新聞2014年10月1日の記事によると、スパーのイオンでは2015年12月末までに300店で免税受付を開始、イトーヨーカー堂は153店舗、ロフトは10店舗、その他ビックカメラ・ヤマダ電機などの家電量販店でも相次いで取組をしているそうです。
それでは具体的な内容を見ていきましょう。

1 免税対象物品の範囲の拡大
 食料品、飲料類、薬品類、化粧品類そのたの消耗品については、これまで輸出物品販売場(免税店)における免税販売の対象外とされてきたが、その非居住者に対する同一店舗における1日の販売額の合計が5千円超50万円までの範囲内の消耗品について、次の方法で販売する場合に限り免税販売の対象とするとした。
① 非居住者がパスポート等を免税店売場に提示し、そのパスポートに購入記録票の貼り付けを受け、パスポートと購入記録票に割印を受けること。
② 非居住者が消耗品を購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約する書類を免税店売場に提出する事。
③ 消耗品の包装方法にも指定がありその指定された方法により包装されている事。

2 免税店売場を経営する事業者が保存すべき書類の追加
同一の免税店売場において、その非居住者に対して1日に販売する一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品を言う)の額が100万円を超える場合にはその非居住者のパスポートの写しを、免税店売場を経営する事業者の納税地又は売場の所在地に保存しなければならないとした。またその保存期間は7年間とした。

3 購入記録票等の様式の弾力化及び記載事項の簡素化
 免税販売に当たっては、免税店売場を経営する事業者は「購入記録票」を作成して非居住者のパスポートに張り付けて割印する事とされており、非居住者は「購入者誓約書」を当該事業者に提出することとされている。
なおこの購入記録票及び購入者誓約書に関しては従来法令様式が定められていたが、今回の改正で特定の書類ではなく、法令で定められた事項が記載された書類であればよいこととされた。具体的な様式は国税庁のHPを参照されたい。

観光庁が調べた訪日外国人1人当たりの消費額は約143,942円(4~6月平均)。また政府は、訪日観光客を2020年東京オリンピックまでに年間2千万人に、また将来は年間3000万人の目標を掲げています。そしてその目標が実現すれば5兆~6兆円の黒字要因となるとの試算も発表しています。もちろん実現するかどうかは今後の政策次第です。
円安傾向が続いている現在、中国人観光客を中心に訪日観光客は増加しています。
日本経済を底上げする為にも、このような税制の改正をし、より側面から支援していきたいものです。

          参照:国税庁HP 「輸出物品販売場制度の改正について」
             観光庁HP
             日本経済新聞2014.9.30及び10.1 朝刊





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