税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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教育資金一括贈与 ―非課税期間延長を含め検討―

 平成25年度税制改正により、祖父母から孫への贈与がしやすくなる3つの改正を紹介しました。①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、②相続時精算課税の適用要件の緩和、③子や孫への贈与税の引き下げです。
 このうち、①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について新たな動きがありましたので紹介させていただきます。 

(1)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の概要
 金融機関に受贈者(30歳未満の子または孫)名義の口座を開設して、贈与者(直系尊属である親または祖父母)が教育資金として信託した場合には、1,500万円(学校以外に支払われる場合500万円)までは贈与税が非課税とされます。
 信託された教育資金は、教育資金として支払われたことを証する領収書を金融機関に提出することにより払い出しが行われ、受贈者が30歳を迎えたこと等により教育資金口座に係る契約の終了時に残額があれば贈与税の対象となります。
適用期間は、2013(平成25)年4月1日から2015(平成27)年12月31日までの間に拠出されるものに限ります。

(2)改正の背景
 昨年4月から開始された教育資金贈与信託の契約数は、昨年12月で54,053件、今年3月で67,073件に達しました。また、信託財産設定額合計は、昨年12月で2,607億円、今年3月で4,467億円に達しています。当初、2年間で54,000件を見込んでいましたが、昨年12月の時点で上回りその後も契約数が順調に伸びています。
 高齢者が持つ金融資金を消費に回し、景気浮揚につなげる狙いがあります。
 また、相続税が2015(平成27)年1月から最高税率の引き上げ及び基礎控除の縮小により、相続税の増税と支払対象が保有資産4,000万円弱の世帯まで広がることから、政府は教育資金贈与の非課税制度を延長し生前贈与を促す意義は大きいとみています。

(3)改正の検討内容
①期間の延長
 適用期限の2015(平成27)年12月31日から2~3年延長する。
②使い道を広げる
 教育に限っているのを改め、結婚や妊娠、出産、育児など子育て全般に幅広く認める。
③上限金額の引き上げ
 使い道の拡大に伴い、非課税額の上限を1,500万円から3,000万円へ引上げる。

(4)教育資金援助から少子化対策への衣替えも検討
 森雅子少子化担当大臣が主催する有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」がまとめる提言に盛り込み、内閣府は2015年度税制改正要望に反映する見込みです。
 また、使い道を広げて教育資金援助から少子化対策への衣替えすべきとも打ち出されています。具体的には結婚式や披露宴の費用、対外受精など不妊治療費、通常の出産費補助を超える難産の際の出産費、出産後のベビーシッター代などです。

(5)富裕層優遇策からの脱却も検討
 世代間の資金移動は、祖父母の金融資産が多い人ほど恩恵に浴する「富裕層優遇策」との批判がありましたが、政府は低所得世帯やひとり親家庭に配慮した制度も検討しています。こうした世帯が家事支援やベビーシッターなどの育児支援サービスを利用する際、確定申告で経費として処理する税制優遇制度です。

 この制度については、利用できる教育資金の範囲について細かく制限がありましたので、使い道を広げることや、期間の延長についての検討は歓迎すべきでしょう。
 しかし、用途をどこまで広げるべきなのか、少子化対策への衣替えという当初の目的から逸脱することについては賛否の分かれるところで、課題は少なくないようです。
         参考資料  日本経済新聞 電子版 2014年8月22日 2時00分
               産経新聞 2014年8月12日 7時55分配信
               日本の信託(2014) 信託協会




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| 税制改正 | 09:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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外形標準課税を中小企業に適用か

外形標準課税を中小企業に適用か!

  法人実効税率の引き下げに伴う減税分の穴埋めとして、外形標準課税の検討が始まっている。外形標準課税とは、①事業所の床面積、②従業員数、③資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式です。
  そもそも法人事業税は、法人の行う事業そのものに課される税であり、企業はその活動を行うにあたって地方自治体から各種の行政サービスの提供を受けています。このためこれに必要な経費を分担すべきであるという考え方にもとづく税です。必要な経費の分担という意味において所得のみを基準とする従来の方法には問題があり、法人の事業の規模ないし活動量を基準に課税するという外形標準課税が求められていた。
  その目的は、①地方分権を支える安定的な地方財源の確保、②応益課税としての税の性格の明確化、③税負担の公平性、④経済構造改革の促進である。
  問題は現在の外形標準課税が、企業の払う給与が増えるほど、税負担も増える仕組みになっていること。「安倍政権下で進んだ賃上げとぶつかる」と指摘される。
  「賃金や雇用への影響がある外形標準課税は、世界でも廃止する国が多い制度」との冷ややかな意見も出ている。
  これを中小企業にも適用し、課税するという案が政府からで、「骨太の方針」に盛り込まれるのである。法人実効税率の引き下げについて盛り込まれることが確実となったことで、減税分を穴埋めするための代替財源確保に向けて、このような税政策が活発化している。消費税の財源がいままで充てられてきたが、引き下げの財源確保には追いつかないらしい。
  地方税の応益負担性を強調し、その中でも法人事業税の外形標準課税に焦点をあてている。企業の利益とは無関係に賃金総額や資本金額等で課税額が決まる外形標準課税に狙いを定めた根拠には、‘負担が一部の黒字法人に偏っている’という理由を挙げている。
  赤字法人が70%というのは、全企業の99.7%を占める中小企業への支援を怠り、さらに消費税などで負担を増加させるなど、露骨な‘中小企業イジメ’の結果なのである。さらに‘応益負担’の前に‘応能負担’の原則からすれば、利益を出ている大企業が納税するのは当然の道理だと思う。
  外形標準課税の中小企業への適用は、赤字の企業にもさらなる税負担となる。しかし、仮に現行の‘資本金1億円’の基準を‘5,000万円’に下げれば、赤字により現状は法人事業税を納めていない約2万4千社が新たに課税対象に加わり、資本金2,000万円にまで広げれば、10万社を超えるといわれる。
  消費税が増税され、外形標準課税が行われれば、中小企業のダメージは益々大きくなる。本当にこれでアベノミクスは、第3の矢の‘成長戦略’を達成できるのだろうか。
  法人実効税率さえ下げれば、‘民間投資を喚起する成長’ができると思っているのだろうか。
  東京商工会議所も7月10日に発表した「国の中小企業対策に関する重点要望」の中で、「経済好循環実現のための賃金引き上げ政策に逆行するうえ、177万社にも及ぶ赤字法人が増税となり、その影響が甚大である」と危機感を募らせているのであるが。

(参考:月刊 社長のミカタ 8月号、地方税法)

| 財政・税務 | 10:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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相続対策と生命保険

      相続対策と生命保険

 今年に入って生命保険の加入者が増加していると保険外交員から聞かされた。
社団法人 生命保険協会のホームページを検索してみると、「生命保険の動向調査」という統計資料が毎年10月に発表されていることが分かった。最新の2013年度版を見ると、個人保険の新規契約件数は1967万件で前年比121.3%増。新規契約高では71兆3456億円と前年比108.8%増となっている。昨年のデータではあるが、確かに増えているようだ。ちなみに、個人保険の保有契約件数は1億3601万件、保有契約高は861兆6513億円にもなっている。
考えてみると、その背景の一因となっているのが、2015年1月から改正になる相続税の課税強化対策なのかもしれない。
 本来生命保険加入の目的としては、本人が病気・怪我等で入院・手術をした場合や、万が一の時の家族への保障であったはずだが、近年は老後の年金対策や、相続対策に利用されることが多くなってきている。
相続対策としての生命保険の活用としては、まず第一に、死亡時に保険金がすぐに入金になり、それを納税資金に利用する事が出来ることだ。更に、メリットとしては、死亡保険金の受取人を指定することにより、受取人固有の財産になることである
一般的に被相続人が死亡した場合、現金・預金・不動産などは遺産分割協議の対象になり凍結される。
もし、預貯金を引き出したい場合は、相続人全員の同意と全員の印鑑証明及び戸籍謄本が必要になる。そこでよく見受けられるのが、預貯金が多い場合ほど相続人間でもめる「争族」だ。
その点、保険金は受取人の印鑑証明と戸籍謄本があれば1週間以内には受け取ることが出来る。また、相続税の対象になっても民法上は受取人固有の財産に当たるため、遺産分割協議、遺留分減殺請求の対象外とされている。

 次に相続放棄をしていた場合の保険金の受け取りに関してはどうであろうか。
生命保険金は保険契約に基づき受取人が原始的に取得する者であり、受取人の固有の財産とされている。従って、たとえ相続の放棄をした者であっても保険金は受け取ることができる。なぜならば「相続放棄」とは被相続人が残した被相続人の財産について、相続する権利を放棄する事である。もともと受取人の財産である保険金を取得する権利を放棄するという事ではないからである。
「相続を放棄した者」とは、民法938条の規定により、家庭裁判所への法的手続きにより相続の放棄をした者をいう。
ところで相続税法では、相続人が相続により取得したとみなされる生命保険金については、一定額まで非課税とされている。(相続人1人当たり500万円×相続人数 で計算される)相続人3人の場合なら、1500万円の非課税枠が受けられる。
しかし「相続を放棄した者」は当然「相続人」としての取扱いを受けられない。
そのため相続を放棄した者が保険金を取得した場合には、相続人以外の者が「遺贈」により取得したという扱いを受けることになる。したがって、上記非課税枠の規定は適用されないことになるので注意が必要だろう。
 このように生命保険料は使い方次第では「争族」防止にも有効なものにもなる。
ただし、長い間かける保険料は金額的にもばかにできないものだ。そして保険の種類も多岐にわたっている。
まずは保険外交員の説明を良く聞き、自分の収入と家計とのバランスを考え、生活を圧迫するような保険の掛け方をだけは避けたいものである。


              参照: 社団法人 生命保険協会HP
                  日本経済新聞朝刊 2013年3月20日記事
                  保険と税務Q&A  税務研究会出版局

| 保険税務 | 10:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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空家等対策の推進に関する特別措置法案が国会に提出

      増え続ける空家に対する対策がやっと本格化されることに
 
 総務省は、本年7月29日に平成25年住宅・土地統計調査「速報集計結果」を公表しました。この調査は5年ごとに行われるもので、前回の2008(平成20)年の調査と比較した数字が公表されています。この調査によると、空家数については820万戸で、5年前の757万戸に比べて63万戸(8.3%)の増加しました。増加数については、前回の調査では前々回の2003(平成15)年659万戸に対して98万戸(14.9%)の増加に比べると若干増加数は少なくなったようにも思われます。
 地方自治代レベルでは条例を制定して空家に対する対策を講じて問題解決の動きも始まっています。しかし、空家率の割合は13.5%と過去最高となり国レベルでの対策が急がれます。
 本年4.月、自民党の空き家対策推進議員連盟(宮地和明会長)は今国会に議員立法で提出する空き家対策推進特別措置法案を自民党総合合同部会に示し了承されました。

(1)空家の問題点
 かつて、筆者の身近でも空家の問題が発生したことがありましたので、体験したことを述べさせていただきます。空家があるとごみを不法投棄する人が現れ、ごみの腐敗による悪臭や害虫が発生してしまいました。また、ホームレスが住みついたり、住みつかないまでも夜中に酒を飲んで騒ぐ人が現れたり、庭で花火をしたりで、ごみ問題だけでなく火事に対する不安もありました。また、空家をターゲットにした放火も発生して、近所に空家がある住民にとって眠れない夜が続いたこともありました。
 放火犯が捕まったことで放火は収まりましたが、空家といえども一個人の所有物であるため、周りの人間がどんなに困ってもどうにもなりませんでした。

(2)空家が放置される理由
 一般的に空家が放置される理由として考えられるのは次の3点です。
① 空地と住宅の敷地では固定資産税が異なるため、たとえ住まなくなっても固定資産税の安い住宅の敷地としておくため空家として放置してしまう。
② 建築基準法により、建物を解体してしまうと新たな建物を建築することができないためそのままに放置してしまう。
③ 居住者がいなくなっても、家の解体のためには費用がかかるため空家として放置されてしまう。

(3)空家等対策の推進に関する特別措置法案
①目的
 適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のための対応が必要であるため。
②施策の概要
㋑ 老朽化で倒壊する危険がある状態のものや景観や衛生上有害となる恐れのあるような空家を「特定空家」として指定。
㋺ 国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本方針を定める。
㋩ 市町村は空家等対策計画を策定。
㋥ 都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助を行う。
㋭ 市町村長は、法律で規定する範囲内での立入調査、家主への除却・修繕・立木の伐採などの指導・助言及び勧告・命令ができる。また、従わない場合に50万円以下の過料を科したり、行政代行執行も可能とする。
㋥ 市町村は、空き家の情報に関するデータベースの整備に努めること。
㋭ 市町村長・都知事は固定資産税の課税に関する情報の利用を可能とする。

(4)固定資産税優遇
 また、自民党の空き家対策推進議員連盟は、所有者が空き家を自主的に撤去した場合には期間限定で固定資産税の軽減を検討しています。軽減の期間等の条件が定まっていないため、「空家等対策の推進に関する特別措置法案」には盛り込まれてはいませんが
2015(平成27)年度税制改正では、優遇措置を見直す方針も盛り込まれるようです。家屋を撤去すれば、一定期間は固定資産税を軽くしたり、老朽化した建物は優遇の対象から外したりすることも検討しているようです。

 やっと動き出した国レベルでの空家対策に、空家問題を経験した者としては空家問題の解決に大きな期待を持ってしまいます。
           参考資料  YOMIURI ONLINE 2014年4月7日 9時24分
                 総務省統計局ホームページ
                 空家等対策の推進に関する特別措置法案要綱

| 税制改正 | 09:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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経営改善支援の申し込みをしてみて思うこと

経営改善支援の申込をしてみて思うこと!

  平成24年3月末に中小企業金融円滑化法が終了したことを受けて、国は、その後の中小企業対策として、経営革新等支援機関制度を創り出し、金融機関との連携による経営改善支援のため405億円の予算を組んだ。しかし現在のところ、その利用件数は2000件程度で、当初予想の10%程度にとどまっています。
  平成26年8月12日現在、認定された経営革新等支援機関は21,535機関で、税理士、税理士法人、公認会計士が18,213機関で約85%を占めている。そのうちTKC会員は6,000を超え、全認定機関の約30%となっています。
TKCは国が予定している支援企業20,000社のうち、7,000企業の経営改善計画策定を支援する‘7,000プロジェクト’を立ち上げました。(TKC会員は、2014.8.12現在で825件)
  本プロジェクトの対象企業は、原則、年商3億円以下でそのメインは年商1億円以下としていますが、その対象を今は広げています。210万社の赤字法人すべてが対象なのです。しかし、黒字法人も対象となりうるのです。特に、この制度を受ければ、保証協会から別枠保証も付くので、リスケした関与先、赤字関与先に限定せず新規借入にも利用可能なところがあります。ただ。金融機関との連携をするので、金融機関の選定が大事なのです。できれば、認定をうけている金融機関とスクラムを組むのがベストだと思いますし、メイン銀行が認定機関なら、なお良いのですが、そこにこだわる必要はないと思います。
  2014年8月1日発行の‘税界タイムス’に‘経営改善計画の助成金申請は実質的に年内がリミット’という記事が載っていたので、抜粋してみたいと思います。
  『2万2,198件(2014.7.22現在)となった経営革新等支援機関は、おおよそ約7割を税理士・税理士法人が占めている。その支援機関が注目するのが、助成金が補助される経営改善計画の策定支援業務。利用申請の受け期限は平成27年3月末で、残り8ヶ月となった。申請に当たっては、数々のプロセスを踏まなくてはならず、年内には手順を終えている必要がある。そのため、実質的な猶予期間は少なく、顧問先支援を目的とした認定申請期限のカウントダウンはすでに始まっている』と。
  実際に支援を行う場合の手順は、①支援先の選定、②顧問先の経営者との交渉、③会計事務所の報酬決定、④経営改善計画書及び再生のロードマップ作成となる。
  このプロセスを経て、顧問先との合意のもとでやっと認定申請書の提出にこぎつけるわけですが、申請期限が来年3月までであるため、残された猶予はあまりないのです。
  1月から3月は、税理士事務所は繁忙期になるため、一般的な手順を終えるのは10月ごろには支援先を選定しないと間に合わなくなる可能性があります。
  認定支援機関制度は会計事務所にとっても1つの新たな仕事として幅を広げるチャンスになることはまちがいないでしょう。
  1件でも多く支援を受けられるように、そして赤字の企業の再生の一端を担うために、この制度を大いに利用していきたい。

(参考:TKC 8月号 全国会会長 巻頭言、2014.8.1 Vol.041 税界タイムス)

| 事業再生・承継・再建 | 16:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国外財産調書

「国外財産調書」の実態が明らかに!

今年も国税職員の人事異動が7月10日に行われたが、国税庁のトップである国税庁長官には林信光氏が7月4日付で就任したとの報道があった。
週刊税務通信No3322 8月4日号及びT&AmasterNo557 8月4日号では、両紙とも林信光国税庁長官の就任インタビュー記事が掲載されていた。
その中で林国税庁長官は、特に富裕層の国際的な租税回避に対する対策としてプロジェクトチームを立ち上げたことを明らかにした。この発言の趣旨を考えると、次のことが分かってくる。
7月31日付け国税庁発表の記事によると、2014年1月から施行されている、「国外財産調書」の提出状況が判明した。「国外財産調書」とは毎年12月31日現在、国外(海外)に5000万円以上の資産を保有している個人は、翌年3月15日までに「国外財産調書」を作成し、所轄の税務署に提出することが義務付けられている。本年分に関しては初年度という事で罰則はなかった。しかし、次年度からは罰則の適用がある。正当な理由なく期限内に提出が無い場合または、虚偽記載の場合には、1年以下の懲役又は50万以下の罰金が適用になる。
それでは、今年の状況はどうであったのだろうか?
総提出件数は、全国で5,539件 であった。
各国税局別の件数は、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の順に多く、この3国税局で全体の約9割(88%)を占めている。
そして、国外財産の価額の総合計額は、約2兆5千億円 にのぼる。
各国税局別の総財産額に占める割合についても、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の3国税局で約9割(94%)となっている。
この提出件数及び申告金額は実態を反映しているのだろうか?

財産の種類別を国税庁のHPより抜粋
財産の種類別総額 財産の種類 総 額 構成比
有価証券 1兆5,603億円 62.1%
預貯金 3,770 15.0
建物 1,852 7.4
土地 821 3.3
貸付金 699 2.8
上記以外の財産 2,396 9.5
合計 2兆5,142 100.0


ところで、日本の富裕層とはそもそも何人ぐらいいるのだろうか。
2014年6月10日付ボストンコンサルティンググループが、「2014年版グローバルウエルス・レポート」の中で世界の富裕世帯数の統計ランキングを発表している。
それによると、家計金融資産100万ドル(日本円で1億200万円)以上を保有する世帯を富裕層と定義しており、全世界では1630万世帯あるという。
日本の家計金融資産は前年比4.8%増の15兆ドル(1530兆円)、富裕世帯数は124万世あるという。世界ランキングでも第1位のアメリカ713.5万世帯、第二位 中国237.8万世帯の次にランクされている。ちなみに、この上の超富裕世帯 家計資産1億ドル(102億円)以上になると、アメリカ・イギリス・中国・ドイツなどの順になっており、日本はランク圏外になっており集計がとれなかった。
日本の富裕世帯は平均して多いが、資産1億ドル以上の超富裕世帯はそれほど無いということだ。
いずれにせよ、この富裕層が抱えている金融資産は日本国内にはとどまらず、世界各地へ移動している。今まではこのフローの所得に所得税・法人税などが課税されていた。
しかし今後は、ストックしての財産を見つけ出し、それに相続税等を課税する方向に転換しだしたことである。
冒頭の国税庁長官の発言は、まさにこのような富裕層をターゲットにしたストック対策に本腰を入れることである。2015年度からは「国外財産調書」の提出が本格化してくると予想される。
富裕層の皆さん、くれぐれも出し忘れ、虚偽記載をしないように日ごろから自分の財産の管理をして頂きたい。


                              以  上
参照:週刊税務通信No3322 8月4日号
:T&AmasterNo557  8月4日号
:国税庁HP
 

| 税務調査 | 10:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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非課税枠、対象者の拡大を検討

     NISAがスタートして6月経過、新たな動き
 NISA(少額投資非課税制度)がスタートしてから6ヵ月が経過しました。NISAについて新たな動きが始まりました。非課税枠の拡大とNISAの対象者を未成年に広げるという動きです。ここ数カ月間のNISA に関する動きをまとめてみました。

1.日本証券業協会からの調査結果
本年5月28日に日本証券業協会(以下「日証協」という。)は、東京証券会館での記者会見を通じて、3月末時点でのNISAに関する利用状況を発表しました。
調査はNISA取扱証券会社129社を対象に行われ、NISAの総口座数は、412万を超え、前回調査(平成26年1月1日)と比較して101万口座、31.6%増加したことが判明しました。
年代別では、60歳代が28.4%と最も多く、60歳以上で約61%を占めています。20歳代は最も少なく2.7%で、20歳代から50歳代は約39%で前回調査の約35%よりは若干増加していますがまだまだ少ないことがわかります。
また、412万口座のうち、投資未経験者(平成25年4月1日以後に証券口座を開設した者)の口座数は47万口座と11.2%に留まっており、年代別では、20歳代が43.2%、30歳代が28%と若い年代ほど投資未経験者の割合が高くなっています。
男女別では、女性を割合は約42%でNISAについては男女間では大差がないようです
この他に、参考として主要証券会社10社のNISA口座の利用状況を公表しており、この中でNISA総口座数のうち、買付があった口座は22.8%に留まっており、平均買付額は607千円でした。
以上のように、口座数は前回調査と比較して増加していますが、若年層の割合がまだまだ少ないこと、口座を開設しても利用していない割合が多いということが今後の課題となることがうかがえます。

2.NISAに関する閣僚の発言
(1)甘利明経済財政・再生相 「非課税枠200万円」
 6月28日、福岡県久留米市の公演で、NISAの非課税枠を現行の年間100万円から「例えば200万円に拡大してもいいのではないか」と発言をしています。
「(5年で)1千万円(までの投資)を非課税にすれば、普通の人が株式市場にどんどん参加していく」と強調し、詳細な制度の見直しは自民党税制調査会などと調整するとしています。 (朝日新聞DIGITAL 2014年6月28日17時53分)
          
(2)麻生太郎財務・金融担当相 「非課税枠240万円」
麻生太郎財務・金融担当相は7月1日の閣議後記者会見で、「まず120万円でスタートして、次に考えるのであれば240万円。そうした方が現場にあった感覚」と述べ、拡大に向け意欲を示しています。また、「個人の現預金が投資に回ることが景気や経済を考えたときに大事。NISAはその手段の一つ」とし、拡大に向けた意義を強調しました。  (MSN産経ニュース 2014.7.1 12:28)

(3)菅義偉官房償還 「NISA対象 未成年者に拡大」
 菅義偉官房長官は24日夕の会見で、「対象者の拡充などを前向きに検討したい」と述べました。すでに現行年間100万円の非課税枠を倍増させたい意向を表明しており、現在は「20歳以上」となっている対象年齢の引き下げにも言及した格好です。
 また、「1,600兆円の個人の金融資産を有効活用し、日本経済の再生を進めていくために制度の拡充は進める必要がある」と強調しました。
そして、NISAを株式市場の活性化にいかしたい安倍政権の意向を受けて、金融庁は8月にも拡充案の検討に入る方針です。
(朝日新聞DIGITAL 2014年7月25日11時02分)

(4)安部晋三首相 「非課税枠300万円」
 菅義偉官房長官は4日、みんなの党の浅尾慶一郎代表と官邸で会談した際、安倍晋三首相がNISAを拡充する意向があると明らかにしました。非課税枠について「首相は300万円にこだわっている」と述べたと、浅尾氏が会談後、記者団に説明しました。
(MSN産経ニュース 2014.7.4 21:58)

 以上のように、NISAに関して閣僚の発言が相次いでいます。26年度税制改正大綱に改善が盛り込まれましたが、再度の見直しが検討される模様です。今回の非課税枠、対象者の拡大は、日本経済の再生・株式市場の活性化という目的のためということですが、この見直しが本当に日本経済の再生・株式市場の活性化に役立つのかどうか今後の動向に注目したいものです。

    参考資料:日証協ホームページ 証券会社のNISA口座の開設・利用状況
                         (会長記者会見資料4)   
           朝日新聞DIGITAL                                                
           MSN産経ニュース

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